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1年以上有していた固定資産のうち、土地(建物又は構築物の所有を目的とする地上権及び賃借権並びに農地法に規定する農地(農地法の規定により農作物の栽培を耕作に該当するものとみなして適用する農地を含む。)の上に存する耕作(農地法の規定により耕作に該当するものとみなされる農作物の栽培を含む。)に関する権利を含む。)、建物(これに附属する設備及び構築物を含む。)、船舶、機械及び装置又は鉱業権(租鉱権、特定鉱業権及び採石権その他土石を採掘し又は採取する権利を含む。)と種類を同じくする資産と交換した場合には、次の条件に該当するときに限り、交換により取得した資産について、交換差益相当額の範囲内でその帳簿価額を損金経理で減額した場合には、その減額した金額は、損金の額に算入する(法50①)。
備考
交換の特例の適用がある固定資産には、遊休資産は含まれるが(基通10-6-1)、不動産業者等の有する販売用の土地、建物等は含まれない。
特例が認められるためには、交換により取得した資産の圧縮額について申告書に記載して提出しなければならない(法50③)。
信託の受託者が信託財産に属する固定資産を他のものの有する固定資産と交換した場合においても、左の適用がある。
(借地権の交換)
自己の有する土地に新たに借地権を設定(令第138条第1項(借地権の設定により地価が著しく低下する場合の土地等の帳簿価額の一部損金算入)の規定の適用のある設定に限る。)し、設定の対価として相手方から土地等を取得する場合のように、実質的には固定資産の交換であるが手続上は権利の設定等の方法によらざるを得ないものについてもこの特例を適用することができる(基通10-6-3の2)。
1 交換の条件
備考
交換のために取得されたかどうかの判定は、次の事実を総合的に勘案して判定される。
(交換資産の時価)
交換の当事者が通常の取引価額が異なる二以上の固定資産を相互に等価であるものとして交換した場合においても、その交換がその交換をするに至った事情を照らし正常な取引条件に従って行われたものであると認められるときは、これらの資産の価額は当事者間において合意されたところによるものとする(基通10-6-5の2)。
2 圧縮できる交換差益の額
交換差益の額=交換取得資産の価額-交換譲渡資産の譲渡直前の帳簿価額
上記の算式の場合の交換譲渡資産の譲渡直前の帳簿価額は、次による(令92)。
備考
譲渡資産の譲渡に要した経費とは、その譲渡に当たり支出した仲介手数料、資産の取外費、荷役費、運送保険料その他譲渡に要した経費のほか、土地交換の契約の一環としてその土地の上にある建物等を取り壊した場合の取壊損や立退料も含まれる(基通10-6-9)。
店舗又は事務所と住宅とに併用されている家屋は、居住専用又は店舗専用若しくは事務所専用のいずれかの用途に供されるものとして差し支えない(基通10-6-7(注))。
3 譲渡資産の譲渡直前の用途と同一の用途
取得資産を譲渡資産の譲渡直前の用途に供したかどうかの判定は、その資産の種類に応じ、おおむね次による(基通10-6-7)。
取得資産が交換の相手方において譲渡直前の用途と異なった用途に供されていたときにも、取得資産を改造等して譲渡資産の譲渡直前の用途と同一の用途に供したときには、特例の適用がある。
備考
譲渡資産の譲渡直前の用途は、その譲渡資産を他の用途に供するため改造に着手している等改造して他の用途に供することとしている場合には、その改造後の用途をいう(基通10-6-6)。
4 同一の用途に供する時期
交換して取得した資産は、その交換の日を含む事業年度終了の日から2月を経過する日までに譲渡資産の譲渡直前の用途と同一の用途に供されていなければ、圧縮記帳の特例は認められない。この場合に、取得資産を譲渡資産の譲渡直前の用途と同一の用途に供するため改造等を必要とする場合は、その事業年度終了の日から2月を経過する日までに改造等に着手し、かつ、相当期間内にその改造等を了する見込みであればよいこととされている(基通10-6-8)。
5 交換差金
二以上の種類の固定資産を同時に交換した場合、例えば、土地及び建物と土地及び建物とを交換した場合には、土地は土地と建物は建物とそれぞれ交換したものとする。この場合において、これらの資産は全体としては等価であるが、土地と土地、建物と建物とはそれぞれその時価が異なつているときは、それぞれの交換の時における価額の差額は交換差金等となる(基通10-6-4)。
固定資産を交換する場合において、一体となって同じ効用を有する同種の資産のうち、その一部については交換とし、他の部分については譲渡としているときは、その他の部分を含めて交換があったものとし、その譲渡代金は交換差金等とする(基通10-6-5)。
6 経理の特例
取得資産につき、その帳簿価額を損金経理により減額しないで、譲渡資産の譲渡直前の帳簿価額とその取得資産の取得のために要した経費との合計額に相当する金額を下らない金額をその取得価額としたときは、圧縮記帳による課税の特例を認める(基通10-6-10)。
備考
左の場合でも計算明細の申告書への記載を必要とする。