※ 記事の内容は発行日時点の情報に基づくものです

[全文公開] みなし寄附金と公益認定

( 69頁)

公益法人は,金銭等を外部に支出しなくても,収益事業部門から非収益部門に内部支出することで,「みなし寄附金」の適用を受けて,その額を寄附金の損金算入限度額の計算に含めることができる( 法法37 ⑤)。

みなし寄附金を適用できる公益法人は“公益認定”を受けた公益財団(社団)法人に限られ,税制上優遇される非営利型の一般財団(社団)法人であっても対象外だ( 法法37 ④)。

公益認定とは,不特定多数の者の利益増進に資する公益目的事業を主として行うなどの一定の基準を満たすとして,内閣総理大臣又は都道府県知事から受ける認定のこと。

公益認定を受けて公益財団(社団)法人となれば,他にも次のような優遇を受けることができる。寄附金の損金算入限度額について,公益認定を受けた公益財団(社団)法人は所得金額の50%(みなし寄附金がある場合は公益目的事業の実施のために必要な金額といずれか多い金額)と高い割合になっている( 法令73 ①三等)。

また,公益認定を受けると,法人税が非課税となる所得の範囲も拡大する。通常,物品販売業や不動産販売業など34の収益事業から生じた所得は課税対象となるが,公益財団(社団)法人は,公益目的事業により生じた所得であれば,前述の34事業に該当する場合であっても非課税となる( 法令5 ①②等)。

なお,令和3年4月1日支出分からみなし寄附金の適用に制限が設けられた。収益事業による所得を非収益事業による所得として不正に経理した場合には,その金額がみなし寄附金から除外される( №3655 )。