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法人が事業年度終了の時に有する外貨建資産等につき法人税法第61条の8第2項の規定の適用を受けたときは、先物外国為替契約等の締結の日(その日が外貨建資産等の取得又は発生の基因となった外貨建取引を行った日前である場合には、外貨建取引を行った日)の属する事業年度から外貨建資産等の決済による本邦通貨の受取又は支払をする日の属する事業年度までの各事業年度に為替予約差額を配分し、益金の額又は損金の額に算入する(法61の10①)。
備考
為替予約差額とは、外貨建資産等の金額を先物外国為替契約等により確定させた円換算額と、外貨建資産等の金額を外貨建資産等の取得又は発生の基因となった外貨建取引を行った時の外国為替の売買相場により換算した金額との差額をいう。
1 為替予約差額の配分すべき金額等
為替予約差額の各事業年度に配分すべき金額の計算及び配分すべき事業年度は次のとおり(令122の9)。
先物外国為替契約等の締結時期 | 配分すべき金額 | 配分すべき事業年度 |
外貨建資産等の取得又は発生の基因となった外貨建取引を行った時以後にその外貨建取引に係る先物外国為替契約等を締結した場合 | その外貨建資産等の金額につきその外貨建取引を行った時における外国為替の売買相場(取引時為替相場)により換算した円換算額と先物外国為替契約等を締結した時における外国為替の売買相場(締結時為替相場)により換算した円換算額との差額に相当する金額 | その先物外国為替契約等の締結の日の属する事業年度 |
その外貨建資産等の金額につき締結時為替相場により換算した円換算額と先物外国為替契約等により確定させた円換算額との差額をその先物外国為替契約等の締結の日からその外貨建資産等の決済による本邦通貨の受取又は支払の日(決済日)までの期間の日数で除し、これに当該事業年度の日数(当該事業年度がその先物外国為替契約等の締結の日の属する事業年度である場合には、同日から当該事業年度終了の日までの期間の日数)を乗じて計算した金額(当該事業年度がその外貨建資産等の決済日の属する事業年度である場合には、その差額から当該事業年度の前事業年度までに益金の額又は損金の額に算入した金額を控除して得た金額)に相当する金額 | その先物外国為替契約等の締結の日の属する事業年度からその外貨建資産等の決済日の属する事業年度までの各事業年度 | |
外貨建資産等の取得又は発生の基因となった外貨建取引に係る先物外国為替契約等を締結した後にその外貨建取引を行った場合 | その外貨建資産等の金額につき取引時為替相場により換算した円換算額とその先物外国為替契約等により確定させた円換算額との差額をその外貨建取引を行った日からその外貨建資産等の決済日までの期間の日数で除し、これに当該事業年度の日数(当該事業年度がその外貨建取引を行った日の属する事業年度である場合には、同日から当該事業年度終了の日までの期間の日数)を乗じて計算した金額(当該事業年度がその外貨建資産等の決済日の属する事業年度である場合には、その差額から当該事業年度の前事業年度までに益金の額又は損金の額に算入した金額を控除して得た金額)に相当する金額 | その外貨建取引を行った日の属する事業年度からその外貨建資産等の決済日の属する事業年度までの各事業年度 |
2 為替予約差額の一括計上
短期外貨建資産等(外貨建資産等のうち、その決済による本邦通貨の受取又は支払の期限が当該事業年度終了の日の翌日から1年を経過した日の前日までに到来するもの)の為替予約差額については、期間配分せず、当該事業年度に一括計上することもできる(法61の10③)。
ただし、為替予約差額の期間配分を行った外貨建資産等については、短期外貨建資産等に該当することとなった場合においても為替予約差額を一括計上することは認められず、引き続き為替予約差額の期間配分を行う(令122の9②)。
備考
為替予約差額の一括計上の方法の変更の手続については、令122の11参照。
3 為替予約差額の一括計上の方法の選定の手続き
為替予約差額を一括計上する方法は、外国通貨の種類を異にする短期外貨建資産等ごとに選定することができ、この選定をしようとする場合には、その選定をしようとする事業年度の確定申告書の提出期限(仮決算をして中間申告をする場合には、中間申告の提出期限)までに、納税地の所轄税務署長に届出を行わなければならない(令122の10)。
4 組織再編成における為替予約差額の配分