未成年者口座を開設している居住者又は恒久的施設を有する非居住者(居住者等)が、次の未成年者口座内上場株式等の区分に応じそれぞれの期間内に、未成年者口座内上場株式等の未成年者口座管理契約に基づく譲渡をした場合には、その譲渡による事業所得、譲渡所得及び雑所得については所得税(及び住民税)を課さない。また、未成年者口座内上場株式等の譲渡による収入金額がその未成年者口座内上場株式等の取得費及びその譲渡に係る必要経費に満たない場合におけるその不足額は、所得税に関する法令の規定の適用上、ないものとみなす(措法37の14の2①②)。
- ① 非課税管理勘定に係る未成年者口座内上場株式等…未成年者口座に非課税管理勘定を設けた日からその年の1月1日以後5年を経過する日までの間
- ② 継続管理勘定に係る未成年者口座内上場株式等…未成年者口座に継続管理勘定を設けた日から未成年者口座を開設した者が1月1日において20歳以上(令和5年1月1日以後においては、18歳以上)である年の前年12月31日までの間
1 未成年者口座内上場株式等の譲渡による所得の区分計算
この特例を適用する場合において、居住者等が未成年者口座管理契約に基づいて未成年者口座内上場株式等の譲渡をしたときは、その未成年者口座内上場株式等の譲渡による所得とそれ以外の上場株式等の譲渡による所得とを区分して計算する(措法37の14の2③)。
2 振替記載等に係る他の口座への移管若しくは返還又は未成年者口座の廃止があった場合の取扱い
未成年者口座管理契約に従って行う未成年者口座から他の株式等の振替口座簿への記載若しくは記録若しくは保管の委託(以下「振替記載等」という。)に係る口座(他の保管口座)への移管、非課税管理勘定からその非課税管理勘定が設けられている未成年口座に係る他の年分の非課税管理勘定若しくは継続管理勘定への移管若しくは未成年者口座内上場株式等に係る有価証券の当該居住者若しくは恒久的施設を有する非居住者への返還又は未成年者口座の廃止等により、非課税管理勘定又は継続管理勘定からの未成年者口座内上場株式等の払出しがあった場合には、当該払出しがあった未成年者口座内上場株式等については、次の要領により、所得税に関する法令の規定を適用する(措法37の14の2④)。
- ① 上記の事由が生じた時に、その時における価額(払出し時の金額)により未成年者口座管理契約に基づく譲渡があったものとみなす。
- ② 上記の事由による未成年者口座内上場株式等の払出しがあった非課税管理勘定又は継続管理勘定が設けられている未成年者口座を開設していた居住者等については、その事由による払出しがあった時に、その払出し時の金額をもってその事由による払出しがあった未成年者口座内上場株式等の数に相当する数の当該未成年者口座内上場株式等と同一銘柄の株式等の取得をしたものとみなす。
※ 相続又は遺贈により未成年者口座から未成年者口座内上場株式等の払出しがあった場合についても同様の取扱いとなる。
未成年者口座内上場株式等とは、未成年者口座管理契約に基づいて振替記載等がされている上場株式等をいう。
3 未成年者口座の意義等
- ① 未成年者口座の意義
居住者等(その年1月1日において20歳未満(令和5年1月1日以後に開設される口座については、18歳未満)である者に限る。)が、この特例の適用を受けるため、未成年者口座開設届出書に、未成年者非課税適用確認書又は未成年者口座廃止通知書を添付して、これを当該金融商品取引業者等の営業所の長に提出をして、その金融商品取引業者等との間で締結した未成年者口座管理契約に基づき平成28年4月1日から令和5年12月31日までの間に開設された上場株式等の振替記載等に係る口座(その口座において未成年者口座管理契約に基づく取引以外の取引に関する事項を行わないものに限る。)をいう(措法37の14の2⑤一)。 - ② 未成年者口座管理契約の意義
この特例の適用を受けるために居住者等が金融商品取扱業者と締結した上場株式等の振替記載等に係る契約で、その契約書において、次の事項等が記載されているものをいう(措法37の14の2⑤二)。 - イ 上場株式等の振替口座簿への振替記載等は、その振替記載等に係る口座に設けられた非課税管理勘定又は継続管理勘定において行うこと
- ロ その非課税管理勘定においては、居住者等の次に掲げる上場株式等のみを受け入れること
- (イ) 次に掲げる上場株式等で、非課税管理勘定が設けられた日からその日の属する年の12月31日までの間に受け入れた上場株式等の取得対価の額の合計額が80万円((ロ)の上場株式等がある場合には、その上場株式等の移管に係る払出しの時の金額を控除した金額)を超えないもの
- (1) その期間内に金融商品取引業者への買付けの委託により取得をした上場株式等、金融商品取引業者から取得をした上場株式等又は金融商品取引業者が行う上場株式等の募集により取得をした上場株式等で、その取得後直ちにその口座に受け入れられるもの
- (2) 非課税管理勘定を設けた口座に係る他の年分の非課税管理勘定から移管がされる上場株式等((ロ)の上場株式等を除く。)
- (ロ) 非課税管理勘定を設けた口座に係る他の年分の非課税管理勘定から、その非課税管理勘定が設けられた年の1月1日から5年を経過した日に設けられる非課税管理勘定に、同日に移管がされる上場株式等
- (ハ) その他一定の上場株式等
- ハ 継続管理勘定においては、居住者等の次に掲げる上場株式等のみを受け入れること
- (イ) その口座に継続管理勘定が設けられた日からその日の属する年の12月31日までの間に、その継続管理勘定を設けた口座に係る非課税管理勘定から移管がされる上場株式等((ロ)の上場株式等を除く。)で、その移管に係る払出し時の金額の合計額が80万円((ロ)の上場株式等がある場合には、その上場株式等の移管に係る払出しの時の金額を控除した金額)を超えないもの
