〈制度の概要〉
個人の有する土地等又は資産について換地処分等により土地等若しくは施設建設物の一部等を取得した場合には、納税者の選択の有無と無関係(右記、特例の対象となる「換地処分等」⑥を除く。)に、全て換地処分等により譲渡した土地等又は資産の譲渡はなかったものとみなされる(措法33の3)。
換地処分等に伴い土地等若しくは施設建築物の一部等とともに清算金、保留地の対価、補償金等を取得した場合には、その譲渡した土地等若しくは施設建築物の一部等のうち清算金等に対応する部分の譲渡があったものとして課税される(措法33①三、33の4)。
〈特例の対象となる譲渡又は資産〉
特例の対象となる「換地処分等」とは、次のとおりである(措法33の3①②④⑥⑧)。
- ① 個人がその有する土地等について土地区画整理法による土地区画整理事業、新都市基盤整備法による土地整理、土地改良法による土地改良事業又は大都市地域住宅等供給促進法による住宅街区整備事業が施行され、その土地等に係る換地処分により土地等又は建築物の一部とその敷地の共有持分、施設住宅の一部等若しくは施設住宅若しくは施設住宅敷地に関する権利を取得したとき
- ② 個人がその有する資産について都市再開発法による第1種市街地再開発事業が施行され、その資産に係る権利変換により施設建築物の一部を取得する権利若しくは施設建築物の一部についての借家権を取得する権利及び施設建築敷地若しくはその共有持分若しくは地上権の共有持分(その資産に係る権利変換が同法第110条第1項又は第110条の2第1項の規定により定められた権利変換計画により定められたものである場合には、施設建築敷地に関する権利又は施設建築物に関する権利を取得する権利)若しくは個別利用区内の宅地若しくはその使用収益権を取得したとき
- ③ 個人がその有する資産について都市再開発法による第2種市街地再開発事業の施行に伴い買い取られ又は収用された場合において、その買取りの対価又は収用の補償金に代えて建築施設の部分の給付(当該給付が都市再開発法第118条の25の3第1項の規定により定められた管理処分計画において定められたものである場合には、施設建築敷地又は施設建築物に関する権利の給付)を受ける権利を取得したとき
- ④ 個人がその有する資産について密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律による防災街区整備事業が施行され、その資産に係る権利変換により防災施設建築物の一部を取得する権利若しくは防災施設建築物の一部についての借家権を取得する権利及び防災施設建築敷地若しくはその共有持分若しくは地上権の共有持分(その資産に係る権利変換が同法第255条から第257条までの規定により定められた権利変換計画(全員同意型の権利変換計画)により定められたものである場合には、防災施設建築敷地に関する権利又は防災施設建築物に関する権利を取得する権利)又は個別利用区内の宅地若しくはその使用収益権を取得したとき
- ⑤ 個人がその有する資産(マンションの建替え等の円滑化に関する法律に規定する施行マンションに関する権利及びその敷地利用権に限る。)について同法によるマンション建替事業が施行され、その資産に係る権利変換により施行再建マンションに関する権利を取得する権利又はその敷地利用権を取得したとき
- ⑥ 個人が、その有する資産についてマンションの建替え等の円滑化に関する法律による敷地分割事業が実施され、その資産に係る敷地権利変換により除却敷地持分、非除却敷地持分等又は敷地分割後の団地共用部分の共有持分を取得したとき
- ⑦ 個人がその有する土地等(棚卸資産その他これに準ずる資産で一定のものを除く。)で被災市街地復興推進地域内にあるものについて被災市街地復興土地区画整理事業が行われた場合において、その土地等に係る換地処分により、被災市街地復興特別措置法に規定する住宅等を取得したとき
〈譲渡所得の金額及び所得税額の計算〉
- ① 換地処分等により譲渡した土地等の譲渡はなかったものとみなす。
- ② 左記①~④⑦の場合において、清算金等をあわせて取得するときには、次により算出される金額に対応する部分の譲渡がなかったものとされる。
換地処分等により譲渡した土地等の価額×{換地処分等により取得した土地等の価額/(換地処分等により取得した土地等の価額+清算金等の額)}
この場合、清算金等に対応する部分は、次により算出される部分の譲渡があったものとして譲渡所得の譲渡益部分が算出される。
清算金等の額-{譲渡資産の取得費×〔清算金等の額/(換地取得資産の価額+清算金等の額)〕+譲渡費用}=譲渡益
(注) 上記の清算金等が土地等の権利者の任意申出により換地が定められなかったことにより支払われるもの等を除き、その清算金等で代替資産を取得したときは、「収用等に伴い代替資産を取得した場合の課税の特例」の適用を受けられる。また、清算金部分について5,000万円の特別控除を受けることも選択できる。
左記⑥は、マンションの管理の適正化の推進に関する法律及びマンションの建替え等の円滑化に関する法律の一部を改正する法律(令和2年法律第62号)の施行の日から適用する(令和3年改正法附則1十三)。