21年度税制改正作業は大詰めを迎えつつあるが、当初予定されていた相続税の税額計算方式改正は当面見送りとなることが明らかとなった。先に公表された政府税制調査会の来年度改正答申にその旨が記載された他、自民党税調でも改正は先送りとされる方針が固まったことによるもの。
その一方、非上場株に対する相続税額の8割相当分を納税猶予することを骨子とした事業承継税制は当初方針どおり創設される見込みだ。
ただし、同制度が前提としていた相続税額の計算方式改正は行われないこととなったことから、事業承継税制適用時の納税猶予額算定は、相続した非上場株に対する相続税額の8割猶予という“効果”は保持しつつも、他の相続人にまでその効果が及ばない旨の手当が行われることになるものと見られ、特例適用時の税額計算式が相当複雑なものとなる可能性が出て来た。