① 買換えの特例 個人が、平成5年4月1日から令和3年12月31日までの間に、その年1月1日において所有期間が10年を超える居住用の家屋及び土地若しくは土地の上に存する権利で、その者の居住期間が10年以上であるもの(譲渡資産)の譲渡(その譲渡に係る対価の額が1億円以下のものに限る。)をした場合において、その譲渡の日の属する年の前年1月1日からその譲渡の日の属する年の12月31日までの間に、その個人の居住の用に供する家屋又はその家屋の敷地の用に供する土地若しくはその土地の上に存する権利で国内にある一定のもの(買換資産)の取得をし、かつ、その取得の日からその譲渡の日の属する年の翌年12月31日までの間にその個人の居住の用に供したとき又は供する見込みであるときは、譲渡所得の課税について、譲渡がなかったものとして取得価額の引継ぎによる課税の繰延べの特例が認められている(措法36の2①)。 また、譲渡をした日の属する年の翌年1月1日から同年12月31日(特定非常災害の被害者の権利利益の保全等を図るための特別措置に関する法律の規定による災害に基因するやむを得ない事情がある場合で、一定の要件を満たしたときは、同日の属する年の翌々年12月31日。)に買換資産を取得し、かつ、その取得の日の属する年の翌年12月31日までに居住の用に供する見込みである場合についても、買換資産の取得価額の見積額で、この特例の適用を受けることができる(措法36の2②)。 なお、譲渡資産の譲渡をした日の属する年、その年の前年若しくは前々年又は譲渡資産の譲渡をした日の属する年の翌年若しくは翌々年に、その譲渡資産と一体としてその個人の居住の用に供されていた家屋又は土地若しくは土地の上に存する権利の譲渡(以下「一体資産の譲渡」という。)をした場合において、その一体資産の譲渡に係る対価の額とその譲渡資産の譲渡に係る対価の額との合計額が1億円を超えることとなるときは適用されない(措法36の2③④)。
② 交換の特例 個人が買換え特例の譲渡資産に該当するもの(交換譲渡資産)とこの特例の買換資産に該当するもの(交換取得資産)とを交換した場合においては、交換譲渡資産を①の特例の譲渡資産とし、また、交換取得資産を①の特例の買換資産として、それぞれその交換の日におけるこれらの資産の価額により譲渡又は取得があったものとして①の特例が適用される(措法36の5)。 なお、交換譲渡資産と交換取得資産の差額を補うために授受される交換差金(交換取得資産に該当しない他の資産と交換した場合に取得した交換差金を含む。)で買換資産を取得する場合についても、①の特例が適用される。
① 居住用の家屋(既存の耐火建築物又は既存の非耐火建築物の場合には、建築後25年以内のもの又は建築基準法施行令第3章及び第5章の4の規定若しくは国土交通大臣が財務大臣と協議して定める地震に対する安全性に係る基準(以下「耐震基準等」という。)に適合することが(注)証明されたものに限る。) (注) 既存の非耐火建築物にあっては、譲渡年の12月31日(又は取得期限)までに耐震基準等に適合することが証明されたものも買換資産となる。
② ①に掲げる家屋の敷地の用に供する土地又はその土地の上に存する権利で、その土地の面積(①のロの場合には、その者の有する独立部分の床面積によりあん分して計算した面積)が500㎡以下であるもの
〈譲渡所得の金額及び所得税額の計算〉
① 譲渡資産の譲渡価額が買換資産の取得価額以下である場合……譲渡資産の譲渡がなかったものとされる。
② 譲渡資産の譲渡価額が買換資産の取得価額を超える場合……譲渡資産のうちその超える金額に相当するものとして次により計算されるその超える部分の譲渡があったものとして長期譲渡所得の課税の特例が適用される。 〔譲渡資産の収入金額(A)-買換資産の取得価額(B)〕-〔譲渡資産の取得費+譲渡費用〕×{〔(A)-(B)〕/(A)}=譲渡があったものとされる譲渡資産に係る譲渡益