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譲渡等の対価の額とは、対価として収受し、又は収受すべき一切の金銭又は金銭以外の物若しくは権利その他経済的な利益の額をいい、課税資産の譲渡等について課されるべき消費税及び地方消費税に相当する額を含まない(基通10-1-1)。
なお、次の行為に該当するものの対価の額は、次に掲げる金額とされている(令45②)。
備考
経済的な利益とは、例えば課税資産の譲渡等の対価として金銭以外の物又は権利の給付を受け又は金銭を無償若しくは通常の利率よりも低い利率で借受けをした場合のように、実質的に資産の譲渡等の対価と同様の経済的効果をもたらすものをいう(基通10-1-3)。
個別消費税の取扱い
譲渡等の対価の額には、酒税、たばこ税、揮発油税、石油石炭税、石油ガス税等が含まれるが、軽油引取税、ゴルフ場利用税及び入湯税は、利用者等が納税義務者となっており、対価の額に含まれない。ただし、これらの税額に相当する金額について明確に区分されていない場合は、対価の額に含まれる(基通10-1-11)。
印紙税等に充てられるため受け取る金銭等
事業者が課税資産の譲渡等に関連して受け取る金銭等のうち、その事業者が国又は地方公共団体に対して本来納付すべきものとされている印紙税、手数料等に相当する金額が含まれている場合であっても、その印紙税、手数料等に相当する金額は、その課税資産の譲渡等に係る対価の額から控除することはできない(基通10-1-4)。
建物と土地等とを同一の者に対し同時に譲渡した場合の取扱い
事業者が課税資産の譲渡等に係る資産と課税資産の譲渡等以外の資産の譲渡等に係る資産を同一の者に対し同時に譲渡した場合には、それぞれの資産の譲渡の対価について合理的に区分しなければならないが、建物、土地等を同一の者に対し同時に譲渡した場合において、それぞれの対価につき、所得税又は法人税の土地の譲渡等に係る課税の特例の計算における取扱いにより区分しているときは、その区分したところによる(基通10-1-5)。
備考
それぞれの資産の譲渡の対価について合理的に区分されていない場合には、それぞれの譲渡に係る通常の取引価額を基礎として区分したところによる(基通10-1-5(注))。
外貨建取引に係る対価
外貨建ての取引に係る資産の譲渡等の対価の額は、所得税又は法人税の課税所得金額の計算において外貨建ての取引に係る売上金額その他の収入金額につき円換算して計上すべきこととされている金額による(基通10-1-7)。
備考
外貨建取引の円換算に係る法人税の取扱いについては、法人税基本通達13の2-1-1から13の2-2-18までにおいて定められている。また、個人事業者の外貨建ての取引に係る資産の譲渡等の対価の額は、所得税基本通達57の3-1から57の3-7までの規定を準用して円換算することとなる。
交換資産の価額
交換の当事者が交換に係る資産の価額を定め、相互に等価であるとして交換した場合において、その定めた価額が通常の取引価額と異なるときであっても、その交換がその交換をするに至った事情に照らし正常な取引条件に従って行われたものであるときは、これらの資産の価額は当事者間において合意されたところによる(基通10-1-8)。
物品切手等の評価
次のものを譲渡等の対価として受領した場合の対価の額は、それぞれ次に掲げる金額による(基通10-1-9)。
専属的利用による経済的利益
事業者が課税資産の譲渡等の対価として他の者の有する資産を専属的に利用する場合の経済的な利益の額は、その資産の利用につき通常支払うべき使用料その他その利用の対価に相当する額(その利用者がその利用の対価として支出する金額があるときは、これを控除した額)とされる(基通10-1-10)。
委託販売等に係る手数料
委託販売その他業務代行等に係る資産の譲渡等を行った場合の取扱いは、次による(基通10-1-12)。
なお、委託者から課税資産の譲渡等のみを行うことを委託されている場合の委託販売等に係る受託者については、委託された商品の譲渡等に伴い収受した又は収受すべき金額を課税資産の譲渡等の金額とし、委託者に支払う金額を課税仕入れに係る金額とすることができる。
資産の貸付けに伴い収受する共益費
建物等の資産の貸付けに際し賃貸人がその賃借人から収受する電気、ガス、水道料等の実費に相当するいわゆる共益費は、建物等の資産の貸付けに係る対価に含まれる(基通10-1-14)。
別途収受する配送料等
事業者が、課税資産の譲渡等に係る相手先から、他の者に委託する配送等に係る料金を課税資産の譲渡の対価の額と明確に区分して収受し、その料金を預り金又は仮受金等として処理している場合のその料金は、その事業者における課税資産の譲渡等の対価の額に含めないものとすることができる(基通10-1-16)。
下取りの場合
課税資産の譲渡等に際して資産の下取りを行った場合であってもその課税資産の譲渡等の金額について、その下取りに係る資産の価額を控除した後の金額とすることはできない(基通10-1-17)。
備考
課税資産の下取りをした場合には、その下取りは課税仕入れに該当し、仕入れに係る消費税額の控除(法30)の規定を適用することとなる。
自家消費等の場合の対価
個人事業者が家事消費を行った場合又は法人がその役員に対して贈与を行った場合は、次の(1)及び(2)に掲げる金額以上の金額をみなし譲渡に係る対価の額として課税資産の譲渡等についての確定申告書を提出することができる(基通10-1-18)。
譲渡等に係る対価未確定の場合
資産の譲渡等を行った場合において、その資産の譲渡等をした日の属する課税期間の末日までにその対価の額が確定していないときは、同日の現況によりその金額を適正に見積もる。この場合において、その後確定した対価の額が見積額と異なるときは、その差額は、その確定した日の属する課税期間における資産の譲渡等に係る対価の額に加算し、又は当該対価の額から控除する(基通10-1-20)。