税務用語辞典


  • 令和3年度 税制改正対応版※令和3年4月1日現在の法令等によっています。

課税標準・連結所得の金額

この解説は最終更新日から1年以上経過しており、現行法令に準拠していない可能性があります。

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  • (1) 連結所得金額の計算の基本的な仕組み
      連結法人税の課税標準は、連結法人の各連結事業年度の連結所得の金額であり、この各連結事業年度の連結所得の金額は、連結事業年度の益金の額から損金の額を控除した金額である(法8181の2)。
      この連結事業年度の益金の額及び損金の額については、個々の法人ごとに計算した金額の合計額が連結納税における益金の額又は損金の額となるものは単体納税に関する規定により計算し、連結グループ全体で計算するものは連結納税独自の規定により計算することとなる(法81の381の10)。
  • (2) 個別益金額又は個別損金額の益金又は損金算入
      個々の法人ごとに計算するものにつき、単体納税における課税標準の計算の規定により所得の金額を計算するものとした場合に益金の額となる金額又は損金の額となる金額を、それぞれ連結納税における連結所得の金額を計算する場合の益金の額又は損金の額とする(法81の3)。

 次の項目は、次のとおり連結納税に係る独自の取扱いとなる。

  • (1) 外国税額の還付金の益金不算入
      外国税額控除の適用を受けた連結事業年度開始の日後7年以内に開始するその内国法人の各事業年度において、外国法人税額が減額された場合には、その減額された金額のうち控除対象外国法人税の額又は個別控除対象外国法人税の額が減額された部分の金額は、益金の額に算入しない(法81の326③)。
  • (2) 連結法人税の負担額又は減少額の益金又は損金不算入(法81の326④⑤、38③④)
    • ① 連結親法人が連結子法人から受け取る連結法人税の負担額及び連結地方法人税の負担額並びに連結子法人が連結親法人から受け取る連結法人税の減少額及び連結地方法人税の減少額は、益金の額に算入しない。
    • ② 連結親法人が連結子法人に支払う連結法人税の減少額及び連結地方法人税の減少額並びに連結子法人が連結親法人に支払う連結法人税の負担額及び連結地方法人税の負担額は、損金の額に算入しない。
  • (3) 貸倒引当金(法81の352令96
    • ① 各連結事業年度の損金算入額の計算
        各連結事業年度の連結所得の金額の計算上、損金の額に算入する金額は、連結グループ内の各連結法人が個別に計算した損金算入額を合算した金額である。このため、各連結法人は、連結事業年度の期間を単体納税の事業年度として計算した場合に損金の額となる金額をその連結事業年度の損金の額に算入することとなる。
    • ② 対象となる金銭債権
        各連結法人が個別評価金銭債権及び一括評価金銭債権に係る貸倒引当金の繰入限度額を計算する場合には、その繰入限度額の計算の対象となる金銭債権に、一定の金銭債権を有する内国法人が有する一定の金銭債権以外のもの及び連結完全支配関係がある他の連結法人に対する金銭債権を含まない。
    • ③ 貸倒実績率の計算
        一括評価金銭債権に係る貸倒引当金の繰入限度額を計算する場合の貸倒実績率については、当該連結事業年度開始の日前3年以内に開始した各事業年度又は各連結事業年度(以下「前3年内事業年度」という。)終了時における一括評価金銭債権からその終了時において連結完全支配関係がある他の連結法人に対する金銭債権を除くとともに、前3年内事業年度において生じた売掛債権等の貸倒損失から一定の金銭債権を有する内国法人が有する一定の金銭債権以外の売掛債権等の貸倒損失を除いて計算する。
  • (4) 会社更生等による債務免除等があった場合の欠損金の損金算入(法81の359
      連結法人につき会社更生等による債務免除等があった場合には、単体納税における会社更生等による債務免除等があった場合の欠損金額の損金算入の規定について、会社更生又は民事再生等(一定の評定を行うものに限る。)の場合には設立以後の欠損金額を損金算入の対象とし、民事再生等(一定の評定を行う場合を除く。)又は解散の場合には連結欠損金額の繰越控除による損金算入額のうちその連結法人に帰せられる金額を除くなどの調整を行った上で、この規定を適用した場合に計算される損金算入額を連結所得の金額の計算上、損金の額に算入する。
  • (5) 連結子法人株式の帳簿価額修正(法81の3261の2令9②③)
      連結法人が連結子法人の株式について譲渡を行うこととなる場合などにおいては、その連結子法人の株式を有する全ての連結法人は、その譲渡等の処理の前に、その連結子法人の株式につきその連結子法人の連結期間中の連結個別利益積立金額の増加額又は減少額に相当する金額の帳簿価額の修正を行うとともに、自己の連結個別利益積立金額又は利益積立金額につきその修正金額に相当する金額の増加又は減少の処理を行う。
    • ① 連結子法人株式の帳簿価額の修正を行うこととなる事由
      • イ 連結子法人の株主等である連結法人のいずれかがその連結子法人の株式について譲渡(一定の譲渡を除く。)によりその全部又は一部を有しなくなること
      • ロ 連結子法人の株主等である連結法人のいずれかがその連結子法人の株式の評価換えをすること
      • ハ 連結子法人の株主等である連結法人のいずれかとその連結子法人との間の連結完全支配関係が喪失(一定の喪失を除く。)すること
      • ニ 他の連結法人に法人税法第24条第1項各号に掲げる事由(みなし配当の基因となる事由)が生じたこと(残余財産の分配を受けないことが確定したことを含む。)
      • ホ 連結法人が他の連結法人(ホにおいて「発行法人」という。)の株式を保有している場合で、その発行法人の株式を直接又は間接に保有している連結法人(その発行法人との間に連結完全支配関係がある法人に限るものとし、連結親法人を除く。)をイ~ニの連結子法人とし、かつ、その連結法人の株式をその連結子法人の株式としたときに、その連結法人の株式を保有している連結法人につきイ~ニに掲げる事由が生じたこと
    • ② 連結子法人株式の帳簿価額の修正額
        この修正額は、その連結子法人の各連結事業年度の連結個別利益積立金額等から既に帳簿価額の修正が行われた金額及び最終利益積立金額を減算した金額に、その連結子法人の発行済株式等の総数のうちにその連結法人が譲渡等の直前に有するその連結子法人の株式の数の占める割合を乗じて計算した金額とする。
  • (6) 特定資産に係る譲渡等損失額の損金不算入(法62の7令123の8
      特定適格組織再編成等が行われた場合で、適用期間内に特定資産に係る譲渡等損失額が生じたときは、単体納税における特定資産に係る譲渡等損失額の損金不算入の規定に一定の修正を加えて適用した場合に計算される損金不算入額は、連結所得の金額の計算上、損金の額に算入しない。
  • (7) リース譲渡に係る益金・損金算入(法81の363⑤)
      内国法人が完全支配関係のある他の内国法人に対して譲渡損益調整資産の譲渡を行った場合には、延払基準は適用しない。

備考

貸倒引当金の繰入額の損金算入ができる法人(法52①)

 中小法人、銀行・保険会社等及び一定の金融に関する取引に係る金銭債権を有する法人。連結子法人の場合には、事業年度終了の時においてその連結親法人が中小法人である法人に限る。

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