税務用語辞典


  • 令和3年度 税制改正対応版※令和3年4月1日現在の法令等によっています。

取得価額

一般原則

 減価償却の基礎となる価額は、原則として、その資産の取得価額である。取得価額は、その取得形態に応じて、次によることとされている。

備考

圧縮記帳した償却資産の取得価額は、その圧縮後の金額(圧縮額について引当金経理をしているものについては、その引当金額を控除した金額)による(令54③)。

評価換え等による評価益の計上があった減価償却資産については、その評価益の金額を当初の取得価額に加算した金額をその償却限度額の計算の基礎となる取得価額とみなすこととしている(令54⑥)。

1 購入した場合

 購入により取得した減価償却資産の取得価額は、次の金額の合計額による(令54①一)。

  • (1) 購入代価の額
  • (2) 引取運賃、荷役費、運送保険料、購入手数料、関税(附帯税を除く。)その他の減価償却資産の購入に要した費用の額
  • (3) その減価償却資産を事業の用に供するために直接要した費用の額

備考

引取費用等及び事業の用に供するため直接要した費用の範囲については、棚卸資産の取得価額の場合とほぼ同じである。

減価償却資産以外の固定資産の取得価額は、減価償却資産の取得価額と同じである。なお、資本的支出に相当する金額は当該固定資産の取得価額に加算する(基通7-3-16の2)。

不当に高価で買い入れた固定資産について、その買入価額のうち実質的に贈与をしたものと認められる金額がある場合には、買入価額からその金額を控除した金額を取得価額とする(基通7-3-1)。

2 建設等をした場合

 自己の建設、製作又は製造による減価償却資産の取得価額は、次の金額の合計額による(令54①二)。

  • (1) その減価償却資産の建設等のために要した原材料費、労務費及び経費の額(いわゆる製造原価の額)
  • (2) その減価償却資産を事業の用に供するために直接要した費用の額

備考

自己の建設等に係る減価償却資産の取得価額について適正な原価計算に基づいて算定しているときは、その計算した金額が(1)と(2)の合計額と異なる場合でも、その計算が認められる(令54②)。

3 成育させた場合

 自己が成育させた牛、馬、豚、綿羊及びやぎの取得価額は、次の金額の合計額による(令54①三)。

  • (1) 購入価額(引取費用等を含む。)又は種付費及び出産費の額(贈与等によるものは、贈与時においてその取得に通常要する費用の額)
  • (2) 成育させた牛馬等の成育のために要した飼料費、労務費及び経費の額
  • (3) 成育させた牛馬等を事業の用に供するため直接要した費用の額

4 成熟させた場合

 自己が成熟させた果樹等の取得価額は、次の金額の合計額による(令54①四)。

  • (1) 購入価額(引取費用等を含む。)又は種苗費の額(贈与等によるものは、贈与時においてその取得に通常要する費用の額)
  • (2) 成熟のために要した肥料費、労務費及び経費の額
  • (3) 成熟させた果樹等を事業の用に供するために直接要した費用の額

5 適格組織再編成により移転を受けた場合

  • (1) 適格合併又は適格現物分配(適格現物分配にあっては、残余財産の全部の分配に限る。)により移転を受けた減価償却資産の取得価額は、次の金額の合計額による(令54①五イ)。
    • ① 適格合併等に係る被合併法人等がその適格合併の日の前日又はその残余財産の確定の日の属する事業年度においてその資産の償却限度額の計算の基礎とすべき取得価額
    • ② 適格合併等に係る合併法人等がその資産を事業の用に供するために直接要した費用の額
  • (2) 適格分割、適格現物出資又は適格現物分配(適格現物分配にあっては、残余財産の全部の分配を除く。)により移転を受けた減価償却資産の取得価額は、次の金額の合計額による(令54①五ロ)。
    • ① 適格分割等に係る分割法人等がその適格分割等の日の前日を事業年度終了の日とした場合にその事業年度においてその資産の償却限度額の計算の基礎とすべき取得価額
    • ② 適格分割等に係る分割承継法人等がその資産を事業の用に供するために直接要した費用の額

6 贈与等により取得する場合

 上記1から5の方法以外の方法で取得した減価償却資産、すなわち、贈与、交換又は債務の弁済等により他から取得をしたものの取得価額は、次の金額の合計額による(令54①六)。

  • (1) 取得時におけるその減価償却資産の取得のために通常要する額
  • (2) その減価償却資産を事業の用に供するために直接要した費用の額

備考

減価償却資産が非適格合併で法第61条の13第1項(完全支配関係がある法人の間の取引の損益)の規定の適用があるものにより移転を受けた譲渡損益調整資産である場合には、その譲渡損益調整資産に係る譲渡利益額に相当する金額はその非適格合併に係る合併法人のその譲渡損益調整資産の取得価額に算入しないものとし、その譲渡損益調整資産に係る譲渡損失額に相当する金額はその合併法人のその譲渡損益調整資産の取得価額に算入する(令54⑤)。

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