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[全文公開] 同居老親等と老人ホーム

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今年も年末調整の季節が近づいてきた。納税者に控除対象扶養親族がいる場合,一定額の所得控除が受けられる。そのひとつが,いわゆる老人扶養控除だ。

老人扶養控除とは,控除対象扶養親族のうち,その年12月31日現在の年齢が70歳以上の人(老人扶養親族)がいる場合に,48万円の所得控除が受けられるもの( 所法284 )。さらに,老人扶養親族が,①納税者又はその配偶者の直系尊属(父母・祖父母など)で,かつ②納税者又はその配偶者のいずれかと“同居を常況としている”場合には「同居老親等」に該当し,10万円を加算した58万円の所得控除を受けることができる( 措法41の16 )。

この「同居老親等」について年末調整で誤りやすいのが「同居」の判定だ。

例えば,納税者等と同居を常況としている老親等が,病気などの治療のために入院しており,一時的に別居しているケース。入院期間が長期になる場合,“同居を常況としている”といえるのか迷うところだが,その期間が結果として1年以上といった長期になったとしても「同居老親等」と取り扱ってよいということだ。

一方,取扱いが異なるため留意したいのが,老人ホーム等に入所しているケース。この場合,老人ホーム等が居所となり,納税者等と同居しているとはいえないため「同居老親等」には該当しない(国税庁・タックスアンサー№1180「扶養控除」)。

なお,病気やケガなどのリハビリのために老人介護施設に入寮する場合などは「同居老親等」に該当するということだ。