10月30日、政府が決定した「生活対策」の金融証券税制における対応では、企業型確定拠出年金に個人拠出(「マッチング拠出」)を導入するとした。現行の拠出限度額4.6万円(他の企業年金がある場合は2.3万円)に対し、企業の平均的な拠出額が1.1万円で、老後の生活費確保の点からは拠出額が不十分であることから、限度額の範囲内、かつ、事業主の掛金を超えない範囲で、個人自らも拠出できるようにするというものだ。そして、この部分についても所得控除(小規模企業共済等掛金控除)の対象とするため、税制上の手当ても必要となってくる。
確定拠出年金を実施している企業の約8割が拠出額を増額する余裕のない中小企業であり、若年世代に対する企業の拠出額が低いことなどから、厚生労働省が先の平成20年度税制改正でも確定拠出年金関係の改正要望としていた。平成21年度税制改正大綱の正式決定を前に、金融証券税制の観点から、早々と導入の方針が決まったということになる。
確定拠出年金制度は24年に廃止される税制適格年金の受け皿の一つとして用意されたものだが、中小企業では適格年金からの移行がスムーズにいかなことも多い。そうした企業を顧問先とする職業会計人にあっては、平成21年度税制改正における企業年金税制関係の見直しにも留意しておきたい。