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[全文公開] マスク購入費用の損金算入時期

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新型コロナウイルス感染症拡大の影響により,薬局等でマスクの品薄状態が続いている。事前にまとめ買いができた企業では,マスクの入手が困難な従業員に対応するため,一定枚数を備蓄しているケースもあるだろう。

マスクや消毒剤などといった消耗品の購入費用は,その消耗品を“使用(消費)”した事業年度で損金算入することが原則的な取扱いだ。事業年度末時点の未使用分の損金算入は認められず,在庫計上することになる( 法法2 二十, 法令10 六等)。

しかし,原則的な取扱いとは異なり,企業が,新型コロナウイルス感染症の感染を防止等するために購入したマスクや消毒剤の費用は,未使用分(備蓄分)の費用を含めて,購入時に一括で損金算入して問題ない。

参考となるのが,非常用食料品の取扱いだ。国税庁では,非常用食料品の購入費用は,備蓄(購入)時に“使用”したものとして,購入時に一括で損金算入できることを示している(国税庁HP:質疑応答事例「非常用食料品の取扱い」)。

新型コロナウイルス感染症拡大に備えて購入したマスク等の費用も,災害に備えて購入した非常用食料品の費用に類似するものといえ,購入時に一時の損金として処理しても,何ら違和感はないだろう。

ちなみに,消耗品等のうち「毎年おおむね一定数量を購入し,かつ,経常的に消費するもの」については,継続適用を要件に“購入”した事業年度に一括で損金算入することも可能とされている( 法基通2-2-15 )。

そのため,このたびの新型コロナウイルス感染症拡大の影響に関係なく,従前から毎期継続的にマスク等を購入している場合も,当然,一時の損金として処理できる。