税務用語辞典


  • 令和3年度 税制改正対応版※令和3年4月1日現在の法令等によっています。

公益法人等が普通法人等に移行する場合の法人税の取扱い

この解説は最終更新日から1年以上経過しており、現行法令に準拠していない可能性があります。

税務研究会お試し

(1) 制度の概要及び適用対象者

 公益法人等である内国法人が普通法人又は協同組合等に該当することとなった場合には、その該当することとなった日(以下「移行日」という。)前の収益事業以外の事業から生じた所得の金額の累積額として計算した金額(以下「累積所得金額」という。)又は移行日前の収益事業以外の事業から生じた欠損金額の累積額として計算した金額(以下「累積欠損金額」という。)に相当する金額は、移行日の属する事業年度の所得の金額の計算上、益金の額又は損金の額に算入する(法64の4①)。

 また、公益法人等を被合併法人とし、普通法人又は協同組合等である内国法人を合併法人とする適格合併が行われた場合についても、同様の制度が設けられている(法64の4②)。

(2) 累積所得金額又は累積欠損金額の計算

 累積所得金額は、移行日における資産の帳簿価額が負債帳簿価額等(負債の帳簿価額及び利益積立金額の合計額をいう。以下同じ。)を超える部分の金額とされ、累積欠損金額は、移行日における負債帳簿価額等が資産の帳簿価額を超える部分の金額とされている(令131の4①)。

 普通法人を合併法人とする適格合併が行われた場合についても、これに準じた額とされている(令131の4②)。

(3) 公益認定の取消しが行われた場合等の調整

 本制度の適用対象となる場合であっても、公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の規定により公益目的への支出が義務づけられている金額又は医療法の規定による救急医療等確保事業に係る業務の継続的な実施に関する計画に係る認定を受けた医療法人がその実施のために支出する金額がある場合には、その金額については、使途が公益目的に限定されていることから調整措置が設けられている(法64の4③、令131の5①~③)。

 この調整措置は、確定申告書にそれぞれの金額及びその計算に関する明細の記載があり、かつ、一定の書類の添付がある場合に限り適用する(法64の4④、規27の16の4②)。

 なお、この調整措置の規定の適用を受ける場合には、国等への贈与契約により贈与をしたときの当該贈与により生じた損失の額、公益目的支出計画の実施による公益目的支出の額が実施事業収入の額を超える部分の金額は損金の額に算入しない(令131の5④⑤)。

 一方で、各事業年度において実施事業収入の額が公益目的支出の額を超えるときは、その超える部分の金額は益金の額に算入しない(令131の5⑥)。

 また、当該贈与により生じた損失の額及びこれらの公益目的支出の額は、寄附金の損金算入限度額の計算における寄附金の額に該当しない(令131の5⑨)。

備考

実施事業収入の額とは公益目的財産残額の計算上公益目的支出の額から控除される収入の額をいう(令131の5⑤)。

  • 税務通信

     

    経営財務