居住者が、自己又は自己と生計を一にする配偶者その他の親族のために、多額の医療費を支払ったときは、次の算式によって計算した医療費控除額が所得金額から控除される(法73①)。
- (1) 控除の要件
支払った医療費の合計額から、保険金、損害賠償金等により補填された部分の金額を控除した残額が、その者の合計所得金額の5%相当額と10万円のいずれか低い金額を超えること - (2) 控除額の計算
〔支払った医療費〕-〔保険金等での補填額〕-〔合計所得金額×5%又は10万円のいずれか低い金額〕=医療費控除額(ただし、200万円を超えるときは、200万円) - (3) 控除の対象となる医療費とは医師又は歯科医師による診療又は治療、治療又は療養に必要な医薬品の購入その他医療又はこれに関連する人的役務の提供の対価のうち通常必要と認められるものとされ、具体的には次に掲げるものの対価のうち、その病状、指定介護老人福祉施設における医療等の提供の状況、特定健康診査の結果高血圧症と同等の基準に該当する者の状態に応じて一般的に支出される水準を著しく超えない部分の金額をいう(法73②、令207、規40の3、基通73-3・5~7)。
- ① 医師又は歯科医師による診療又は治療
- ② 治療又は療養に必要な医薬品の購入
- ③ 病院、診療所、指定介護老人福祉施設又は助産所へ収容されるための人的役務の提供
- ④ あんまマッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師等の施術
- ⑤ 保健師、看護師又は准看護師による療養上の世話
- ⑥ 助産師による分べんの介助
- ⑦ 介護福祉法による喀痰吸引等又は認定特定行為業務従業者による特定行為
給与所得者も確定申告により医療費控除が認められる。
(注) 平成29年1月1日から令和8年12月31日までの間に自己又は自己と生計を一にする配偶者その他の親族のために、特定一般用医薬品等購入費を支払った場合においてその年中に健康の保持増進及び疾病の予防への取組として一定の取組を行っているときにおける医療費控除額は、その者の選択により、上記の医療費の控除に代えて、次の算式によって計算した金額とすることができる(措法41の17)。
- (1) 控除の要件
支払った特定一般用医薬品等購入費の合計額から、保険金、損害賠償金等により補填された部分の金額を控除した残額が、1万2千円を超えること - (2) 控除額の計算
〔支払った特定一般用医薬品等購入費〕-〔保険金等での補填額〕-1万2千円=医療費控除額(ただし、8万8千円を超えるときは、8万8千円)
いわゆる人間ドックその他の健康診断(重大な疾病が発見されその診断に基づく治療をした場合を除く。)及び美容整形手術の費用は含まれない(基通73-4)。
「特定一般用医薬品等購入費」とは、その製造販売の承認の申請に際して既に承認を与えられている医薬品と有効成分、分量、用法、用量、効能、効果等が明らかに異なる要指導医薬品及び一般用医薬品(一般用医薬品等)のうち、医療保険各法等の規定により療養の給付として支給される薬剤(医療用薬剤)との代替性が特に高いものとして一定のものの購入の対価をいう。
(注) 令和4年分以後は、その使用による医療保険療養給付費の適正化の効果が低いと認められる医薬品の購入の対価が除外されるとともに、その製造販売の承認の申請に際して医療用薬剤との代替性が特に高い要指導医薬品及び一般用医薬品と同種の効能又は効果を有すると認められる医薬品のうち、その使用による医療保険療養給付費の適正化の効果が著しく高いと認められるものとして一定のものの購入の対価が追加される。