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[全文公開] 軽減税率の一体資産と非課税資産

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日頃からお世話になっている人に感謝の気持ちを込めて,お歳暮にコーヒー豆とお洒落なカップのセットを贈るということもあろう。最近では,カフェで使えるプリペイドカードがセットになった商品もあるようだ。

食品と食品以外の資産があらかじめ一体となっている資産で,その一体となっている資産に係る価格のみが提示されているものは一体資産に該当する。そして,①税抜価格が1万円以下で,②食品の価額の占める割合が2/3以上の場合,全体が軽減税率の対象となる(改正法附則34①一,改正消令附則2)。

一体資産の中に,プリペイドカードなどの非課税資産が含まれる場合,①②の判定は,原則,非課税資産を除いて行う。例えば,コーヒー豆,カップ,プリペイドカード(券面金額500円)を組み合わせた,セット価格5,000円の商品の場合,非課税資産であるプリペイドカードの対価(500円)を除いた4,500円で①②の判定を行う。

ただ,非課税資産を除いて①②の判定を行うのは手間がかかる。この点,非課税資産の価格の割合が僅少(セット価格の1割以下)であれば,「非課税資産」を含めた全体を一の課税資産の譲渡として,区分せずに判定を行っても差し支えないということだ。すなわち,4,500円で判定を行うよりも金額的には不利になるが,非課税資産であるプリペイドカードの対価を含めたセット全体の価格(5,000円)で①②の判定を行うことができる。

なお,例えばカップの種類が選べるなど,顧客が任意に選択する商品がある場合には,“あらかじめ”一体となっていないため一括譲渡に該当する。この場合,セット価格から非課税資産であるプリペイドカードの対価を除いた上で,軽減税率対象のコーヒー豆の対価の額と標準税率対象のカップの対価の額を合理的に区分することが必要となる( 消令45 ③,改正消令附則6)。