税務用語辞典


  • 令和3年度 税制改正対応版※令和3年4月1日現在の法令等によっています。

損益通算の順序

この解説は最終更新日から1年以上経過しており、現行法令に準拠していない可能性があります。

税務研究会お試し

 不動産、事業、譲渡及び山林の各所得の金額の計算上生じた損失の金額があるときは、次の順序で損益の通算を行う(法69令198)。

  • (1) 利子、配当、不動産、事業、給与及び雑の各所得の金額(経常所得の金額……以下Aグループという。)のうち不動産所得又は事業所得の金額の計算上損失を生じたときは、その損失の金額をまずAグループ内の他の所得の金額から差し引く。
  • (2) 譲渡所得の金額及び一時所得の金額(以下Bグループという。)の計算上損失を生じたときは、譲渡所得の金額の計算上生じた損失の金額のみを一時所得の金額から差し引き、一時所得の損失は打ち切られる。
  • (3) (1)の計算(Aグループ内の通算)を行ってもなお引ききれないAグループの損失の金額は、譲渡所得の金額及び一時所得の金額(Bグループ内の通算後の金額)から順次差し引く。
  • (4) (2)の計算(Bグループ内の通算)を行ってもなお引ききれないBグループの損失の金額は、Aグループの金額(Aグループ内の通算後の金額)から差し引く。
  • (5) (3)又は(4)の計算を行ってもなお引ききれない損失の金額は、これをまず山林所得の金額から差し引き、次に退職所得の金額から差し引く。
  • (6) 山林所得の金額の計算上損失を生じたときは、これをまずAグループの所得の金額((1)又は(4)の計算が行われる場合には、その計算後の金額)から差し引き、次に譲渡所得の金額及び一時所得の金額((2)又は(3)の計算が行われる場合にはその計算後の金額)から差し引き、最後に退職所得の金額((5)の計算が行われる場合には、その計算後の金額)から差し引く。
  • (7) (1)から(6)までの計算を行ってもなお引ききれない損失の金額は、その年分の純損失の金額となる。

<変動所得の損失等の損益通算>(令199

 不動産所得又は事業所得の金額の計算上生じた損失の金額のうちに変動所得の損失の金額、被災事業用資産の損失の金額又はその他の損失の金額の二以上があるときは、まずその他の損失の金額、次に被災事業用資産の損失の金額、最後に変動所得の損失の金額を差し引く。山林所得の金額の計算上生じた損失の金額については、まずその他の損失の金額、次に被災事業用資産の損失の金額を差し引く。

<上場株式等に係る譲渡損失の損益通算の特例>

 確定申告書を提出する居住者等の平成21年分以後の各年分の上場株式等に係る譲渡損失の金額がある場合には、その上場株式等に係る譲渡損失の金額は、上場株式等に係る配当所得等の金額(申告分離課税を選択したものに限る。)を限度として、その年分の上場株式等に係る配当所得等の金額の計算上控除する(措法37の12の2)(詳細は247頁参照)。

<居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算の特例及び特定居住用財産の譲渡損失の損益通算の特例>

  • (1) 居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算の特例
      個人が、平成16年分以後の各年分の譲渡所得の金額の計算上生じた居住用財産の譲渡損失の金額がある場合には、その居住用財産の譲渡損失の金額については、その年の総所得金額等から控除するという損益通算の特例である(措法41の5①)(詳細は167頁参照)。
  • (2) 特定居住用財産の譲渡損失の損益通算の特例
      上記(1)との選択により、個人が、平成16年分以後の各年分の譲渡所得の金額の計算上生じた特定居住用財産の譲渡損失の金額がある場合には、その特定居住用財産の譲渡損失の金額については、その年の総所得金額等から控除するという損益通算の特例である(措法41の5の2①)(詳細は169頁参照)。

備考

(3)又は(6)の譲渡所得の金額のうちに土地建物等以外の資産に係る短期譲渡と長期譲渡に係る所得があるときは、短期譲渡分の所得金額から適用する(令198三、六)。

  • 税務通信

     

    経営財務