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[全文公開] 年末調整電子化とマイナンバーカード

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年末調整手続の電子化は,従業員にマイナンバーカードを取得させなくても可能だ( №3621 ・13頁)。その一方で,記入事項の自動入力など,電子化のメリットのいくつかは,控除証明書等のデータでの取得が前提となっているが( №3620 ・45頁),このデータを取得するためにマイナンバーカードが必要となるケースもある。

保険料控除証明書と年末残高等証明書をデータで取得するには,①各社のお客様ページ等から個別にダウンロードする方法と,②マイナポータル連携で一括取得する方法がある。マイナンバーカードが必要なのは②のみだ。

一方,税務署から送付される住宅ローン控除証明書をデータで取得するには,①e-Taxで取得する方法(メッセージボックスを通じて取得)と②マイナポータル連携で取得する方法があるが,①でもマイナンバーカードが必要となる。e-Taxで取得するには,居住開始年分の確定申告書をe-Taxで提出し,翌年分以降の住宅ローン控除証明書について「e-Taxによる電子データでの交付」を希望することが必要となるが,データのダウンロード等に,マイナンバーカード等の電子証明書による認証が必要となるからだ(ID/パスワード方式は不可)。

仮に,居住開始年分の確定申告時に「e-Taxによる電子データでの交付」を希望していなくても,途中からデータでの交付に切り替えられる。請求事由として「書面での交付をとりやめ,電子交付を希望するため」にチェックを入れた「年末調整のための(特定増改築等)住宅借入金等特別控除関係書類の交付申請書」を税務署に提出すればよい(e-Taxでも可)。

ただ,住宅ローン控除証明書のデータ提供は,居住年が平成31年(令和元年)以後のものに限られており,居住年が平成30年以前の場合には,勤務先にデータにより提供することはできない(年末残高等証明書も同じ)。