2016/12/20 13:04
国税不服審判所は、このほど「平成28年4月~6月分」の公表裁決事例を公開しました。
国際課税関係では、中国子会社に対する債権放棄は「寄付金」に該当するとした事例があります。
審査請求人は、中国の子会社(55%保有)が事業継続が困難になり、円滑な清算終了のために、その債務超過を解消することが必須条件であり、「本件子会社の財務状態から本件売掛債権の回収見込みが全く立たない実情であった」と主張。
これに対し、原処分庁は「請求人は、本件子会社と通謀し、本件売掛債権を放棄したとする内容虚偽の本件声明文を作成し、交付することにより、本件売掛債権の相当額を損金の額に算入している。
請求人の当該行為は、通則法第68条第1項に規定する事実の仮装に該当する」として、重加算税を含む更正処分を下していました。
今回の裁決で審判所は「本件子会社を破産させることなく清算する必要から、本件売掛債権の全額を放棄したと認めるのが自然であり、本件売掛債権の放棄は、請求人の真意に基づくものといえる」とし、請求人は本件売掛債権を有効に放棄したと認められることから、これを仮装であるとした原処分庁の主張には「理由がない」として退けました。
そのうえで①本件子会社の事業継続が可能であったにもかかわらず同社の清算決定が行われたのは請求人の経営判断によるものである、②請求人が本件子会社の清算に伴う損失負担を行う相当の理由も認められないことから「本件売掛債権の放棄に経済合理性が存するということはできない」とし「本件売掛債権の放棄に係る損失の額は、法人税法上の寄附金の額に該当する」との判断を下しています(平成28年4月14日裁決・一部取消し)。
提供元:kokusaizeimu.com