税務用語辞典


  • 令和3年度 税制改正対応版※令和3年4月1日現在の法令等によっています。

所得税法の規定による非課税所得

 非課税所得は全ての納税義務者に適用され、その適用を受けるためのなんらの手続も必要とせず、当然に課税所得から除外されるものである(法9)。

 所得税法第9条に列挙されている非課税所得は次のとおりである。

  • (1) 当座預金の利子(年1%を超える利率の利子を付された当座預金の利子を除く。)
  • (2) 小学校、中学校、義務教育学校、高等学校等の児童又は生徒が学校長の指導を受けて預入等をしたいわゆる子供銀行の預金等の利子
  • (3) 恩給、年金その他これらに準ずる給付で次に掲げるもの
    • イ 増加恩給(これに併給される普通恩給を含む。)及び傷病賜金その他公務上又は業務上の事由による負傷又は疾病に基因して受けるこれらに準ずる給付
    • ロ 遺族の受ける恩給及び年金(死亡した者の勤務に基づいて支給されるものに限る。)
    • ハ 地方公共団体が心身障害者に関して実施する共済制度に基づいて受ける給付
  • (4) 給与所得者が職務を遂行するために旅行をし、又は、転任、就職、退職をした者や死亡退職者の遺族がこれらに伴う転居のために旅行をした場合に支給される旅費等の金品で、その旅行について通常必要と認められる範囲内のもの
  • (5) 給与所得者が支給を受ける通勤手当のうち一定額以下の部分
  • (6) 給与所得者が支給を受ける現物給与で、船員の食料、制服、職務上一定の場所に居住を義務付けられている者の住居等、職務の性質上欠くことのできないもの
  • (7) 外国に勤務する居住者が通常の給与に加算して支給される在勤手当のうち、勤務地における物価、生活水準、為替相場等の相異により、日本国内において勤務する場合に比べて利益を受けると認められない部分の金額
  • (8) 外国政府、外国の地方公共団体又は国際連合等特定の国際機関に勤務する者で一定の要件に該当する者が、その勤務により受ける俸給、給料、賃金、歳費、賞与及びこれらの性質を有する給与。ただし、外国政府又は外国の地方公共団体に勤務する者の給与については、相互主義を条件として非課税とする。
  • (9) 生活用動産(自己又は配偶者その他の親族が生活の用に供する家具、什器、衣服等)の譲渡による所得
  • (10) 資力を喪失して債務を弁済することが著しく困難な場合における破産手続等の強制換価手続による資産の譲渡による所得及び資力を喪失して債務を弁済することが著しく困難であり、かつ、強制換価手続が避けられないと認められる場合の譲渡所得でその対価が債務弁済に充てられたもの(令26
  • (11) オープン型証券投資信託の収益の分配金のうち元本の払戻しに相当する部分
  • (12) 皇室経済法の規定による内延費及び皇族費
  • (13) 次に掲げる年金又は金品
    • イ 文化功労者年金法の規定による年金
    • ロ 日本学士院から恩賜賞又は日本学士院賞として交付される金品
    • ハ 日本芸術院から恩賜賞又は日本芸術院賞として交付される金品
    • ニ 学術若しくは芸術に関する顕著な貢献を表彰するものとして又は顕著な価値がある学術に関する研究を奨励するものとして、国、地方公共団体又は財務大臣の指定する団体、基金等から交付される金品(給与その他対価の性質を有するものを除く。)で財務大臣の指定するもの
    • ホ ノーベル基金からノーベル賞として交付される金品
    • ヘ 外国、国際機関、国際団体又は財務大臣の指定する外国の団体若しくは基金から交付されるこれらの年金又は金品に類する金品(給与その他対価の性質を有するものを除く。)で財務大臣の指定するもの
  • (14) オリンピック競技大会又はパラリンピック競技大会における成績優秀者を表彰するものとして財団法人日本オリンピック委員会等で財務大臣が指定するものから交付される金品
  • (15) 学資に充てるため給付される金品(給与その他対価の性質を有するもの(給与所得を有する者がその使用者から通常の給与に加算して受けるものであって、一定の場合に該当するものを除く。)を除く。)及び扶養義務者相互間において扶養義務を履行するため給付される金品
  • (16) 国又は地方公共団体が保育その他の子育てに対する助成を行う事業その他これに類する一定の助成を行う事業により、その業務を利用する者の居宅その他一定の場所において保育その他の日常生活を営むのに必要な便宜の供与を行う業務又は認可外保育施設その他一定の施設の利用に要する費用に充てるため支給される金品((15)の学資に充てるため給付される金品を除く。)
  • (17) 相続、遺贈又は個人からの贈与により取得したもの又は相続税法の規定によりこれらによって取得したとみなされるもの
  • (18) 保険業法に規定する損害保険会社等の締結した保険契約に基づき支払われる保険金、損害賠償金等で、心身に加えられた損害又は突発的な事故等による損害によったもの並びに心身又は資産に加えられた損害についての相当の見舞金
  • (19) 公職選挙法の適用を受ける選挙の候補者が、選挙運動の費用として、法人から贈与を受けた金銭、物品等で選挙管理委員会に報告されたもの

備考

非課税所得は当然に課税所得から除外されるものであるから、非課税所得の計算上の損失も他の所得から控除できず、したがって、損益通算という問題も起こらない(法9②)。

ハの共済制度とは、地方公共団体の条例において心身障害者を扶養する者を加入者とし、その加入者が地方公共団体に掛金を納付し、その地方公共団体が心身障害者の扶養のための給付金を定期に支給することを定めている共済制度で、特定の要件を備えているものをいう(令20②)。

通勤手当の非課税限度(令20の2

 交通機関又は有料の道路を利用し、かつ、運賃等を負担することを常例とする者(定期券の現物支給を含む。)…1月当たり150,000円

 自動車その他の交通用具による通勤者(片道2㎞未満を除く。)…1月当たり4,200円、通勤が片道10㎞以上15㎞未満である場合には7,100円、15㎞以上25㎞未満である場合には12,900円、25㎞以上35㎞未満である場合には18,700円、35㎞以上45㎞未満である場合には24,400円、45㎞以上55㎞未満である場合には28,000円、55㎞以上である場合には31,600円

(9)の生活用動産には貴石、貴金属、書画、こっとう等で1個又は1組の価額が30万円を超えるものは含まれない(令25)。

現在指定されている金品

 野口英世アフリカ賞、国の科学研究費補助金、独立行政法人日本学術振興会からの科学研究費補助金、国際生物学賞、ブループラネット賞、京都賞、大河内記念賞、日本国際賞、花の万博記念コスモス国際賞、高松宮妃癌研究基金研究助成金、高松宮妃癌研究基金学術賞、東レ科学技術研究助成金、東レ科学技術賞、内藤記念科学奨励金、内藤記念特定研究助成金、内藤記念科学振興賞、日本農業研究所賞、藤原賞、本多記念賞、三島研究奨励金、朝日賞、毎日学術奨励金、毎日出版文化賞、毎日工業技術賞、読売文学賞、国際ヒューマン・フロンティア・サイエンス・プログラム推進機構助成金、国際レーニン平和賞、ゼネラル・モーターズがん研究賞、マグサイサイ賞、国際獣疫事務局の研究費補助金、国際数学連合フィールズ賞

日本オリンピック委員会及び日本障害者スポーツ協会から交付される金品並びに日本オリンピック委員会及び日本障害者スポーツ協会の加盟団体から交付される金品(非課税限度額は、1位500万円、2位200万円、3位100万円)が指定されている。

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