※ 記事の内容は発行日時点の情報に基づくものです

元国税審判官がセレクト・実務家が知っておくべき「最新未公表裁決」第6回 従業員が横領した商品を売却して生じた所得の雇用者への帰属を認めなかった事例

PwC税理士法人 公認会計士・税理士 朝倉 雅彦

( 11頁)

略歴 京都大学理学部卒。PwC税理士法人大阪事務所にて,法人税及び消費税のコンサルティング業務・申告業務並びに移転価格税制に関する事前確認申請の支援業務や,外国人出向者の所得税申告業務等を経験した後,2014年7月から4年間,東京国税不服審判所において国税審判官として勤務し,国際課税をはじめとする,法人税,消費税及び所得税等に係る審査請求事案の調査・審理に携わる。現在,同法人東京事務所に勤務。

裁決のポイント法人とその法人の従業員のいずれに取引の対価が帰属するかについては,①取引の態様と法人の事業内容との関係,②取引を行った従業員の法人における地位及び権限,③取引の相手方の認識,④取引の対価の費消状況等を総合的に考慮し,実質的にいずれが取引の主体であり,その取引の対価を享受していたとみるこ...