〈制度の概要〉
個人の有する土地等(土地及び土地の上に存する権利をいう。以下同じ。)が、右記に掲げる場合に該当することになった場合には、①課税長期譲渡所得金額又は②課税短期譲渡所得金額の計算上、これらを通じて2,000万円の特別控除額が控除される(措法34①、措令22の7)。
ただし、一の事業で右記の譲渡が二以上の年にわたって行われたときは、最初の譲渡が行われた年以外の譲渡については、2,000万円の特別控除は適用されない(措法34③)。
〈特例の対象となる譲渡又は資産〉
対象となる譲渡の範囲は、次のとおりである(措法34②)。
- ① 国、地方公共団体、独立行政法人都市再生機構等が土地区画整理事業、住宅街区整備事業、第一種市街地再開発事業又は防災街区整備事業として行う公共施設の整備改善、宅地造成、共同住宅の建設等の事業のため土地等を譲渡した場合
- ② 第一種市街地再開発事業の事業予定地内の土地等が、都市計画法第56条第1項の規定に基づき、その第一種市街地再開発事業の事業認可前に設立された市街地再開発組合に買い取られる場合
- ③ 防災街区整備事業の事業予定地内の土地等が都市計画法第56条第1項の規定に基づき、その防災街区整備事業の事業認可前に設立された防災街区整備事業組合に買い取られる場合
- ④ 古都保存法や都市緑地法等に規定する買取請求に基づき地方公共団体等に土地等を譲渡した場合(都市緑地法により譲渡した場合には一定の要件を満たす場合に限る。)
- ⑤ 重要文化財、史跡、名勝、天然記念物や国立公園及び国定公園の特別地域又は自然環境保全地域の特別地区として指定された土地を地方公共団体等に譲渡した場合
- ⑥ 保安林として指定された区域等内の土地を保安施設事業のために国等に譲渡した場合
- ⑦ 防災のための集団移転促進事業に係る国の財政上の特別措置等に関する法律に規定する移転促進区域内の農地等を集団移転促進事業計画に基づき地方公共団体に譲渡した場合
- ⑧ 農業経営基盤強化促進法の農用地で、同法の規定により定められた農用地利用規定の特例に基づいて行われる農用地利用改善事業の実施区域内にあるものが、その利用者の申請に基づき農地中間管理機構に買い取られる場合
〈譲渡所得の金額及び所得税額の計算〉
2,000万円の特別控除額は、収用交換等の場合の5,000万円特別控除の場合と同様の方法で控除する。この場合、同一年中に、2,000万円特別控除の対象となる所得が二つ以上ある場合には、2,000万円を限度として、①短期譲渡所得金額、②長期譲渡所得金額から順次控除する。