相続税の総額の計算(法16)
遺産がどのように分配されるかに関係なく、課税価格について、次の算式によって相続税の総額を計算する。
- (1) 課税価格の合計額-{3,000万円+〔600万円×法定相続人の数〕(遺産に係る基礎控除額)}=課税される遺産総額……○A
- (2) (○A×(1)の法定相続人の数に応じた各相続人の民法の規定による法定相続分)=各人ごとに算出……○B
- (3) ○Bをもとにして、税率を適用(後に示す相続税の速算表によることが便利である。)して各人ごとの税額を求め、これを合計する。……相続税の総額……○C
法定相続分とは、民法第900条及び第901条に規定する相続分(798~799頁参照)をいう。
法定相続人に養子がいる場合
上記の計算をする場合において、法定相続人のうちに被相続人の養子がいる場合には、法定相続人の数に算入される養子の数は、次のとおりとされる(法15②)。
- ① 被相続人に実子がある場合には、被相続人の養子のうち1人
- ② 被相続人に実子がない場合には、被相続人の養子のうち2人まで
なお、この場合において、次に掲げる者は実子とみなされる(法15③、令3の2)。
- ① 民法上の特別養子縁組による養子となった者
- ② 配偶者の実子で被相続人の養子となった者
- ③ 被相続人との婚姻前に被相続人の配偶者の特別養子縁組による養子となった者でその婚姻後に被相続人の養子となった者
- ④ 実子若しくは養子又は直系卑属が相続開始以前に死亡し、又は相続権を失ったため相続人となったその者の直系卑属
なお、1人又は2人の養子を法定相続人の数に算入することが、相続税の負担を不当に減少させる結果となると認められる場合においては、税務署長は、相続税についての更正又は決定に際し、税務署長の認めるところにより、その養子の数を法定相続人の数に算入しないで相続税の課税価格及び相続税額を計算することができることとされている(法63)。
特別養子とは、実方の血族との親族関係が終了する養子縁組で、家庭裁判所が成立させるものをいう(民817の2)。縁組の成立要件は、次のとおり。
- ① 養親は婚姻している者に限られ、夫婦がともに養親となることを要する。
- ② 養親となる者は、25歳以上の者でなければならない。
- ③ 養子となる者は、縁組の審判の申立の時において、原則として6歳未満でなければならない。