税務用語辞典


  • 令和3年度 税制改正対応版※令和3年4月1日現在の法令等によっています。

保存等の要件

1 電磁的記録による保存等の要件

 国税関係帳簿の電磁的記録による保存等をもってその国税関係帳簿の保存等に代えようとする保存義務者は、次の要件(優良な電子帳簿の要件(73頁の優良な電子帳簿に係る過少加算税の軽減措置の項を参照)に従ってその電磁的記録の保存等を行っている場合には③の要件を除く。)に従って、電磁的記録の備付け・保存をしなければならない(規2②)。

  • ① 電子計算機処理システムの開発関係書類等を備え付けておくこと
  • ② ディスプレイ、プリンタ等を備え付けておくこと
  • ③ 国税に関する法律の規定によるその国税関係帳簿に係る電磁的記録の提示又は提出の要求(ダウンロードの求め)に応じることができるようにしておくこと

 国税関係書類の電磁的記録の保存をもってその国税関係書類の保存に代えようとする保存義務者は、上記①~③に相当する要件(その電磁的記録の記録事項の検索機能を確保している場合には、③に相当する要件を除く。)に従って、電磁的記録の保存をしなければならない(規2③)。

備考

青色申告者又は連結法人の電磁的記録等による保存等の要件違反は、青色申告又は連結納税の取消事由等に該当する(法8③)。なお、令和4年4月1日以後は、連結納税制度が見直され、グループ通算制度へ移行することに伴い、上記から連結納税の取消事由は除かれる。

2 スキャナによる電磁的記録の保存の要件

 国税関係書類のスキャナによる電磁的記録の保存をもってその国税関係書類の保存に代えようとする保存義務者は、次の要件(保存義務者が国税に関する法律の規定によるその電磁的記録の提示又は提出の要求(ダウンロードの求め)に応じることができるようにしている場合には、検索機能の確保(下記(7))の一部が不要)に従って、電磁的記録の保存をしなければならない(規2⑥)。

  • (1) 入力要件(次のいずれかにより入力)
    • ① 作成又は受領後、速やかに入力
    • ② 業務の処理に係る通常の期間を経過した後、速やかに入力
  • (2) 電子計算機処理システムの要件
    • ① 解像度・階調(解像度200dpi 以上、256階調(1677万色)以上)
    • ② タイムスタンプ
    • ③ 読み取った際の次の情報の保存
      • イ 解像度及び諧調
      • ロ 国税関係書類の大きさ
    • ④ ヴァージョン管理(訂正・削除の事実及び内容を確認することができること又は訂正・削除を行うことができないこと。)
  • (3) スキャニングした者等に関する情報の備付け
  • (4) スキャニングした書類と帳簿との関連性の確保
  • (5) 可視性の確保(14インチ以上のカラーディスプレイ、4ポイント文字の認識等)
  • (6) システムの概要書等の備付け
  • (7) 検索機能の確保

 ただし、資金や物の流れに直結・連動しない書類(一般書類)をスキャニングする場合には、入力要件、大きさ情報の保存要件(上記(1)及び(2)③ロ)以外の要件を満たし、その電磁的記録の作成及び保存に関する事務手続を明らかにした書類の備付けを行うことにより、スキャナ保存できる。この場合において、グレースケール(いわゆる「白黒」)による読取りも認められる(規2⑦)。

 また、基準日前に作成又は受領をした一般書類以外の書類(過去分重要書類)に記載されている事項を電磁的記録に記録する場合において、あらかじめ、その記録する事項に係る過去分重要書類の種類等の一定の事項を記載した適用届出書を所轄税務署長等に提出したとき(従前においてその過去分重要書類と同一の種類の書類に係る適用届出書を提出していない場合に限る。)は、その電磁的記録の保存に併せて、その電磁的記録の作成及び保存に関する事務の手続を明らかにした書類(これらの事務の責任者が定められているものに限る。)の備付けを行った上で、一定の要件の下、その過去分重要書類についてスキャナによる電磁的記録の保存が行うことができる(規2⑨)。

(注) 「基準日」とは、法の適用により国税関係書類に係る電磁的記録の保存をもってその国税関係書類の保存に代える日をいう。

備考

タイムスタンプは、国税関係書類の作成又は受領後、速やかに付すこと(その国税関係書類の作成又は受領からそのタイムスタンプを付すまでの各事務の処理に関する規程を定めている場合にあっては、その業務の処理に係る通常の期間を経過した後、速やかに付すこと)が必要となる。なお、保存義務者が左記(1)①又は②の方法によりその国税関係書類に係る記録事項を入力したことを確認することができる場合にあってはタイムスタンプ(左記(2)②)は不要となる(規2⑥二)。

国税関係書類の作成・受領と読み取りを同じ者が行う場合において、その書類の大きさがA4以下のときは、大きさに関する情報(左記(2)③ロ)の保存は不要とされる。

国税関係書類のスキャナによる電磁的記録の保存を行う保存義務者が、災害その他やむを得ない事情により、所定の要件に従ってその国税関係書類に係る電磁的記録の保存をすることができなかったことを証明した場合には、その要件にかかわらず、その電磁的記録の保存をすることができる。ただし、その事情が生じなかったとした場合において、所定の要件に従ってその電磁的記録の保存をすることができなかったと認められるときは、この限りでない(規2⑧)。

過去分重要書類に係る電磁的記録の保存をする保存義務者が、災害その他やむを得ない事情により、所定の要件に従ってその電磁的記録の保存をすることができないこととなったことを証明した場合には、その要件にかかわらず、その電磁的記録の保存をすることができる。ただし、その事情が生じなかったとした場合において、所定の要件に従ってその電磁的記録の保存をすることができないこととなったと認められるときは、この限りでない(規2⑪)。

3 COMによる保存等の要件

 国税関係帳簿のCOMによる保存等をもってその国税関係帳簿の保存等に代えようとする保存義務者は、上記1の電磁的記録による保存等の要件(優良な電子帳簿の要件(73頁の優良な電子帳簿に係る過少加算税の軽減措置の項を参照)に従ってその電磁的記録の保存等を行っている場合には上記1③の要件を除く。)及び次の要件に従って、電磁的記録の備付け・COMの保存をしなければならない(規3①)。

  • ① COMの作成・保存に関する事務提要及びCOMの作成責任者等が記載された書類を備え付けておくこと
  • ② マイクロフィルムリーダプリンタ等を備え付けておくこと

 国税関係書類のCOMによる保存をもってその国税関係書類の保存に代えようとする保存義務者は、上記1①及び③の電磁的記録による保存等の要件(索引簿の備付け、記録事項の索引の出力及び保存期間当初3年間のCOMに出力した電磁的記録の保存その他の検索機能の確保の要件に従ってそのCOMを保存している場合には、上記1③の要件を除く。)並びに上記①及び②に相当する要件に従って、電磁的記録の保存をしなければならない(規3②)。

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