税務用語辞典


  • 令和3年度 税制改正対応版※令和3年4月1日現在の法令等によっています。

報酬料金等

この解説は最終更新日から1年以上経過しており、現行法令に準拠していない可能性があります。

税務研究会お試し

 居住者に対して、次に掲げる報酬、料金、契約金又は賞金の支払をする者は、その支払の際に、その支払金額に一定の税率を乗じて計算した所得税を源泉徴収し、その徴収の日の属する月の翌月10日までに納付しなければならない(法204205)。

 ただし、報酬、料金等のうち個人から支払われるものは給与所得の源泉徴収義務者から支払われるものに、ホステス等の報酬又は料金はバー等の経営者から支払われるものに限って、それぞれ源泉徴収の対象となる(法204②二、三)。

 なお、源泉徴収義務者が報酬等の支払に係る所得税を納付しなかった場合において、税務署長がその源泉徴収義務者からその報酬等の支払に係る所得税を徴収するときは、その報酬等の支払を受けた者の業務を行った期間、業務の内容、その提供の程度その他の事項により、その報酬等の支払を受けた者ごとの支払金額及びその支払の日の推計等をして、これをすることができる(青色申告書を提出した個人の事業所得の金額等に係る支払及び青色申告書を提出した法人の支払に係るものを除く。)(法221②~⑦、令334の2)。

〈徴収税額等〉

 左記の報酬、料金等の支払をする者(源泉徴収義務者)が徴収すべき所得税額は、次のとおりである(法205令322)。

備考

平成25年1月1日から令和19年12月31日までの間に支払われる報酬料金等については、所得税と併せて、復興特別所得税(所得税の2.1%)を徴収し、納付しなければならない(東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法28、詳細は「復興特別所得税」の項(310頁)を参照)。
 この報酬、料金等の支払者は、支払を受ける者の各人別に所定の事項を記載した「報酬・料金等の支払調書」を作成し、翌年1月31日までに税務署長に提出しなければならない(法225)。

(1) 原稿等の報酬又は料金

 ①原稿、さし絵、作曲、レコード吹込み又はデザインの報酬、②放送謝金、③著作権(著作隣接権を含む。)又は工業所有権の使用料、④講演料、⑤テープ若しくはワイヤーの吹込み、脚本、脚色、翻訳、通訳、校正、書籍の装てい、速記、版下(写真製版用写真原版の修整を含み、写真植字を除く。)若しくは雑誌、広告等の印刷物に掲載するための写真の報酬又は料金、⑥技術に関する権利、特別の技術による生産方式又はこれらに準ずるものの使用料、⑦技芸、スポーツその他これらに類するものの教授若しくは指導又は知識の教授の報酬又は料金、⑧投資助言業務に係る報酬又は料金(法204①一、令320①)

〈徴収税額等〉

  • (イ) 1回の支払金額のうち100万円以下の金額×10%(税率)
  • (ロ) 1回の支払金額が100万円を超える場合のその超える部分の金額×20%

法205一)

備考

 次のいずれかに該当する報酬又は料金で同一人に対して1回に支払う金額がおおむね5万円以下のものについては源泉徴収を省略してもよい(基通204-10)。

  • ⅰ) 懸賞応募作品等の入選者に支払う賞金等
  • ⅱ) 新聞、雑誌等の読者投稿欄への投稿者又はニュース写真等の提供者(あらかじめ委嘱した者は除く。)に支払う謝金等
  • ⅲ) ラジオ又はテレビジョン放送の視聴者番組への投稿者又はニュース写真等の提供者(あらかじめ委嘱した者は除く。)に支払う謝金等

(2) 弁護士等の報酬又は料金

 弁護士、司法書士、土地家屋調査士、公認会計士、税理士、社会保険労務士、弁理士、海事代理士、測量士、建築士、不動産鑑定士、技術士、計理士、会計士補、企業診断員(企業経営の改善、向上のための指導を行う者を含む。)、測量士補、建築代理士(建築に関する申請等の書類作成又はその手続の代理業者を含む。)、不動産鑑定士補、火災損害鑑定人、自動車等損害鑑定人又は技術士補(技術士又は技術士補以外の者で技術士と同一の業務を行う者を含む。)の業務に関する報酬又は料金(法204①二、令320②)

〈徴収税額等〉

  • (イ) (ロ)の報酬又は料金を除き、
    • ⅰ) 1回の支払金額のうち100万円以下の金額×10%
    • ⅱ) 1回の支払金額が100万円を超える場合のその超える部分の金額×20%
  • (ロ) 司法書士、土地家屋調査士又は海事代理士の業務に関する報酬又は料金
       (1回の支払金額-1万円)×10%

法205令322

(3) 社会保険診療報酬

 社会保険診療報酬支払基金法の規定により支払われる診療報酬(法204①三)

