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〔取得に要した金額並びに設備費及び改良費の合計額〕-〔償却費相当額〕=〔差し引く取得費〕
1 譲渡所得の総収入金額から差し引く取得費
取得に要した金額には、その資産が買い入れたもの又は製作したものであるときは、買入代金又は製作原価のほか、引取運賃、荷役費、据付費などの附随費用も一切含まれる。
なお、設備費及び改良費は、買入れ又は製作後これらの資産に投下されたものである。
償却費相当額は、その資産の取得の日から譲渡の日までの期間内の使用形態に応じ、業務に供されていた期間についてはその期間の償却費の累積額により、それ以外の期間については、事業用資産について定められている法定耐用年数を1.5倍した年数を耐用年数として、旧定額法(減価償却資産の取得価額からその残存価額を控除した金額にその償却費が毎年同一となるように当該資産の耐用年数に応じた償却率を乗じて計算した金額を各年分の償却費として償却する方法をいう。)で計算した減価の額によって計算する(法38、令85)。
備考
固定資産の取得のために借り入れた資金の利子のうち、その資金の借入の日からその固定資産の使用開始の日(その固定資産の取得後、その固定資産を使用しないで譲渡した場合においては、その譲渡の日)までの期間に対応する部分の金額は、業務の用に供される資産に係るもので、その業務に係る各種所得の金額の計算上必要経費に算入されたものを除き、その固定資産の取得費又は取得価額に算入する(基通38-8)。
2 昭和27年12月31日以前に取得した資産の取得費
昭和27年12月31日以前から引き続き所有していた譲渡所得の基因となる資産の譲渡による所得を計算する場合のその資産の取得費は、原則として、昭和28年1月1日における相続税評価額(資産再評価法の規定により再評価を行っている資産の再評価額が、昭和28年1月1日における相続税評価額を超える場合には、その再評価額)、並びに同日以後に支出した設備費及び改良費の額の合計額による。この場合その資産が使用又は時の経過により減価するものであるときは、その資産を同日においてその評価額で取得したとみなして計算される償却費相当額を控除した金額とされる。
また、有価証券のうち上場株式等は昭和27年12月中の平均終値により、その他のものは昭和28年1月1日におけるその株式等に係る法人の1株当たりの純資産額が取得費の額となる(法61、令172、173)。
(注) 土地建物等の長期譲渡所得の場合の概算取得費の特例(措法31の4)については、別項(
備考
ここにいう相続税評価額とは、昭和28年1月1日におけるその資産の現況に応じ、同日におけるその資産につき相続税及び贈与税の課税標準の計算について用いるべきものとして国税庁長官が定めて公表した方法により計算した価額による。
3 相続財産を譲渡した場合の取得費の特例
相続又は遺贈により財産を取得して相続税を課された者がその相続税の課税価格計算の基礎とされた資産を被相続人の死亡の日からその相続税の申告期限後3年以内に譲渡した場合には、その資産の譲渡所得の金額の計算上控除する取得費は、通常の取得費に、その者に課された相続税額(贈与税額控除及び相次相続控除前)に、その相続税の課税価格に占めるその譲渡した資産の価額の割合を乗じて計算した金額を加算した金額による(措法39、措令25の16)。
備考
左の特例は、確定申告書に必要事項を記載し、かつ、この特例による譲渡所得の金額の計算明細書その他所定の書類を添付した場合に限り適用される。ただし、確定申告書の提出がなかった場合又はその記載若しくは添付がない確定申告書の提出があった場合であっても、その提出又は記載若しくは添付がなかったことについてやむを得ない事情がある場合で、後日それらの提出等があった場合には、この特例を適用することができる。
相続財産の譲渡をした日の属する年分の確定申告期限の翌日から相続税の申告期限までの間に相続税の申告書の提出をした者は、その相続税の期限内申告書の提出をした日の翌日から2月以内に限り、税務署長に対し、更正の請求をして本制度の適用を受けることができる。
また、国外転出(相続)時課税制度の適用が取り消された場合には、その取消に係る修正申告書の提出又は更正のあった日の翌日から4月以内に限り、税務署長に対し、更正の請求をして本制度の適用を受けることができる(措法39④)。