特殊な方式で譲渡等がされた場合の譲渡等の時期は、次による。
- (1) 物品切手等と引換給付する場合
物品切手等と引換えに物品の給付若しくは貸付け又は役務の提供を行う場合には、その物品切手等が自ら発行したものであるか他の者が発行したものであるかにかかわらず、その物品の給付等を行う時にその物品の給付等に係る資産の譲渡等を行ったこととなる(基通9-1-22)。 - (2) 保証金等のうち返還しないものを対価とする場合
資産の賃貸借契約等に基づいて保証金、敷金等として受け入れた金額であっても、その金額のうち期間の経過その他その賃貸借契約等の終了前における一定の事由の発生により返還しないこととなる部分の金額は、その返還しないこととなった日の属する課税期間において行った資産の譲渡等に係る対価となる(基通9-1-23)。 - (3) 先物取引
商品先物取引法の規定により商品の先物取引を行った場合で、一定の期日までに反対売買することにより差金の授受によって決済したときは、その先物取引は資産の引渡しを伴わない取引であるから資産の譲渡等には該当しないのであるが、現物の引渡しを行う場合には、その引渡しを行う日に資産の譲渡等が行われたことになる(基通9-1-24)。 - (4) 強制換価手続による換価
事業者が所有する資産が強制換価手続により換価された場合には、その換価により買受代金が納入された時にその事業者が資産の譲渡等を行ったものとされる(基通9-1-26)。 - (5) 前受金、仮受金の授受を伴う場合
前受金、仮受金の授受を伴う資産の譲渡等は、現金主義の特例の適用を受ける事業者を除き、現実の資産の譲渡等の時に行われたことになる(基通9-1-27)。 - (6) 共同事業の計算期間が構成員の課税期間と異なる場合
共同事業において、通達1-3-1により各構成員が行ったこととされる資産の譲渡等については、原則として、その共同事業として資産の譲渡等を行った時に各構成員が資産の譲渡等を行ったこととなる。
ただし、各構成員が、その資産の譲渡等の時期を、その共同事業の計算期間(1年以内のものに限る。)の終了する日の属する自己の課税期間において行ったものとしている場合には、これによることができる(基通9-1-28)。 - (7) 集団投資信託等
集団投資信託等については、委託者から信託を受けた受託者が資産等取引を行ったこととなるから、その受託者の課税期間に対応させて消費税額を計算することとなる。
ただし、法人課税信託を除き、その受託者の課税期間とその受託者における個々の信託の計算期間とが異なる場合において、その課税期間中にその計算期間の末日が到来した信託についてその計算期間中に行われた資産等取引の全てをその課税期間における資産等取引としているときは、継続適用を条件としてこれによることができる(基通9-1-30)。
譲渡担保として資産の譲渡等がされた場合については、928頁備考欄参照のこと。