会社のオーナーが複数の特殊支配同族会社で業務主宰役員となって、それぞれの会社から役員給与の支給を受けているというケースは思いのほか多いようだ。
このような場合、損金不算入額のベースとなる業務主宰役員給与について、それぞれの特殊支配同族会社において、「合算対象給与額」の調整計算を行う特例が手当てされているのは、周知のとおりであるが(法令72の2②)、ときに、こうしたオーナーを同じくする会社同士が「合併等」を行う場合があり、そうした際には、「基準所得金額」の計算上、何らかの調整計算を要するのではないかと考える向きがあるようだ。
しかし、オーナーを同じくする特殊支配同族会社同士の合併等に限らず、特殊支配同族会社が合併等を行った場合の基準所得金額の計算としては、基準期間前に特殊支配同族会社を合併法人等とする適格合併等があった場合の「みなし欠損金額」を過年度調整繰越欠損金の計算に含めるという規定(法令72の2⑥)以外には、特段の定めがないので、確認しておきたい。