東京高裁はこのほど、外国法人の100%日本子会社に対する国税当局の移転価格税制適用を巡って争われていた事案に対し、国税当局の主張を認めた一審判決を覆し、納税者勝訴とする旨の判示を行った。この事案は日本子会社がコンピュータソフトの販売等で海外親会社から受け取った役務提供取引の対価が適正か否かを巡って争われていたもの。
国税当局はその際の独立企業間価格についていわゆる「シークレットコンパラブル」とよばれる方法を用いた。一審の東京地裁はこれを合理的として国側の主張を認めたが、高裁では、本件で適用したシークレットコンパラブルは合理的とは言えないとして、一転、納税者の主張を認めた。
これに対して国側は上告せず、納税者勝訴が確定した。移転価格事案で国側が敗訴したのは初となるだけに注目されよう。