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[全文公開] 資料 FAQ(Peppol BIS Billing JPに関するよくある質問)(4年1月14日,デジタル庁)

( 52頁)

デジタル庁

2022年1月14日(2021年12月版)

なお,本FAQの内容は,2021年12月末時点のものであり,OpenPeppol等における規則・運用方針の変更等に伴い,予告なしに変更することがあることを予めお断りします。

Q1.Peppol BIS Billing JPについて(概要)

1-1  Peppol BIS Billing JP (標準仕様)とは,そもそもどういうものなのか。全ての電子インボイスはこの仕様でないといけないのか。また,電子インボイスの発行自体が義務となるのか。

1-1

Peppol BIS Billing JP は,Peppolネットワークでやり取りされる電子インボイスの日本の標準仕様です。なお,これはあくまでもPeppolネットワークでやり取りするための電子インボイスの標準仕様であって,全ての電子インボイスをこの標準仕様とする必要はありません。また,電子インボイスの提供自体は義務ではありません。

(※) 消費税の適格請求書等保存方式において,適格請求書発行事業者は課税事業者からの求めに応じ適格請求書を交付する必要(適格請求書の交付義務)があるが,交付される適格請求書が電子インボイスである必要はありません。

1-2  Peppol BIS Billing JP 0.9はどういう位置づけのものか。「Ver.0.9」(バージョン0.9)とはどういう意味か。

1-2

Peppol BIS Billing JP は,Peppolネットワークでやり取りされる電子インボイスの日本の標準仕様です。Peppolにおける仕様のバージョンについて,基本的には,「1.0」が実際にサービス提供を行うことができる水準を意味することとされています。したがって,「Ver.0.9」は,そのドラフト版ということになります。

なお,Peppol BIS Billing JP 0.9は,主に請求書(インボイス)に係る仕様です。ドラフト版という位置づけですが,これを用い基本的なインボイスデータセットを生成することはでき,実際のサービス提供に向け,インボイスデータセットの開発等を進めることは可能です。

ただし,消費税制度に対応するという観点から,今後,引き続き,必要な更新等を行っていく予定となります。

1-3  今後,どのような内容を更新していくのか。

1-3

例えば,日本の商習慣等や消費税制度に対応するという観点からは,仕入明細書(self-billing)や納品書(Delivery Note)等の整備も行っていく予定です。

(※) 仕入明細書とは,仕入税額控除の適用のため保存が必要な「請求書等」であって,買い手側が作成した一定事項の記載(適格請求書に必要な記載事項)があり,相手方(売り手)の確認を受けたもの。

1-4  この標準仕様は,2023年10月からの消費税の仕入税額控除の適用のために保存が必要となる適格請求書(電子インボイス)に必要な記載事項に対応しているという理解でよいか。

1-4

この標準仕様のInvoice transactionのSemantic modelは,2023年10月からの消費税の「適格請求書」の記載事項を満たすことを前提に作成されています。したがって,売り手(C1)において,この標準仕様を用いて「適格請求書」の記載事項を満たす電磁的記録(消費税制度における「電子インボイス」)を生成することは可能です。

1-5  この標準仕様にそったインボイスデータセットをやり取りすれば,消費税の仕入税額控除の適用を受けることができるということか。

1-5

この標準仕様にそったインボイスデータセットは,消費税の「適格請求書」の記載事項を満たすことが可能となっています。したがって,適格請求書として必要な情報を含んだこの標準仕様のインボイスデータセットを法令が求める要件を満たす方法(電子帳簿保存法に準じた方法)で保存する場合,買い手(C4)は仕入税額控除の適用が可能となります。

1-6  適格請求書等保存方式において,適格請求書の記載事項の一つである「税率ごとに合計した課税仕入れに係る支払対価の額」については,「税抜」又は「税込」での記載が認められている。他方,このPeppol BIS Billing JPにおいて,それに対応する“Taxable amount per tax rate (ibt-116)”は,「税抜」となっている。どう考えればよいのか。

1-6

Peppolの仕組みにおいて,「対価の額」は「税抜」とされています。したがって,今般のPeppol BIS Billing JPにおいても,「対価の額」等は「税抜」で対応することとしています。その結果,適格請求書の記載事項としての「消費税額等」については,「税率ごとに合計した課税仕入れに係る支払対価の額」に「税率」を乗じ,端数処理する方法で算出したものとなります。

(※) 具体的には,“Tax category tax amount (ibt-117)=Tax category taxable amount (ibt-116)×Tax category rate (ibt-119)÷100”という方法で計算することとなります。なお,この計算方法は,Peppolネットワークでやり取りする際,検証(validation)されることとなります(Aligned validation rules for Japan, jp-br-co-01参照)。

1-7  適格請求書等保存方式においては,記載事項に誤り等があった場合,修正インボイスを交付する必要がある。Peppolの仕組みの中で,その修正インボイスはどのように対応できるのか。

1-7

適格請求書等保存方式における「修正インボイス」については,その修正の方法についての規定はありません。したがって,例えば,「適格請求書を提供し直す」といった方法のほか,(既に提供されたものとの相互の関連性を明確にした上で)「誤っていた内容のみを修正したものを提供する」といった方法も考えられます。

Peppolの仕組みにおいては,複数のやり方に対応することでの煩雑さを回避する観点から,正確な記載事項を記載した「適格請求書(インボイスデータセット)を提供し直す」という仕組みにのみ対応しています。

Q2.Peppolネットワークでの電子インボイスのやり取りについて(概要)

