居住者が教育又は科学の振興、文化の向上、社会福祉への貢献その他公益の増進に寄与する特定のものへ支出した寄附金(これを特定寄附金という。)があるときは、次のAの金額からBの金額を控除した残額が、所得金額から控除される(法78)。ただし、右記⑤から⑧までの法人に対して支出した特定寄附金のうち、税額控除の特例(措法41の18の3)の適用を受けるものを除く。
- A その年中に支出した特定寄附金の額の合計額(当該合計額がその年分の総所得金額、上場株式等に係る配当所得等の金額、土地等に係る事業所得等の金額、長期譲渡所得の金額、短期譲渡所得の金額、一般株式等に係る譲渡所得等の金額、上場株式等に係る譲渡所得等の金額、先物取引に係る雑所得等の金額、退職所得金額及び山林所得金額の合計額の40%を超えるときは、当該40%相当額)
- B 2,000円
なお、特定寄附金について、その寄附に係る山林所得、譲渡所得が非課税とされる寄附財産について寄附金控除を適用するときは、控除の対象となるのはその財産の取得価額に相当する分であって、これらの所得(特別控除前)金額は含まれない(措法40⑲)。
<特定寄附金とみなされるもの>
- (1) 特定公益信託のうち、その目的が教育又は科学の振興、文化の向上、社会福祉への貢献その他公益の増進に著しく寄与するものの信託財産とするために支出した金銭は、特定寄附金とみなされて寄附金控除の対象になる(法78③)。
- (2) 個人が平成7年1月1日から令和6年12月31日までの間に政治活動に関する寄附を行ったときは、税額控除の特例(措法41の18②)の適用を受ける場合を除き、その寄附のうち次のものは特定寄附金とみなされて寄附金控除の対象になる(措法41の18①)。
- ① 政党に対する寄附
- ② 政治資金団体に対する寄附
- ③ ①、②以外の政治団体で次に掲げるものに対する寄附
- イ 国会議員が主宰し、又は主な構成員となっているもの(研究団体を含む。)
- ロ 国会議員、都道府県の議会の議員、都道府県知事、指定都市の議会の議員又は指定都市の市長を後援することを本来の目的とするもの
- ハ ロの公職の候補者を後援することを本来の目的とするもの(この場合の寄附は、立候補の年及びその前年中のものに限る。)
- ④ 上記③のロの公職の候補者に対し、選挙運動に関してされる寄附
- (3) 個人が、認定特定非営利活動法人等に対し、特定非営利活動に係る事業に関連する寄附を行ったときは、税額控除の特例(措法41の18の2②)の適用を受ける場合を除き、その寄附に係る支出金は、特定寄附金とみなされて寄附金控除の対象になる(措法41の18の2①)。
- (4) 一定の居住者又は恒久的施設を有する非居住者(以下「居住者等」という。)が、特定新規中小会社の特定新規株式を払込み(その発行に際してするものに限る。以下同じ。)により取得をした場合において、その居住者等がその年中にその払込みにより取得をした特定新規株式(その年12月31日において有するものに限る。)の取得に要した金額(その金額の合計額は800万円が限度とされる。)については、寄附金控除を適用することができる(措法41の19)。
特定寄附金の範囲の主なものは、①国又は地方公共団体、②独立行政法人、③一定の業務を行う地方独立行政法人、④自動車安全運転センター、日本司法支援センター、日本私立学校振興・共済事業団及び日本赤十字社、⑤公益社団法人及び公益財団法人、⑥私立学校法人で学校及び幼保連携型認定こども園の設置若しくは学校及び専修学校若しくは各種学校の設置を主たる目的とするもの、⑦社会福祉法人及び⑧更生保護法人に対する寄附金である(法78②、令215、216、217)。
左記の税額控除の特例(措法41の18の3)については、286頁を参照。
左記の税額控除の特例(措法41の18②)については、285頁を参照。
①~③の寄附は政治資金規正法による総務大臣又は都道府県選挙管理委員会への報告が、④の寄附は公職選挙法による中央選挙管理委員会又は都道府県選挙管理委員会への報告がされていることを要する。
政治資金規正法に違反するもの及び寄附者に特別の利益が及ぶと認められるものを除く。
認定特定非営利活動法人等とは、特定非営利活動促進法第2条第3項に規定する認定特定非営利活動法人及び第4項に規定する特例認定特定非営利活動法人をいう。
左記の税額控除の特例(措法41の18の2②)については、285頁を参照。
特定新規中小会社の特定新規株式とは、次の株式をいう。
- ① 中小企業等経営強化法第6条に規定する特定新規中小企業者に該当する一定の株式会社により発行される株式(措法41の19①一)
- ② 内国法人のうちその設立の日以後5年を経過していない一定の株式会社により発行される株式(措法41の19①二)
- ③ 沖縄振興特別措置法第57条の2第1項に規定する指定会社(令和4年3月31日までに指定を受けたものに限る。)により発行される株式(措法41の19①三)
- ④ 国家戦略特別区域法第27条の5に規定する株式会社により発行される株式で国家戦略特別区域法及び構造改革特別区域法の一部を改正する法律附則第1条第1号に掲げる規定の施行の日から令和4年3月31日までの間に発行されるもの(措法41の19①四)
- ⑤ 地域再生法第16条に規定する事業を行う同条に規定する株式会社により発行される株式で地域再生法の一部を改正する法律の施行の日から令和4年3月31日までの間に発行されるもの(措法41の19①五)