税務用語辞典


  • 令和3年度 税制改正対応版※令和3年4月1日現在の法令等によっています。

公益法人等の範囲

 公益法人等とは、法人税法別表第二に掲げる法人をいう(法2六、別表二)。

 学校法人、一般社団法人等(公益社団法人・公益財団法人(注)及び非営利型法人に該当する一般社団法人・一般財団法人をいう。)、社会福祉法人、宗教法人、公共法人に含まれない各種の事業団等が該当する。

(注) 公益社団法人・公益財団法人とは、一般社団法人・一般財団法人のうち公益認定の基準に適合することについて行政庁の認定を受けた法人をいう。

   公益社団法人・公益財団法人については、次の措置が講じられている。

  • ・その行う公益目的事業を収益事業の範囲から除外する。
  • ・収益事業に属する資産のうちから公益目的事業のために支出した金額を、収益事業に係る寄附金の額とみなす(法37⑤、令77の3)。
  • ・寄附金の損金算入限度額については、所得金額の50%相当額としつつ(令73①三イ)、みなし寄附金のうち公益目的事業の実施のために必要な金額として算出した金額(公益法人特別限度額)が所得金額の50%を超えるときは、公益法人特別限度額に相当する金額とする(令73の2①)。

 公益法人等に対する税率は、次のとおり。

  • ① 公益法人等(一般社団法人等を除く。)…19%(年800万円以下の金額は、15%)(法66③、措法42の3の2①三)
  • ② 一般社団法人等…23.2%(年800万円以下の金額は、15%)(法66①②、措法42の3の2①二)

備考

公益法人等について課税の対象となる収益事業から生ずる所得については、左記の収益事業の範囲を参照のこと。

非営利型法人とは、次のいずれかの法人をいう(法2九の二)。

  • イ その行う事業により利益を得ること又はその得た利益を分配することを目的としない法人であってその事業を運営するための組織が適正であるものとして一定の要件に該当するもの
  • ロ その会員から受け入れる会費により当該会員に共通する利益を図るための事業を行う法人であってその事業を運営するための組織が適正であるものとして一定の要件に該当するもの

公益社団法人・公益財団法人以外の一般社団法人・一般財団法人のうち、非営利型法人に該当する法人以外の法人は普通法人とされる。

公益法人等が支出する寄附金については、その損金算入限度額の計算につき特例がある(令7373の274)。

公益法人等及び人格のない社団等は、収益事業から生ずる所得について、収益事業以外から生ずる所得と分離して経理しなければならない(令6)。

物品販売業に該当するかどうかは、次による(基通15-1-10)。

  • ① 宗教法人のお守、お札、おみくじ等の販売のように、売価と仕入原価との差額が実質は喜捨金と認められる場合のその販売は、物品販売業に該当しないが、例えば、絵葉書、写真帳、暦、線香、ろうそく、供花等を一般の物品販売業者とおおむね同様の価額で参詣人等に販売している場合のその販売は、物品販売業に該当する。
  • ② 学校法人等が行う教科書その他これに類する教材以外の出版物の販売は、物品販売業に該当する。
    (注) ここでいう「教科書その他これに類する教材」とは、教科書、参考書、問題集等であって、学校の指定に基づいて授業において教材として用いるために当該学校の学生、生徒等を対象として販売されるものをいう。
  • ③ 学校法人等が行うノート、筆記具等の文房具、布地、糸、編糸、食料品等の材料又はミシン、編物機械、ちゅう房用品等の用具の販売は、たとえこれらの物品が学校の指定に基づいて授業において用いられるものである場合であっても、物品販売業に該当する。
  • ④ 学校法人等が行う制服、制帽等の販売は、物品販売業に該当する。
  • ⑤ 学校法人等が行うバザーで年1、2回開催される程度のものは、物品販売業に該当しないこととされる。

公益法人等が土地(借地権を含む。)を譲渡するに当たって当該土地に集合住宅等を建築し、又は当該土地につき区画形質の変更を行った上でこれを分譲する行為は、原則として不動産販売業に該当するのであるが、当該土地が相当期間にわたり固定資産として保有されていたものであり、かつ、その建築又は変更から分譲に至る一連の行為が専ら当該土地の譲渡を容易にするために行われたものであると認められる場合には、当該土地の譲渡は、不動産販売業に該当しないこととされる。ただし、その区画形質の変更により付加された価値に対応する部分の譲渡については、この限りでない(基通15-1-12)。

(注) 土地の分譲に代えて当該土地に借地権を設定した場合におけるその借地権の設定で令第138条第1項(借地権の設定等により地価が著しく低下する場合の土地等の帳簿価額の一部の損金算入)の規定の適用があるものについても、上記と同様に取り扱われる。

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