税務用語辞典


  • 令和3年度 税制改正対応版※令和3年4月1日現在の法令等によっています。

課税仕入れの範囲

 課税仕入れとは、事業者が、事業として資産を譲り受け、若しくは借り受け、又は役務の提供を受けることをいい(法2①十二)、個人事業者が家事消費又は家事使用のために資産を譲り受け、若しくは借り受け、又は役務の提供を受けることは事業として行われるものではないので課税仕入れに該当しない(基通11-1-1)。

 また、役務の提供にあっても、給与等を対価とする役務の提供は、課税仕入れに含まれない(法2①十二)。

備考

事業として資産を譲り受け、若しくは借り受け、又は役務の提供を受ける相手方には課税事業者及び免税事業者のほか消費者が含まれる(基通11-1-3)。

家事及び事業の用途に共通して消費し又は使用するときの課税仕入れに係る支払対価の額は、その資産の消費又は使用の実態に基づく合理的な基準により按分計算した額とされる(基通11-1-4)。

通常必要であると認められる部分の金額については、所得税基本通達9-3に準じて判定される。

海外出張のために支給する旅費等は原則として課税仕入れに係る支払対価に該当しない。

金銭以外の資産の贈与

 事業者がした金銭による寄附は課税仕入れに該当しないが、金銭以外の資産を贈与した場合の当該資産の取得が課税仕入れ等に該当するときは、その課税仕入れ等は、原則として課税資産の譲渡等とその他の資産の譲渡等に共通して要するものに該当する(基通11-2-17)。

出張旅費、宿泊費、日当等

 事業者がその使用人等又はその退職者等に支給する出張旅費、宿泊費、日当のうち、その旅行について通常必要であると認められる部分の金額は、課税仕入れに係る支払対価に該当する(基通11-2-1)。

通勤手当

 事業者が使用人等に支給する通勤手当のうち、その通勤に通常必要であると認められる部分の金額は課税仕入れに係る支払対価に該当する(基通11-2-2)。

現物給付

 事業者が使用人等に金銭以外の資産を給付する場合のその資産の取得が課税仕入れに該当するかどうかは、その給付が使用人等の給与として所得税の課税の対象とされるかどうかにかかわらず、その取得が事業としての資産の譲受けであるかどうかを基礎として判定する(基通11-2-3)。

物品切手等又は郵便切手類等

 郵便切手類又は物品切手等は、購入時においては課税仕入れには該当せず、役務又は物品の引換給付を受けた時にその引換給付を受けた事業者の課税仕入れとなるのであるが、郵便切手類又は物品切手等を購入した事業者が、その購入した郵便切手類又は物品切手等のうち、自ら引換給付を受けるものにつき、継続して郵便切手類又は物品切手等の対価を支払った日の属する課税期間の課税仕入れとしている場合には、その方法によることができる(基通11-3-7)。

外交員等の報酬

 外交員、集金人、電力量計等の検針人その他これらに類する者に対して支払う報酬又は料金のうち給与所得に該当する部分については、課税仕入れに係る支払対価には該当しない(法2①十二、基通11-2-5)。

備考

給与所得に該当する部分とその他の部分との区分は所得税基本通達204-22による。

会費、組合費等

 事業者がその同業者団体、組合等に対して支払った会費又は組合費等については、その同業者団体、組合等における会費又は組合費等の受領が、課税資産の譲渡等に係る対価の受領に該当しないときは、事業者のその会費又は組合費等の支払も課税仕入れに該当しない(基通11-2-6)。

備考

同業者団体、組合等における会費又は組合費等の受領が課税資産の譲渡等に係る対価の受領に該当するか否かは基通5-5-3による。

入会金

 事業者が支払う入会金のうち、ゴルフクラブ、宿泊施設、体育施設、遊戯施設その他レジャー施設の利用又は一定の割引率で商品等を販売するなど会員に対する役務の提供を目的とする団体の会員資格を得るためのもので脱退等に際し返還されないものは、課税仕入れに係る支払対価に該当する(基通11-2-7)。

公共的施設の負担金等

 公共的施設又は同業者団体等の有する共同目的施設の設置又は改良のため、これらの施設の利用者又は受益者が支払う負担金、賦課金等は、その負担金、賦課金等を受領する公共団体又は同業者団体においてその負担金又は賦課金等を資産の譲渡等に係る対価の額としないこととしている場合には、これらを支払う事業者においても、課税仕入れに係る支払対価に該当しない(基通11-2-8)。

備考

負担金等が専用側線利用権、電気ガス供給施設利用権、水道施設利用権、電気通信施設利用権等の権利の設定等に係る対価と認められる等の場合には、その負担金等は、それを支払う事業者の課税仕入れに係る支払対価に該当する。

共同行事等に係る負担金

 同業者団体等の構成員が共同して行う宣伝、販売促進、会議等に要した費用を賄うためにその構成員が支払う負担金は、当該費用の全額について各構成員ごとの負担割合が予め定められ、かつ、その同業者団体等においてその宣伝等をその負担割合に応じて各構成員が実施したものとして取り扱っている場合に限り、その負担金を支払う構成員たる事業者の課税仕入れに係る支払対価とされる(基通11-2-9)。

保険金等による資産の取得等

 課税仕入れに該当するか否かは、資産の譲受け等のために支出した金銭の源泉は問わない。したがって、保険金、補助金、損害賠償金等を資産の譲受け等に充てた場合であっても、その資産の譲受け等が法第2条第1項第12号の課税仕入れに該当するときは、仕入税額控除の対象となる(基通11-2-10)。

短期前払費用

 短期の前払費用について所得税又は法人税の課税上その支出した日の属する年分又は事業年度の必要経費又は損金の額とする取扱いを受けている場合には、その前払費用に係る課税仕入れは、その支出した日の属する課税期間の仕入税額控除の対象となる(基通11-3-8)。

備考

所得税又は法人税における前払費用の取扱いについては、所得税基本通達37-30の2又は法人税基本通達2-2-14参照。

国外取引に係る仕入税額の控除

 国外において行う資産の譲渡等のための課税仕入れについても仕入税額控除の対象となる(基通11-2-13)。

滅失等した資産に係る仕入税額の控除

 課税仕入れに係る資産が事故等により滅失した場合等、結果的に資産の譲渡等を行うことができなくなった場合であっても、その課税仕入れは、仕入税額控除の対象となる(基通11-2-11)。

課税資産の譲渡等に係る為替差損益の取扱い

 支払対価を外貨建てとする課税仕入れを行った場合に、為替差損益が生じたとしても、その支払対価の額は課税仕入れを行った時に計上した支払対価の額となる(基通11-4-4)。

試供品、試作品等に係る仕入税額の控除

 試供品、試作品等に係る課税仕入れ等は、その試供品、試作品等が課税資産の譲渡等に係る販売促進等のために得意先等に配布されているときは、その試供品、試作品等に係る課税仕入れ等は、課税資産の譲渡等のみに要するものとして仕入税額控除の対象となる(基通11-2-14)。

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