研究開発税制や賃上げ税制等のマル政項目を検討【速報!自民党税調ニュース2020 Vol.6】

12月2日、自民党税制調査会(甘利明会長)は小委員会を開き、法人課税や個人所得課税、資産課税の政治的判断を要するマル政項目について議論した。


研究開発税制、クラウド提供型ソフトウェアを後押し

 試験研究費の増減に応じて税額控除を受けられる「研究開発税制」については、コロナ禍でも研究開発への投資を促すためのインセンティブを付す見直しなどの検討がされた。また、現状ではクラウド提供型のソフトウェアは本制度の適用対象外となっているが、今後はクラウド環境で提供するソフトウェアに係る研究開発投資を後押しする必要性についても議論がされた。

 従業員の給与を増加させることなどで税額控除が受けられる「賃上げ及び投資の促進に係る税制」についても、昨今の有効求人倍率の低下、完全失業率の上昇などを背景に、大企業向けの制度では『新規採用の拡大や人材の育成強化を促す形とする必要があるのではないか。』、中小企業向けの制度では『雇用の増加による給与総額の増加や人材育成を評価する形とする必要があるのではないか。』といった、雇用を促す形での見直しが検討された。

研究開発税制の見直しの論点

〇コロナ禍の影響による企業収益・売上高の減少が、企業の研究開発投資に対する意欲を減退させないような研究開発インセンティブが必要ではないか。

〇試験研究費の増減に応じた現行の税額控除率カーブについて、研究開発投資を維持・拡大させるインセンティブが働くよう見直してはどうか。

〇クラウドを活用したサービス(SaaS)の進展など経済のデジタル化に対応する観点から、グローバルスタンダードを踏まえ、クラウド等を介して第三者にサービスを提供する自社利用ソフトウェアの研究開発投資を促す必要があるのではないか。

〇質の高い研究開発を促すため、オープンイノベーションの利活用の促進を検討してはどうか。

教育資金贈与等、2割加算を適用に?

 資産課税では、教育資金の贈与につき1,500万円まで非課税となる「教育資金の一括贈与に係る非課税措置」などの課税上の問題点が挙げられた。具体的には、『本制度の利用中に贈与者が死亡した場合、贈与から3年経過していれば、死亡時の残額は課税対象とならないこと』、『死亡時の残高に相続税が課税される場合でも、相続税額の2割加算が適用されないこと』が指摘され、本制度のあり方について検討がされた。

 その他、所得税の「住宅ローン控除」について、例えば『控除額は支払利息額を上限とする』、『控除率を1%から引き下げる』といった見直しが検討された。

~12月2日の議題~

・マル政①(法人課税、個人所得課税、資産課税)

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