事業所得の金額の計算上、消費税額等は次のとおり処理することとされている(令182の2、平元.3.29直所3-8)。
税抜経理方式の場合
- 1 仮受消費税等及び仮払消費税等の処理
消費税等について税抜経理方式を採用し、その受領する消費税額等及び支払う消費税額等をそれぞれ仮受消費税等及び仮払消費税等として処理している場合には、消費税等の課税期間終了の時におけるこれらの金額の差額とその課税期間に係る納付すべき消費税額等又は還付されるべき消費税額等との差額を、その課税期間の属する年の総収入金額又は必要経費に算入する。 - 2 資産に係る控除対象外消費税額等の処理
消費税等について税抜経理方式を採用している場合で、その課税売上割合が95%に満たないことにより、仕入れに係る消費税額等の控除を個別対応方式又は一括比例配分方式によっている場合の資産に係る控除対象外消費税額等、すなわち、非課税売上に対応する仕入れに係る消費税額等(仮払消費税等勘定の残)については、次により必要経費に算入することができる。 - (1) 個々の取引の購入価額等に配賦して費用化する方式
資産に係る控除対象外消費税額等を個々の取引の購入価額等に配賦したうえで通常の減価償却等の方法により費用化する。 - (2) 個々の取引の購入価額等に配賦せずに費用化する方式
- イ 資産に係る控除対象外消費税等が生じた年
- ① 消費税等の課税売上割合が80%以上である場合には、その年において生じた控除対象外消費税額等の全額をその年の必要経費に算入する。
- ② ①の場合を除き、一の資産に係るものの金額が20万円未満であるもの、棚卸資産に係るもの又は特定課税仕入れに係るものについてはその年の必要経費に算入する。
- ③ ①の場合を除き、②により必要経費に算入される金額を控除した残額(繰延消費税額等)については、これを60で除し、さらに、その年において事業所得を生ずべき業務を行っていた期間の月数を乗じて計算した金額の2分の1に相当する金額を、その年の必要経費に算入する。
- ロ 資産に係る控除対象外消費税等が生じた年の翌年以後の各年
イの③の繰延消費税額等を60で除し、これにその年において事業所得等を生ずべき業務を行っていた期間の月数を乗じて計算した金額を、その年の必要経費に算入する。
税抜経理方式とは、消費税等の額と取引の対価の額とを区分して経理する方式をいう。
税抜経理方式による経理処理は、原則として取引のつど行うのであるが、年末に一括して行うこともできる。
消費税等の納税義務が免除されている者は、所得税の計算に当たり、税抜経理方式を採用することはできない。
左の1の差額の計算に当たっては、仮払消費税額等は2の控除対象外消費税額等に相当する金額を含めない金額による。
税込経理方式の場合
- 1 消費税等の総収入金額算入
消費税等について税込経理方式を採用している場合において、還付を受ける消費税額等がある場合には、次により総収入金額に算入する。 - (1) 還付を受ける消費税額等が納税申告書に記載されたものである場合には、その申告書が提出された日の属する年の総収入金額に算入する。
- (2) 還付を受ける消費税額等が更正に係るものである場合には、その更正があった日の属する年の総収入金額に算入する。
- 2 消費税等の必要経費算入
消費税等について税込経理方式を採用している場合において、納付すべき消費税額等がある場合には、次により必要経費に算入する。 - (1) 納付すべき消費税等の額が納税申告書に記載されたものである場合には、その申告書の提出された日の属する年の必要経費に算入する。
- (2) 納付すべき消費税等の額が更正又は決定に係るものである場合には、その更正又は決定のあった日の属する年の必要経費に算入する。
税込経理方式とは、消費税等の額と取引の対価の額とを区分しないで経理する方式をいう。
還付を受けるべき消費税額等について、申告書提出前に未収入金として計上したときは、その計上した日の属する年の総収入金額に算入してもよい。
納付すべき消費税額等について、申告書提出前に未払金として計上したときは、その計上した日の属する年の必要経費に算入してもよい。