税務用語辞典


  • 令和3年度 税制改正対応版※令和3年4月1日現在の法令等によっています。

繰越欠損金の損金算入

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  • (1) 内国法人の各事業年度開始の日前10年以内に開始した事業年度で青色申告書を提出した事業年度に生じた欠損金額がある場合には、当該各事業年度の所得金額(欠損金額を損金算入しない場合の金額)の100分の50相当額を限度として(中小法人等及び特例対象事業年度については、当該事業年度の欠損金の繰越控除前の所得金額の範囲内で)損金に算入する(法57①⑪)。ただし、欠損金額ですでに損金に算入された額又は欠損金の繰戻しによる法人税額の還付を受けた金額は、この限りでない。
    (注)1 中小法人等とは、その事業年度終了の時において以下に該当する法人をいう(法57⑪一)。
    • ① 普通法人(投資法人、特定目的会社及び受託法人を除く。)のうち、資本金の額若しくは出資金の額が1億円以下のもの又は資本若しくは出資を有しないもの(相互会社、大法人(資本金5億円以上である法人、相互会社又は外国相互会社及び法人課税信託の受託法人)との間にその大法人による完全支配関係がある普通法人(みなし完全支配関係がある普通法人を含む。)を除く。)
    • ② 公益法人等又は協同組合等
    • ③ 人格のない社団等

      2 特例対象事業年度とは以下に該当する事業年度をいう(法57⑪二・三、法令112⑭~⑲)。
    • ① 法人について生じた次に掲げる事実の区分に応じそれぞれ次に定める各事業年度(その事実が生じた日以後にその法人の株式が金融商品取引所に上場されたことその他のその法人の事業の再生が図られたと認められる事由が生じた場合には、その事由が生じた日のうち最も早い日以後に終了する事業年度を除く。)
      • イ 更生手続開始の決定があったこと その更生手続開始の決定の日から更生計画認可の決定の日以後7年を経過する日までの期間内の日の属する各事業年度
      • ロ 再生手続開始の決定があったこと その再生手続開始の決定の日から再生計画認可の決定の日以後7年を経過する日までの期間内の日の属する各事業年度
      • ハ 再生手続開始の決定があったことに準ずる事実 その事実が生じた日から同日の翌日以後7年を経過する日までの期間内の日の属する各事業年度
      • ニ 上記イからハまでの事実に準ずる事実 その事実が生じた日から同日の翌日以後7年を経過する日までの期間内の日の属する各事業年度
    • ② 法人の設立の日から同日以後7年を経過する日までの期間内の日の属する各事業年度(その法人の株式が金融商品取引所に上場されたこと等の事由が生じた場合には、その事由が生じた日のうち最も早い日以後に終了する事業年度を除く。)
  • (2) 組織再編成に伴う繰越欠損金の規定
    • ① 被合併法人等の未処理欠損金額の引継ぎ
       上記(1)の内国法人を合併法人とする適格合併が行われた場合又はその内国法人との間に完全支配関係(その内国法人による完全支配関係又は法人税法第2条第12号の7の6に規定する相互の関係に限る。)がある他の法人でその内国法人が発行済株式又は出資を有するものの残余財産が確定した場合において、被合併法人等(適格合併に係る被合併法人又は残余財産が確定した他の法人をいう。)の未処理欠損金額(被合併法人等の合併等事業年度以前の各事業年度(適格合併の日前10年以内に開始し、又は残余財産の確定の日の翌日前10年以内に開始した各事業年度に限る。)において生じた青色欠損金額のうち、被合併法人等において繰越控除された金額及び繰戻し還付の基礎とされた金額を控除した金額をいう。)があるときは、その未処理欠損金額に相当する金額は、適格合併の日の属する事業年度又は残余財産の確定の日の翌日の属する事業年度以後の各事業年度における繰越控除の適用において、その未処理欠損金額の生じた被合併法人等の事業年度開始の日の属する内国法人の各事業年度において生じた欠損金額とみなす(法57②)。
    • ② 未処理欠損金額に係る制限
      • イ 適格合併が共同で事業を行うための合併に該当する場合又は被合併法人等(上記①の適格合併に係る被合併法人又は残余財産が確定した他の内国法人をいう。)と上記①の内国法人との間にその内国法人の適格合併の日の属する事業年度開始の日の5年前の日若しくは残余財産の確定の日の翌日の属する事業年度開始の日の5年前の日、被合併法人等の設立の日若しくはその内国法人の設立の日のうち最も遅い日から継続して支配関係がある一定の場合のいずれにも該当しない場合には、その被合併法人の支配関係事業年度(その被合併法人と内国法人との間に最後に支配関係があることとなった日の属する事業年度をいう。)前に生じた欠損金額及び支配関係事業年度後の欠損金額のうち特定資産の譲渡等損失額に相当する金額から成る部分の金額は、上記①の未処理欠損金額に含まれない(法57③)。
      • ロ 上記①の内国法人と支配関係法人(その内国法人との間に支配関係がある法人をいう。)との間でその内国法人を合併法人、分割承継法人、被現物出資法人又は被現物分配法人とする適格組織再編成等(適格合併若しくは適格合併に該当しない合併で法第61条の13第1項の適用があるもの、適格分割、適格現物出資又は適格現物分配をいう。)が行われた場合(適格組織再編成等の日の属する事業年度開始の日の5年前の日、その内国法人の設立の日又はその支配関係法人の設立の日のうち最も遅い日から継続してその内国法人とその支配関係法人との間に支配関係がある一定の場合を除く。)において、その適格組織再編成等が共同で事業を行うための一定の適格組織再編成等に該当しないときは、その内国法人の支配関係事業年度(その内国法人と支配関係法人との間に最後に支配関係があることとなった日の属する事業年度をいう。)前に生じた欠損金額及び支配関係事業年度後の欠損金額のうち特定資産の譲渡等損失額に相当する金額から成る部分の金額は、その内国法人の適格組織再編成等の日の属する事業年度以後の繰越控除においてはないものとする(法57④)。

備考

欠損金の生じた事業年度に青色申告書を提出しその後の事業年度において連続して確定申告書(青色申告書でなくてもよい。)を提出し、かつ、欠損金額の生じた事業年度に係る帳簿書類を保存していなければならない(法57⑩)。

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