税務用語辞典


  • 令和3年度 税制改正対応版※令和3年4月1日現在の法令等によっています。

譲渡所得となるもの

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1 固定資産などの譲渡(譲渡所得の基因となる資産)

 譲渡所得の基因となる資産は、棚卸資産及びこれに準ずる資産の譲渡その他営利を目的として継続的に行われる資産の譲渡による所得の基因となる資産、山林並びに金銭債権以外のいっさいの資産をいい、その資産には、借家権又は行政官庁の許可、認可、割当て等により発生した事実上の権利も含まれる(基通33-1)。

備考

固定資産である林地その他の土地に区画形質の変更を加え若しくは水道その他の施設を設け宅地等として譲渡した場合又は固定資産である土地に建物を建設して譲渡した場合には、当該譲渡による所得は棚卸資産又は雑所得の基因となる棚卸資産に準ずる資産の譲渡による所得としてその全部が事業所得又は雑所得となる。ただし、区画形質の変更、水道等の設置をした土地の面積が小規模(おおむね3,000㎡以下)のとき又は区画形質の変更、水道等の設置が土地区画整理法等法律の規定に基づいて行われたものであるときは、譲渡所得としてもよい。また、その区画形質の変更若しくは施設の設置又は建物の建設(以下「区画形質の変更等」という。)に係る土地がきわめて長期間引き続き所有されていたものである場合には、土地等の譲渡による所得のうち、区画形質の変更等による利益に対応する部分は事業所得又は雑所得に該当するものとし、その他の部分は譲渡所得に該当するものとしてもよいこととされる。この場合、譲渡所得の収入金額は、区画形質の変更等の着手前における土地の価額とされる(基通33-433-5)。

少額重要資産の譲渡による所得は、譲渡所得になる(令81)。

財産分与による資産の移転は譲渡所得の対象となる(基通33-1の4)。

2 借地権又は地役権の設定の対価

 建物若しくは構築物の所有を目的とする地上権若しくは賃借権(「借地権」という。)又は地役権(特別高圧架空電線の架設、特別高圧地中電線若しくはガス事業者が供給する高圧のガスを通ずる導管の敷設、飛行場の設置、モノレールの敷設、導流堤等の設置又は都市計画法第4条第14項に規定する公共施設の設置若しくは同法第8条第1項第4号の特定街区内における建築物の建築のために設定されたもので、建造物の設置を制限するものに限る。)の設定によって他人に土地を使用させる行為(借地の転貸その他他人をしてその借地を使用させる行為を含む。)のうち、その対価として支払を受ける金額がその土地(その土地の転貸の場合にあってはその借地権)の価額(地下若しくは空間について上下の範囲を定めた借地権若しくは地役権の設定である場合又は導流堤等若しくは河川法第6条第1項第3号に規定する遊水地の設置を目的とした地役権の設定である場合には、その2分の1)の50%を超える場合の所得が譲渡所得となる。また、その借地権の設定等が建物又は構築物の一部の所有を目的とするものである場合は、その借地権の対価として支払を受ける金額が、その土地(転貸の場合は、借地権)の時価のうち、その建物等の一部の床面積に対応する部分(床面積比等によるあん分)の金額の50%を超えるときは、譲渡所得となる(経済的利益がある場合の計算は後述)。ただし、大深度地下の公共的使用に関する特別措置法の規定により大深度地下の使用の認可を受けた事業と一体的に施行される事業(その認可を受けた事業に係る事業計画書に記載されたものに限る。)により設置される施設又は工作物の全部の所有を目的とする地下について上下の範囲を定めた借地権の設定がされた場合は、その設定の対価として支払を受ける金額が、その土地の価額の2分の1に相当する金額にその土地における地表から大深度までの距離のうちにその借地権の設定される範囲のうち最も浅い部分の深さからその大深度までの距離の占める割合を乗じて計算した金額の50%を超える場合の所得が譲渡所得となる(令79①)。

 なお、その設定の対価として支払を受ける金額が支払を受ける地代の年額の20倍に相当する金額以下である場合には、譲渡所得となる不動産等の貸付けに該当しないものと推定される(令79③)。

(注) 地価の2分の1以上の対価による借地権の設定等の行為を営利を目的として継続的に行う場合の所得は、事業所得又は雑所得となる。

3 贈与等又は低額譲渡

 贈与(法人に対するものに限る。)、相続(限定承認したものに限る。)又は遺贈(法人に対するもの及び個人に対する包括遺贈のうち限定承認に係るものに限る。)あるいは著しく低い対価によって資産の移転(法人に対するものに限る。)があったときは、その時の時価で資産の譲渡があったものとみなして譲渡所得が課税される(法59)。

備考

著しく低い対価とは、資産の譲渡の時における価額の2分の1に満たない価額をいう(令169)。

個人に対して贈与等をした場合には、譲渡所得は課税されないが、その取得をした者について贈与税又は相続税が課税される。

4 相続財産に係る非上場株式

 相続財産に係る非上場株式をその発行会社に譲渡した場合には、配当課税ではなく、株式の譲渡に係る所得として課税される(措法9の7)。

備考

「□4 配当所得」の相続財産に係る株式をその発行した上場株式等以外の株式会社に譲渡した場合のみなし配当課税の特例を参照のこと。

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