〈徴収税額等〉

(その月分として支払われる金額-20万円)×10%

法205二、令322

(4) 職業野球の選手等の報酬又は料金

 職業野球の選手、職業拳闘家、競馬の騎手、モデル(雑誌、広告等の印刷物にその容姿を掲載させて報酬を受ける者を含む。)、外交員、集金人、電力量計の検針人、プロサッカーの選手、プロテニスの選手、プロレスラー、プロゴルファー、プロボウラー、自動車のレーサー、自転車競技の選手、小型自動車競走の選手又はモーターボート競走の選手の業務に関する報酬又は料金(法204①四、令320

〈徴収税額等〉

  • (イ) (ロ)、(ハ)の報酬又は料金を除き、
    • ⅰ) 1回の支払金額のうち100万円以下の金額×10%
    • ⅱ) 1回の支払金額が100万円を超える場合のその超える部分の金額×20%
  • (ロ) 職業拳闘家の報酬又は料金
       (1回の支払金額-5万円)×10%
  • (ハ) 外交員、集金人又は電力量計の検針人の業務に関する報酬又は料金
       {その月中の支払金額-(12万円-その月中の給与等の額)}×10%

法205令322

(5) 映画、演劇等に係る出演の報酬又は料金

 ①映画、演劇、音楽、音曲、舞踏、講談、落語、浪曲、漫談、漫才、腹話術、歌唱、奇術、曲芸、物まね、ラジオ放送又はテレビジョン放送に係る出演、演出(指揮、監督等を含む。)又は企画の報酬又は料金、②映画や演劇の俳優、映画監督又は舞台監督(プロジューサーを含む。)、演出家、放送演技者、音楽指揮者、楽士舞踏家等の芸能人の役務の提供を内容とする事業に係るその役務の提供に関する報酬又は料金(不特定多数の者の支払うものを除く。)(法204①五、令320④⑤)

〈徴収税額等〉

  • (イ) 1回の支払金額のうち100万円以下の金額×10%
  • (ロ) 1回の支払金額が100万円を超える場合のその超える部分の金額×20%

法205

備考

 映画、演劇の俳優等、芸能人の役務の提供を内容とする事業を営む者が、自ら主催して演劇の公演を行っていること、映画又はレコードの製作を主たる事業としていること等の要件を備えていることについて税務署長の証明書の交付を受け、その証明書を提示して支払を受ける報酬、料金については、源泉徴収の必要はない(法206①、令323)。

(6) バー等のホステス等の報酬又は料金

 キャバレー、ナイトクラブ、バー等において客に侍してその接待をすることを業務とするホステス等のその業務に関する報酬又は料金でバー等の経営者から支払われるもの(バー等の経営者を通じて支払われるものを含む。)(法204①六、②三、③)

〈徴収税額等〉

  {1回の支払金額-(5,000円×支払金額の計算期間の日数)}×10%

 バー等の経営者が、ホステスに給与等を支払っているときは、上記算式の1回の支払金額から控除すべき額は上記算式により求めた額からその給与等の額を控除して計算する(法205二、令322)。

備考

 ホテル、旅館、飲食店その他飲食をする場所(臨時に設けられたものを含む。)で行われる飲食を伴うパーティー、催物その他の会合において、専ら接待その他の客をもてなすための役務の提供を行うことを業務とするホステス等をこれらの場所に派遣してその業務を行わせることを内容とする事業を営む者が、ホステス等に対し国内で支払うその業務に関する報酬又は料金は、このバー等のホステス等の報酬又は料金とみなされる(措法41の20措令26の29)。

(7) 職業野球の選手等の契約金

 職業野球の選手その他一定の者に専属して役務の提供をする者が、その一定の者のために役務を提供し、又はそれ以外の者のためにその役務を提供しないことを約することにより一時に受ける契約金(法204①七、令320⑥)

〈徴収税額等〉

  • (イ) 契約金の支払金額のうち100万円以下の金額×10%
  • (ロ) 1回の支払金額が100万円を超える場合はその超える部分の金額×20%

法205一)

(8) 広告宣伝のための賞金

 事業の広告宣伝のために賞として支払う金品その他の経済的利益(ただし、旅行その他役務の提供を内容とする賞金で、金品との選択をすることができないものは除く。)(法204①八、令320⑦)

〈徴収税額等〉

(支払金額-50万円)×10%(法205二、令322)

備考

 広告宣伝のための賞金として金銭以外のもので支払われる場合は、その支払を受ける者がその受けることとなった日にその金銭以外のものを譲渡するものとした場合にその対価として通常受けるべき価額に相当する金額を支払金額として税額を計算する(法205二、令321)。

(9) 馬主の競馬の賞金

 馬主に支払う競馬の賞金で金銭で支払われるもの(法204①八、令320⑦)

〈徴収税額等〉

{賞金の支払金額-(賞金の支払金額×20%+60万円)}×10%(法205二、令322

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