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納税義務の免除措置の適用を受けなくなった日の前日において有する棚卸資産のうち、消費税の納税義務が免除されていた期間中に国内における課税仕入れ又は課税引取りを行ったものについては、その資産に係る課税仕入れ等の税額をその免除措置の適用を受けないこととなった日の属する課税期間の仕入れに係る消費税額の計算の基礎となる課税仕入れ等の税額とみなす(法36①)。
計算方法
課税仕入等の税額とみなされる額は、次により計算した額である(法36①、令54)。
その棚卸資産の税込仕入(引取)価額×(7.8/110)
取得価額の算定
同一種類の資産を異なる価格で仕入れている等のため、個々の資産の税込価額等を特定することが困難であるときは、その事業者が所得税又は法人税の課税所得計算において採用している棚卸資産の評価方法(低価法を除く。)に準じて計算した税込価額等を基礎にして計算することができる(基通12-7-1)。
備考
公共法人等で所得税又は法人税の課税対象となっていない事業者についても継続して、所得税法施行令第99条第1項第2号(棚卸資産の評価の方法)又は法人税法施行令第28条第1項第2号(棚卸資産の評価方法)に掲げる棚卸資産の評価方法のうちいずれかの方法により計算することができる。
譲り受けた棚卸資産の取得価額
国内で譲り受けた課税仕入れに係る棚卸資産又は保税地域から引き取った課税貨物に係る棚卸資産の取得価額の算出に当たり、その課税仕入れ又は課税貨物の引取りに係る次に掲げる費用については、その費用の額が少額であるものとしてその取得価額に含めないことができる(基通12-7-2)。
製作等に係る棚卸資産の取得価額
自己の製作等に係る棚卸資産の取得価額の算出に当たり、その製作等のための課税仕入れ等に係る次に掲げる費用については、その費用の額が少額であるものとしてその取得価額に含めないことができる(基通12-7-3)。
適用要件
本調整措置は、課税仕入れに係る棚卸資産又は課税貨物の明細を記録した書類を保存することを適用要件としている(法36②④)。
この書類は、7年間保存しなければならない(令54③④)。
相続又は合併若しくは分割の場合
課税事業者である相続人が免税事業者である被相続人の棚卸資産を承継した場合又は課税事業者である合併法人が免税事業者である被合併法人の棚卸資産を承継した場合若しくは課税事業者である分割承継法人が免税事業者である分割法人の棚卸資産を承継した場合についても同様の調整を行う(法36③④)。
備考
この特例に規定する「分割」は、会社法に規定する分割を指し、現物出資及び事後設立は含まれない。