- (ロ) 非課税管理勘定を設けた口座に係る他の年分の非課税管理勘定から、その非課税管理勘定が設けられた年の1月1日から5年を経過した日に設けられる非課税管理勘定に、同日に移管がされる上場株式等
- (ハ) その他一定の上場株式等
- ニ 次に掲げる上場株式等は、それぞれ次の移管がされること
- (イ) その口座に非課税管理勘定が設けられた日の属する年の1月1日から経過して5年を経過する日において有する非課税管理勘定に係る上場株式等 次の区分に応じて、それぞれ次の移管
- (1) その5年を経過する日の属する年の翌年3月31日において居住者等が18歳未満である場合 その5年を経過する日の翌日に行うその口座と同時に設けられた課税未成年者口座への移管
- (2) (1)以外の場合 その5年を経過する日の翌日に行う他の保管口座への移管
- (ロ) 居住者等がその年1月1日において20歳(令和5年1月1日以後に設けられる非課税管理勘定については、18歳)である年の前年12月31日において有する継続管理勘定に係る上場株式等 その12月31日の翌日に行う他の保管口座への移管
- ③ 非課税管理勘定の意義
未成年者口座管理契約に基づき振替記載等がされる上場株式等について、その振替記載等に関する記録をその他の取引と区分して行うための勘定で、平成28年から令和5年までの各年の1月1日に設けられるものをいう(措法37の14の2⑤三)。 - ④ 継続管理勘定の意義
未成年者口座管理契約に基づき振替記載等がされる上場株式等について、その振替記載等に関する記録をその他の取引と区分して行うための勘定で、令和6年から令和10年までの各年の1月1日に設けられるものをいう(措法37の14の2⑤四)。 - ⑤ 課税未成年者口座の意義
未成年者口座を確認した居住者等が、未成年者口座を開設している金融商品取引業者の営業所等に開設している特定口座等により構成される口座のうち、未成年者口座と同時に設けられるものをいう(措法37の14の2⑤五)。 - ⑥ 課税未成年者口座管理契約の意義
この特例の適用を受ける居住者等が、⑤の特定口座等により構成される口座を開設する際に未成年者口座を開設する金融商品取引業者と締結した契約で、その契約書に次の事項等が定められているものをいう(措法37の14の2⑤六)。 - イ 上場株式等の振替記載等又は金銭等の預入等は、振替記載等又は預入等に係る口座に設けられた課税管理勘定において行うこと
- ロ 課税管理勘定において振替記載等がされている上場株式等の譲渡等は、金融商品取引業者への売委託による方法等により行うこと
特定口座等…特定口座、預金口座、貯金口座、顧客から預託を受けた金銭等の管理のための口座
4 契約不履行等事由があった場合の取扱い
未成年者口座及び課税未成年者口座を開設する居住者等の基準年の前年12月31日又は令和5年12月31日のいずれか早い日までに契約不履行等事由が生じた場合には、次の要領による。この場合において、未成年者口座内上場株式等の譲渡による所得とそれ以外の株式等の譲渡による所得とを区分して計算する(措法37の14の2⑥)。
- イ 未成年者口座の開設の時から契約不履行等事由が生じたときまでの間にした未成年者口座内上場株式等の譲渡による事業所得等についてはこの特例の適用がなかったものとし、かつ、契約不履行等事由が生じた時に、未成年者口座内上場株式等の未成年者口座管理契約において定められた方法に従って行われる譲渡以外の譲渡があったものとみなす。
- ロ 未成年者口座の開設の時から契約不履行事由等が生じた時までの間に上記2の移管があった未成年者口座内上場株式等については、上記2(措法37の14の2④)の適用がなかったものとし、かつ、契約不履行事由等が生じた時にその移管があった時における払出しの時の金額により未成年者口座管理契約において定められた方法に従って行われる譲渡以外の譲渡があったものとみなす。
- ハ 契約不履行等事由の基因となった未成年者口座内上場株式等及び契約不履行等事由が生じた時におけるその未成年者口座に係る未成年者口座内上場株式等は、その契約不履行等事由が生じた時に、その時における払出し時の金額により未成年者口座管理契約において定められた方法に従って行われる譲渡以外の譲渡があったものとみなす。
契約不履行等事由とは、未成年者口座管理契約若しくは課税未成年者口座管理契約若しくはこれらの履行について未成年者口座管理契約若しくは課税未成年者口座管理契約の要件に該当しない事由が生じたこと又はこれらの口座の廃止をしたことをいう。
左記のイからハにより譲渡があったものとみなされる未成年者口座内上場株式等に係る収入金額がその取得費譲渡費用の合計額に満たない場合におけるその不足額はないものとみなす(措法37の14の2⑦)。
基準年とは、居住者等がその年の3月31日において18歳である年をいう(措法37の14の2④三)。
5 未成年者口座年間取引報告書の提出
金融商品取引業者等は、その年においてその金融商品取引業者等の営業所に開設されていた未成年者口座がある場合には、その未成年者口座を開設した居住者等の氏名、住所及び個人番号、その年中にその未成年者口座において処理された上場株式等の譲渡の対価の額、その未成年者口座に係る未成年者口座内上場株式等の配当等の額その他所定の事項を記載した報告書を作成し、その年の翌年1月31日までに、その金融商品取引業者等のその未成年者口座を開設する営業所の所在地の所轄税務署長に提出しなければならない(措法37の14の2○27)。