税務用語辞典


  • 令和3年度 税制改正対応版※令和3年4月1日現在の法令等によっています。

特定の事業用資産の買換えの場合の課税の特例

この解説は最終更新日から1年以上経過しており、現行法令に準拠していない可能性があります。

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〈制度の概要〉

 個人が、昭和45年1月1日から令和5年12月31日まで(国内にある土地等、建物又は構築物で一定のものについては、同年3月31日まで)に、その有する特定の事業用資産で事業の用に供しているものの譲渡(その年の1月1日において所有期間が5年以下である土地等の譲渡は除く。(ただし、平成10年1月1日から令和5年12月31日までの間にした土地等の譲渡については、適用しない。))をした場合において、その譲渡の日の属する年中に事業の用に供する特定の資産の取得をし、かつ、その取得の日から1年以内に当該取得した資産を事業の用に供したとき(いわゆる買換え)は、譲渡所得の課税について、譲渡資産のうち、譲渡による収入金額又は買換資産の取得価額に対応する部分の80%に相当する部分については、譲渡がなかったものとする取得価額の引継ぎによる課税の繰延べの特例が認められる(措法37①⑤⑫)。

 この特例の対象とされる買換資産の取得期間は、原則としては、譲渡資産を譲渡した日の属する年の12月31日までに買換資産を取得する場合に適用されることになっているが、次のような特例が認められている(措法37③④)。

  • ① 譲渡した日の属する年の前年中(工場等の建設等に用する期間が通常1年を超えるやむを得ない事情がある場合には前々年中)に取得した資産を買換資産としてこの特例を適用することができる。
  • ② 譲渡の日の属する年の翌年中(工場等の建設等に用する期間が通常1年を超えるやむを得ない事情がある場合において税務署長の承認を受けたときは最長翌年以後3年内。)に買換資産を取得する見込みである場合には、税務署長の承認を受けた買換資産の取得価額の見積額でこの特例の適用を受けることができる。

 また、個人が特定非常災害の被害者の権利利益の保全等を図るための特別措置に関する法律の規定による災害に基因するやむを得ない事情がある場合で、一定の要件を満たしたときは上記②の適用を受けることができる(措法37⑧)。

〈特例の対象となる譲渡又は資産〉

 特定の事業用資産の買換えの特例は、既成市街地等の内から外への買換えなど譲渡資産及び買換資産との所在場所等の関連で定められている特定の「買換えの組合せ」に合致する場合に認められる。

(1) ~ (10)}法人税の「特定の資産を買い換える場合の圧縮記帳」の項を参照(421頁)のこと。

〈譲渡所得の金額及び所得税額の計算〉

 次により計算される。

  • ① 譲渡資産の譲渡価額が買換取得資産の取得価額以下のとき……譲渡資産の価額×20%の部分の譲渡があったものとして、
  • ② 譲渡資産の譲渡価額が買換取得資産の取得価額を超えるとき……
     譲渡資産の価額×{(譲渡による収入金額(A)-買換資産の取得価額の80%)/A}
     の部分の譲渡があったものとして、

長期譲渡所得の課税の特例又は短期譲渡所得の課税の特例が適用される。

(注) 譲渡資産や買換資産が二以上ある場合には、上記の算式により一括して計算する。

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