税務用語辞典


  • 令和3年度 税制改正対応版※令和3年4月1日現在の法令等によっています。

効果の及ぶ期間

この解説は最終更新日から1年以上経過しており、現行法令に準拠していない可能性があります。

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 繰延資産の効果の及ぶ期間は、固定資産を利用するために支出した繰延資産についてはその固定資産の耐用年数、一定の契約に当たり支出した繰延資産についてはその契約期間をそれぞれ基礎として適正に見積もった期間による(基通8-2-1)。

 また固定資産を利用するために支出した繰延資産でその固定資産の耐用年数を基礎として支出の効果の及ぶ期間を算定しているものにつき、その後その固定資産の耐用年数が改正されたときは、その改正された事業年度以後の効果の及ぶ期間は、改正後の耐用年数を基礎として算定した年数による(基通8-2-2)。

備考

創立費、開業費、開発費、株式発行費及び社債等発行費用については任意に償却できるので、効果の及ぶ期間の定めはない。

効果の及ぶ期間の例示

(1) 次の表に掲げる繰延資産については、それぞれに掲げる償却期間が効果の及ぶ期間とされる(基通8-2-3)。

該当条項種類細目償却期間
令第14条第1項第6号イ(公共的施設等の負担金)に掲げる費用公共的施設の設置又は改良のために支出する費用
基通8―1―3
(1) その施設又は工作物がその負担した者に専ら使用されるものである場合その施設又は工作物の耐用年数の7/10に相当する年数
(2) (1)以外の施設又は工作物の設置又は改良の場合その施設又は工作物の耐用年数の4/10に相当する年数
共同的施設の設置又は改良のために支出する費用
基通8―1―4
(1) その施設がその負担者又は構成員の共同の用に供されるものである場合又は協会等の本来の用に供されるものである場合イ 施設の建設又は改良に充てられる部分の負担金については、その施設の耐用年数の7/10に相当する年数
ロ 土地の取得に充てられる部分の負担金については45年
(2) 商店街等における共同のアーケード、日よけ、アーチ、すずらん灯等負担者の共同の用に供されるとともにあわせて一般公衆の用に供されるものである場合5年(その施設について定められている耐用年数が5年未満である場合には、その耐用年数)
令第14条第1項第6号ロ(資産を賃借するための権利金等)に掲げる費用建物を賃借するために支出する権利金等
基通8―1―5(1))
(1) 建物の新築に際しその所有者に対して支払った権利金等でその権利金等の額がその建物の賃借部分の建設費の大部分に相当し、かつ、実際上その建物の存続期間中賃借できる状況にあると認められるものである場合その建物の耐用年数の7/10に相当する年数
(2) 建物の賃借に際して支払った(1)以外の権利金等で、契約、慣習等によってその明渡しに際して借家権として転売できることになっているものである場合その建物の賃借後の見積残存耐用年数の7/10に相当する年数
(3) (1)及び(2)以外の権利金等の場合5年(契約による賃借期間が5年未満である場合において、契約更新に際して再び権利金等の支払を要することが明らかであるときは、その賃借期間)
電子計算機その他の機器の賃借に伴って支出する費用
基通8―1―5(2))
その機器の耐用年数の7/10に相当する年数(その年数が契約による賃借期間を超えるときは、その賃借期間)
令第14条第1項第6号ハ(役務の提供を受けるための権利金等)に掲げる費用ノウハウの頭金等
基通8―1―6
5年(設定契約の有効期間が5年未満である場合において、契約の更新に際して再び一時金又は頭金の支払を要することが明らかであるときは、その有効期間の年数)
令第14条第1項第6号ニ(広告宣伝用資産を贈与した費用)に掲げる費用広告宣伝の用に供する資産を贈与したことにより生ずる費用
基通8―1―8
その資産の耐用年数の7/10に相当する年数(その年数が5年を超えるときは、5年)
令第14条第1項第6号ホ(その他自己が便益を受けるための費用)に掲げる費用スキー場のゲレンデ整備費用
基通8―1―9
12年
出版権の設定の対価
基通8―1―10
設定契約に定める存続期間(設定契約に存続期間の定めがない場合には、3年)
同業者団体等の加入金
基通8―1―11
5年
職業運動選手等の契約金等
基通8―1―12
契約期間(契約期間の定めがない場合には、3年)

 (注)① 道路用地をそのまま又は道路として舗装の上国又は地方公共団体に提供した場合において、提供した土地の価額(舗装費を含む。)が繰延資産となる公共施設の設置又は改良のために支出する費用に該当するときは、その償却期間の基礎となる「その施設又は工作物の耐用年数」は15年としてこの表を適用する。

   ② 償却期間に1年未満の端数があるときは、その端数を切り捨てる。

(2) 公共的施設等の負担金のうち企業合理化促進法第8条の規定に基づき負担する港湾しゅんせつに伴う受益者負担金及び共同的施設等の負担金のうち負担者又は構成員の属する協会等の本来の用に供される会館等の建設又は改良のための負担金については、償却期間が10年を超える場合には、当分の間、その償却期間は10年とされる(基通8-2-4)。

(3) 地方公共団体が都市計画事業その他これに準ずる事業として公共下水道を設置する場合において、その設置により著しく利益を受ける土地所有者が都市計画法その他の法令の規定に基づき負担する受益者負担金については、その償却期間は6年とされる(基通8-2-5)。

 (注) 下水道法第19条の規定により負担する負担金の取扱いは、基通7-1-8《公共下水道施設の使用のための負担金》による。

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