税務用語辞典


  • 令和3年度 税制改正対応版※令和3年4月1日現在の法令等によっています。

請求書等の範囲

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 課税仕入れ等の税額の控除に係る請求書等とは、課税仕入れに係るものにあっては次の(1)又は(2)、課税貨物の引取りに係るものにあっては次の(3)に掲げる書類をいう(法30⑨)。

  • (1) 事業者に対し課税資産の譲渡等(輸出取引等その他法律又は条約の規定により消費税が免除されるものを除く。)を行う他の事業者が、その課税資産の譲渡等につきその事業者に対して交付する請求書、納品書その他これらに類する書類で次に掲げる事項が記載されたもの(法30⑨一)
    • ○イ 書類の作成者の氏名又は名称
    • ○ロ 課税資産の譲渡等を行った年月日(課税期間の範囲内で一定の期間内に行った課税資産の譲渡等につきまとめてその書類を作成する場合には、その一定の期間)
    • ○ハ 課税資産の譲渡等に係る資産又は役務の内容
    • ○ニ 課税資産の譲渡等の対価の額(その課税資産の譲渡等に係る消費税額及び地方消費税額に相当する額がある場合には、その相当する額を含む。)
    • ○ホ 書類の交付を受けるその事業者の氏名又は名称
  • (2) 事業者が行った課税仕入れにつき作成する仕入明細書、仕入計算書その他これらに類する書類で次に掲げる事項が記載されているもの(その書類に記載されている事項につき、その課税仕入れの相手方の確認を受けたものに限る。)(法30⑨二)
    • ○イ 書類の作成者の氏名又は名称
    • ○ロ 課税仕入れの相手方の氏名又は名称
    • ○ハ 課税仕入れを行った年月日(課税期間の範囲内で一定の期間内に行った課税仕入れにつきまとめてその書類を作成する場合には、その一定の期間)
    • ○ニ 課税仕入れに係る資産又は役務の内容
    • ○ホ 課税仕入れに係る支払対価の額

      これは、百貨店等の消化仕入れ等の場合には、仕入れを行った百貨店等がその関係書類を作成している実態にかんがみ採られた措置であるが、この場合の「相手方の確認を受けたもの」とは、保存する仕入明細書等に課税仕入れの相手方の確認の事実が明らかにされているもののほか、例えば、次のものがこれに該当する(基通11-6-5)。
    • イ 仕入明細書等への記載内容を通信回線等を通じて課税仕入れの相手方の端末機に出力し、確認の通信を受けた上で自己の端末機から出力したもの
    • ロ 仕入明細書等の写し等を課税仕入れの相手方に交付した後、一定期間内に誤りのある旨の連絡がない場合には記載内容のとおり確認があったものとする基本契約等を締結した場合における当該一定期間を経たもの

      なお、上記○イの作成者の氏名又は名称及び○ロの相手方の氏名又は名称については、取引先コード等の記号、番号等による表示、また、○ニの資産又は役務の内容については、その仕入れが課税仕入れかどうかの判別が明らかである場合の商品コード等による表示で差し支えない(基通11-6-1(3))。
  • (3) 課税貨物を保税地域から引き取る事業者がその地域の所在地を所轄する税関長から交付を受けるその課税貨物の輸入の許可があったことを証する書類その他の一定の書類で次に掲げる事項が記載されたもの(法30⑨三)
    • ○イ 保税地域の所在地を所轄する税関長
    • ○ロ 課税貨物を保税地域から引き取ることができることとなった年月日(特例申告書を提出した場合には、保税地域から引き取ることができることとなった年月日及び特例申告書を提出した日又は特例申告に関する決定の通知を受けた日)
    • ○ハ 課税貨物の内容
    • ○ニ 課税貨物に係る消費税の課税標準である金額並びに引取りに係る消費税額及び地方消費税額
    • ○ホ 書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称

備考

媒介又は取次ぎに係る業務を行う者(卸売市場のせり人、旅行業者等)を介して行われる課税仕入れについては、(1)の○イの記載に代えて、媒介又は取次ぎに係る業務を行う者の氏名又は名称とすることができる(令49③)。

媒介又は取次ぎに係る業務を行う者(卸売市場のせり人、旅行業者等)を介して行われる課税仕入れについては、これらの者が作成した書類に左記○イから○ホに掲げる事項が記載されている場合には、請求書等に該当する。

通常不特定多数の消費者や事業者を相手として取引を行っている小売業等一定の事業を行う者については、左記○ホの記載は要しない(令49③)。

※上記について、令和5年10月1日以降、 以下のとおりに変更となる。

令70の9②二に掲げる課税資産の譲渡等又は令70の12①の規定の適用を受けた課税資産の譲渡等に係る課税仕入れについては、(1)の○イの記載に代えて、それらの媒介又は取次ぎに係る業務を行う者の氏名又は名称とすることができる。

左の要件を満たす書類としては、輸入時に税関長が交付する輸入許可書、賦課決定通知書、修正申告書の副本で税関長の受理印が押なつされたもの、更正通知書又は決定通知書等がある。

(注) 令和2年10月1日以降、住宅の貸付けの用に供しないことが明らかな建物以外の建物であって高額特定資産又は調整対象自己建設高額資産に該当するもの(以下居住用賃貸建物という。)に係る課税仕入れ等の税額については、仕入れ税額控除は適用しない。

居住用賃貸建物は、住宅の貸付け用に供しないことが明らかな建物(その附属設備を含む。)以外の建物であることが要件となるが、「住宅の貸付けの用に供しないことが明らかな建物」とは、建物の構造及び設備の状況その他の状況により住宅の貸付けの用に供しないことが客観的に明らかなものをいい、例えば、次に掲げるようなものがこれに該当する(基通11-7-1)。

  • (1) 建物の全てが店舗等の事業用施設である建物など、建物の設備等の状況により住宅の貸付けの用に供しないことが明らかな建物
  • (2) 旅館又はホテルなど、旅館業に係る施設の貸付けに供することが明らかな建物
  • (3) 棚卸資産として取得した建物であって、所有している間、住宅の貸付けの用に供しないことが明らかなもの

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