税務用語辞典


  • 令和3年度 税制改正対応版※令和3年4月1日現在の法令等によっています。

寄附金の損金不算入

 寄附金は、原則として損金に算入されるが、各事業年度において支出した寄附金の合計額のうち、その内国法人のその事業年度終了の時の資本金等の額又はその事業年度の所得の金額を基礎として計算した損金算入限度額を超える部分の金額は、その内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入されないこととされる(法37①)。

 この場合、各事業年度に支出した寄附金でも、国、地方公共団体又は港務局に対する公的な寄附金及び特に公益性の強いものとして財務大臣が指定した寄附金については、上記の損金算入限度額に関係なく、一定の要件のもとにその寄附金の額の全額が損金の額に算入される(法37③)。

備考

役員等が個人として負担すべき寄附金を肩代わりした場合は、その者に対する給与となる(基通9-4-2の2)。

寄附金を実際に支出した事業年度の損金に算入せず、これを仮払金等として繰延経理した場合でも、支出した事業年度の寄附金として損金不算入の規定を適用する(基通9-4-2の3)。

災害があった場合の寄附金の扱いは、交際費の扱いと同様(基通9-4-6の2~6の4)(470頁参照)。

寄附金の意義

 寄附金とは、寄附金、拠出金、見舞金その他いずれの名義をもってするかを問わず金銭その他の資産又は経済的な利益の贈与又は無償の供与をした場合の金銭の額若しくは金銭以外の資産のその贈与の時における価額又は経済的な利益のその供与の時の価額をいう。ただし、広告宣伝費等、交際費、接待費及び福利厚生費とされるものは、寄附金に該当しない(法37⑦)。

 寄附金の典型的なものは、社会事業団体、政治団体、学校、宗教団体等に対する寄贈金であるが、事業に直接関係のない者に対する贈与も原則として寄附金になる。

備考

寄附金を未払金に計上した場合には、現実に支出するまでは寄附金として取り扱われない(令78)。その寄附金の支払のための手形の振出しは、現実の支払には該当しない(基通9-4-2の4)。

国等に対する寄附金、指定寄附金、公益の増進に著しく寄与する法人への寄附金は、申告書又は更正請求書にその旨の記載及び寄附金の明細書の添付をするとともに、その証明書類を保存していなければ損金算入は認められない(法37⑨)。

国又は地方公共団体に対する寄附金とは、国又は地方公共団体において採納されるものをいうが、国立又は公立の学校等の施設の建設又は拡張等の目的をもって設備された後援会等に対する寄附金であっても、その目的である施設が完成後遅滞なく国等に帰属することが明らかなものも該当する(基通9-4-3)。

国等に対して採納の手続を経て支出した寄附金であっても、その寄附金が特定の団体に交付されることが明らかである等最終的に国等に帰属しないものは、国等に対する寄附金には該当しない(基通9-4-4)。

日本中央競馬会等のように全額政府出資により設立された法人又は日本下水道事業団等のように地方公共団体の全額出資により設立された法人に対する寄附金は、国等に対する寄附金には該当しない(基通9-4-5)。

災害救助法が適用される市町村の区域の被災者のための義援金等の募集を行う募金団体(日本赤十字社、新聞・放送等の報道機関等)に対して拠出した義援金等については、その義援金等が最終的に義援金配分委員会等(災害対策基本法第40条第1項《都道府県地域防災計画》の都道府県地域防災計画又は同法第42条第1項《市町村地域防災計画》の市町村地域防災計画に基づき地方公共団体が組織する義援金配分委員会その他これと目的を同じくする組織で地方公共団体が組織するものをいう。)に対して拠出されることが募金趣意書等において明らかにされているものであるときは、法第37条第3項第1号《国等に対する寄附金》の地方公共団体に対する寄附金に該当する(基通9-4-6)。

資産の低価譲渡の場合

 資産の譲渡(土地信託の信託財産の構成物の譲渡を含む。)又は経済的な利益の供与をした場合において、その譲渡又は供与の対価の額が資産の譲渡時の価額又はその経済的な利益のその供与時の価額に比して低いときは、その対価とその価額との差額のうち実質的に贈与又は無償の供与をしたと認められる金額は、寄附金となる(法37⑧)。

 ただし、子会社等を整理する場合の損失負担等(基通9-4-1)及び子会社等の倒産防止のための無利息貸付等(同9-4-2)については、寄附金に該当しないものとされている。

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