税務用語辞典


  • 令和3年度 税制改正対応版※令和3年4月1日現在の法令等によっています。

退職所得の計算

この解説は最終更新日から1年以上経過しており、現行法令に準拠していない可能性があります。

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 退職所得の金額={収入金額-退職所得控除額}×(1/2)(注)

(注) 令和4年分以後の所得税については、退職手当等が「短期退職手当等」である場合で、退職手当等の収入金額から退職所得控除額を控除した残額が300万円を超える部分につき、この2分の1課税の適用はない。
   また、平成25年分以後の所得税については、退職手当等が「特定役員退職手当等」である場合につき、この2分の1課税の適用はない。

備考

「短期退職手当等」とは、勤続年数が5年以下に対応する退職手当等として支払を受けるものであって、下記、特定役員退職手当等に該当しないものをいう(法30④)。

「特定役員退職手当等」とは、①法人税法第2条第15号に規定する役員、②国会議員及び地方議会議員、③国家公務員及び地方公務員で、勤続年数が5年以下の者に対する退職手当等をいう(法30⑤)。

所得税法別表第六において、勤続年数に応じた控除額が表示されている。

(退職所得控除額)

 退職所得控除額は、勤続年数に応じ、次の算式で計算した額である(法30③⑥)。

  • ① 勤続年数が20年以下である場合
     40万円×勤続年数……これにより計算した額が80万円未満のときは、80万円とする。
  • ② 勤続年数が20年を超える場合
     {70万円×(勤続年数-20年)}+800万円

 次のような退職所得の計算の特例がある(法30⑥、令6969の270)。

(勤続期間の通算が行われる場合等の控除額)

  • (1) その年の退職手当等の支給額の計算が前年以前に支払を受けた退職手当等に係る勤続年数を通算して行われている場合……次により求めた控除額
     〔前年以前に支払を受けた退職手当等に係る勤続年数を通算した勤続年数により計算した退職所得控除額〕-〔前年以前に支払を受けた退職手当等に係る勤続年数により計算した退職所得控除額〕
  • (2) その年の前年以前4年内(その年に確定拠出年金に係る退職一時金等の支払を受ける場合には、14年以内)に退職手当等の支給を受けていた場合でその退職手当等に係る勤続年数とその年の退職手当等に係る勤続年数に重複する期間がある場合……次により求めた控除額
     〔その年の退職手当等に係る勤続年数により計算した退職所得控除額〕-〔重複期間を勤続年数とみなして計算した退職所得控除額〕

(障害退職の場合の割増控除額)

 障害者になったことに直接基因して退職したと認められる場合は、上記により計算した額に100万円を加算した金額(最低控除額180万円)が退職所得控除額となる。

(勤続年数の計算)

  • ① 退職所得者の勤続年数は、原則として、その者が退職手当等の支払者のもとにおいて引き続き勤務した期間により計算する。
  • ② みなし退職手当の勤続年数は、みなし退職手当の支給額の計算の基礎となった組合員等であった期間の年数により計算する。

備考

勤続年数の計算上の期間に1年未満の端数があるときはこれを切り上げて1年とする(令69②)。
 なお、勤続年数の計算については、「退職所得の源泉徴収事務」(323頁)参照。

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