税務用語辞典


  • 令和3年度 税制改正対応版※令和3年4月1日現在の法令等によっています。

国庫補助金等で取得した資産の圧縮記帳

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 資本的支出に充てるため交付された国庫補助金、都道府県補助金、市町村補助金、その他の補助金又は給付金で交付目的に適合した固定資産を取得又は改良した場合には、その資産の帳簿価額を取得価額からその資産の取得のために支出した国庫補助金等の額を控除した金額(その額がないときは1円)を下らない金額に圧縮して記帳することが認められ、その圧縮記帳は所得の計算上損金に算入できる(法42①、令79)。なお、圧縮記帳に代えて圧縮額について積立金として積み立てた場合には、同様にその繰入額を損金に算入する(令80)。

備考

国庫補助金等を収入した事業年度後の事業年度において、交付の目的となった固定資産を取得するときは、これを支出する日までは仮勘定として経理することができる。

返還条件のある国庫補助金等の経理

 返還条件のある国庫補助金等について、期末までに返還を要しないことが確定していない場合に、その国庫補助金等の額に相当する金額以下の金額を特別勘定を設ける方法により経理したときは、その特別勘定を設ける方法により経理した金額に相当する金額は、国庫補助金等の交付を受けた事業年度の所得の計算上損金に算入する(法43①)。

 特別勘定を設ける方法により経理した法人が、その国庫補助金等の全部又は一部を返還した場合には、返還した金額のうち、特別勘定を設ける方法により経理した金額は、その返還の日を含む事業年度の所得の計算上益金に算入する(法43②③)。なお、返還した金額は、所得の計算上損金に算入するから、実質的に課税所得は生じないこととなる。

返還を要しなくなった場合の特別勘定の経理

 返還条件のある国庫補助金等の一部又は全部の返還を要しないこととなった場合には、その返還を要しないこととなつた金額のうち、特別勘定を設ける方法により経理した金額(すでに返還によって取り崩した金額があるときは、これを控除した金額)に達するまでの金額は、その返還を要しないこととなった日の属する事業年度の所得の計算上これを益金に算入しなければならない(法43②)。

 特別勘定で経理していた法人が、すでに交付の目的に適合した資産を取得した後に返還を要しないこととなった場合には、その固定資産の帳簿価額のうち特別勘定を取り崩して益金に算入される金額以下の金額を減額したときは、その減額した金額につき所得の計算上損金に算入する(法44①)。この場合、その対象となる固定資産について、すでに減価償却等を行っている場合には、次の算式によって計算した金額以下の金額について圧縮記帳(損金算入)することができる(令82)。

 返還を要しないこととなった日の固定資産の帳簿価額×(返還を要しないこととなった金額(特別勘定の額)/固定資産の取得価額)=固定資産について圧縮できる金額

備考

左の減額は、返還を要しないことが確定した日の属する事業年度においてのみ認められ、その後の事業年度で減額しても損金算入の適用はない(法44①)。

特別勘定は、国庫補助金等について返還し、又は返還を要しないこととなった場合のほか、次の場合に取り崩さなければならない(令81)。

  • ① 解散(合併による解散を除く。)した場合
  • ② 適格合併以外の合併により解散した場合

工場誘致と圧縮記帳

 工場誘致等のために都道府県又は市町村から土地その他の固定資産をその時価に比して著しく低い価額で取得し、その価額(取得に要した費用があるときはその費用を加算した金額)を帳簿価額とした場合には、その資産については国庫補助金等で取得した固定資産等の圧縮額の損金算入の規定により圧縮記帳したものとする(基通10-2-3)。

 都道府県又は市町村から工場誘致条例又はこれに準ずる条例に基づいて補助金、奨励金等の交付を受けた場合において、その補助金、奨励金等が実質的に税の減免に代えて交付されたものであることが明らかであると認められるときは、その補助金、奨励金等は、国庫補助金等には該当せず、圧縮記帳はできない(基通10-2-4)。

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