税務用語辞典


  • 令和3年度 税制改正対応版※令和3年4月1日現在の法令等によっています。

障害者等の少額預金の利子所得等の非課税

 障害者等が行う元本350万円以下の少額預金の利子等については、所得税が課税されない(法10措法3の4)。

障害者等の範囲

 この非課税制度の適用を受けることができる障害者等の範囲は、日本国内に住所を有する次に掲げる者である(法10令31の2規4)。

  • ① 身体障害者福祉法第15条第4項の規定により身体障害者手帳の交付を受けている者
  • ② 国民年金法第37条の2第1項に規定する遺族基礎年金を受けることができる妻である者
  • ③ 国民年金法第49条第1項に規定する寡婦年金を受けることができる同項に規定する妻である者
  • ④ その他これらの者に準ずる一定の者

非課税の対象となる貯蓄の範囲

 この非課税制度の適用を受けられる貯蓄は、次の4種類である(法10①一~三)。なお、金融類似商品は適用を受けられない。

  • ① 預貯金
  • ② 合同運用信託(貸付信託、指定金銭信託)
  • ③ 特定公募公社債等運用投資信託(公募公社債等運用投資信託(委託者非指図型投資信託に限る。))
  • ④ 有価証券(公社債、公社債投資信託若しくは公募公社債等運用投資信託の受益権又は特定目的信託の社債的受益権)

 これらの貯蓄はいずれも本邦通貨であることが条件であり、外貨建預金については適用されない。また、外国公債についても本邦通貨で表示されている円建債に限られる。

備考

350万円の非課税枠の利用に当たっては、預貯金、信託、有価証券のうちの1種類に限られることはなく、2種類以上の貯蓄を選択することができる。したがって、金融機関等の店舗も2か所以上とすることができる。

非課税貯蓄の受入機関

 非課税貯蓄を受け入れることができる機関は次のとおりである(法10①、令32)。

  • ① 預貯金
    • (イ) 銀行(普通銀行、信託銀行)、信託会社(信託業法の免許を受けたものに限る。以下同じ。)、信用金庫、同連合会、労働金庫、同連合会、信用協同組合、同連合会、農林中央金庫、株式会社商工組合中央金庫、農業協同組合、同連合会、漁業協同組合、同連合会、水産加工業協同組合、同連合会
    • (ロ) 労働基準法第18条又は船員法第34条の規定により労働者又は船員の貯蓄金をその委託を受けて管理する者(いわゆる勤務先預金の受入機関)
    • (ハ) 国家公務員共済組合、地方公務員等共済組合、私立学校教職員共済組合で組合員等の貯金の受入をする者
  • ② 合同運用信託
      信託会社(金融機関の信託業務の兼営等に関する法律第1条第1項に規定する金融機関で信託業務を営む者を含む。)
  • ③ 有価証券
    • (イ) 銀行及び信託会社並びに信用金庫、労働金庫、信用協同組合、農業協同組合、漁業協同組合、水産加工業協同組合及びこれらの連合会
    • (ロ) 金融商品取引法第2条第9項に規定する金融商品取引業者(同法第28条第1項に規定する第一種金融商品取引業を行うものに限る。)
    • (ハ) 金融商品取引法第33条の2の登録を受けた生命保険会社及び損害保険会社
    • (ニ) 農林中央金庫
    • (ホ) 株式会社商工組合中央金庫

非課税の適用を受けるための手続

 この非課税制度の適用を受けようとする者は、最初に預入する時までに、住所、氏名、生年月日、個人番号、障害者等に該当する旨、その店舗に係る非課税枠その他の事項を記載した非課税貯蓄申告書を金融機関を経由して税務署へ提出(書面による提出に代えて非課税貯蓄申告書に記載すべき事項を電磁的方法により提供することができる。)するとともに、その提出の際、住所、氏名及び生年月日、個人番号並びに障害者等に該当する旨等を証する一定の公的書類を提示(署名用電子証明書等の送信を含む。)して本人確認を受けなければならない(法10③⑤⑧)。

 また、その後、非課税貯蓄を預入する際にはその預入のつど、住所、氏名、生年月日、障害者等に該当する旨、預入金額等を記載した非課税貯蓄申込書を提出(電磁的方法による提供を含む。)するとともに、公的書類により本人確認を受けなければならない(法10①②)。

(注) 非課税貯蓄申込書は預入のつど提出するのが原則であるが、次に掲げるものについては、最初に提出する非課税貯蓄申込書に当該口座に係る非課税扱いの最高限度額を記載しておけば、その最高限度額に達するまでは、預入のつど非課税貯蓄申込書を提出する必要はない(令35規6)。
   ①普通預金 ②納税準備預金 ③納税貯蓄組合預金 ④積立定期預金 ⑤据置貯金 ⑥勤務先預金 ⑦反復預入の契約がある定期預金及び通知預金 ⑧指定金銭信託及び貸付信託のうち積立式のもの ⑨公社債や公社債投資信託等の有価証券の購入のうち累積投資契約によるもの ⑩反復購入の契約のある金融債

備考

本人確認については、預入のつど確認書類の提示により行う方法のほか、あらかじめ確認書類の写しを添付した申請書を金融機関に提出(電磁的方法による提供を含む。)し、それに基づき作成された帳簿により行う方法がある(令41の2⑤)。

通帳式の定期預金、通知預金又は総合口座通帳の定期預金についてもこの方法によることができるが、これらの場合、1預金口座ごとに1通帳とし、通帳ごとに限度額の管理を行わなければならない。

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