2-1  そもそも「Peppolネットワークで電子インボイスをやり取りする」ということはどういうことか。

2-1

厳密には,売り手のアクセスポイント(C2)と買い手のアクセスポイント(C3)の間で,仕様にそったインボイスデータセットをやり取りすることを言います。なお,Peppolの仕組みは,いわゆる「4コーナー」モデルが採用されています。ユーザー(売り手)(C1)は,自らのアクセスポイント(C2)を通じ,Peppolネットワークに接続し,買い手のアクセスポイント(C3)にインボイスデータセットを送信し,それが買い手(C4)に届く仕組みとなっています。

Peppolネットワークでの電子インボイスの解説図


2-2  Peppolネットワークの中でやり取りされる電子インボイスを保存する仕組みはないのか。

2-2

Peppolの仕組みの中で,やり取りされる電子インボイスを保存するサービスはありません。したがって,消費税法上,売り手(C1)は「提供した電子インボイス」を,買い手(C4)は仕入税額控除の適用のため「提供された電子インボイス」を法令が求める要件を満たす方法でそれぞれ保存する必要があります。

2-3  「C1(売り手)とC2(アクセスポイント)の間」や「C3(アクセスポイント)とC4(買い手)の間」のやり取りについては,この標準仕様を用いなくてもよいということか。仮に用いなくてよいということであれば,そのための標準仕様は策定しないのか。今後,どのような内容を更新していくのか。

2-3

この標準仕様は,売り手のアクセスポイント(C2)と買い手のアクセスポイント(C3)の間でやり取りされる電子インボイスの日本の標準仕様です。したがって,それ以外の部分(例えば,「売り手(C1)と売り手のアクセスポイント(C2)」や「買い手のアクセスポイント(C3)と買い手(C4)」)でこの標準仕様を用いなければならないわけではありません。ただし,売り手のアクセスポイント(C2)が提供するサービス次第ではありますが,売り手(C1)において,この標準仕様を用いたインボイスデータセットの生成が求められることもあり得ると考えられます。なお,「C1(売り手)とC2(売り手のアクセスポイント)」や「C3(買い手のアクセスポイント)とC4(買い手)」の間でやり取りされるインボイスデータセットの標準仕様を定めることは考えていません。

2-4  売り手(C1)は,“Rules”も意識し,インボイスデータセットを生成しなければならないのか。

2-4

この標準仕様のInvoice transactionの“Rules”とは,Peppolネットワークでやり取りされるインボイスデータセットについて,売り手のアクセスポイント(C2)において検証(validate)するためのルールです。したがって,インボイスデータセットを生成する段階(売り手(C1))において,必ずしもこのRulesにそったインボイスデータを生成しなければならないわけではありません。しかしながら,アクセスポイント(C2)が提供するサービス次第ではありますが,売り手(C1)において,このRulesも含め,その内容にそったインボイスデータセットの生成が求められることもあり得ると考えられます。

2-5  今のところ,自社(売り手(C1))としては,インボイスデータセットを生成し,電子インボイスを提供していこうと考えているが,Peppol BIS Billing JPにそったインボイスデータセットを生成することは考えていない。その場合,Peppolネットワークには接続できないということか。

2-5

Peppolユーザーが,Peppolネットワークで電子インボイスをやり取りするためには,自らのアクセスポイントを持つ必要があります。例えば,アクセスポイント(C2)が,売り手(C1)のインボイスデータをこの標準仕様にそったものに変換等するサービスを提供するような場合,売り手(C1)が生成するインボイスデータセットがこの標準仕様にそったものでないとしても,Peppolネットワークで電子インボイスをやり取りすることができないというわけではありません。

2-6  Peppolユーザー(エンドユーザー)自らがアクセスポイントを設ける必要があるのか。

2-6

Peppolユーザーは,Peppolネットワークで電子インボイスをやり取りするために,自らのアクセスポイントを持つ必要があります。しかしながら,自らがアクセスポイントプロバイダーとなりアクセスポイントサービスを提供する必要は必ずしもありません。要すれば,アクセスポイントとしてのサービスを提供する認定サービスプロバイダーと契約し,Peppolネットワークに接続することも可能です。

2-7  自社は,日本の標準仕様のインボイスデータセットのみ対応したいと考えている。その場合,それ以外のドキュメントタイプの提供を受けるような場合,どうすればよいのか。

2-7

Peppolユーザーは,自らが対応するドキュメントタイプ等をSMPに登録することとなります。

(※) 売り手のアクセスポイント(C2)は,買い手(C4)がサポートしているドキュメントタイプを検証し,買い手(C4)がサポートしているドキュメントタイプのデータのみ買い手のアクセスポイント(C3)に送付することとなります。

Q3.Peppolサービスプロバイダーの認定等について

3-1  日本におけるPeppolアクセスポイントプロバイダーになるためにはどうしたらよいのか。

3-1

日本において,認定サービスプロバイダー(認定アクセスポイントプロバイダー)となるためには,管理局(Japan Peppol Authority, デジタル庁)より「認定」を受ける必要があります。その手続については,「Peppolサービスプロバイダーの認定等について(案)」をご確認ください。

(※) 2021年12月版であり,随時,必要に応じ,更新・変更等が行われていることに留意願います。

3-2  「認定」のため,日本の管理局が独自で求める要件(PA Specific Requirements)は何か。

3-2

PA Specific Requirementsについては,OpenPeppolの承認を受ける必要があります。2021年12月末現在,日本はいくつかのPA Specific Requirementsの承認申請を行っており,承認プロセスが終了し次第,公表することとなります。

3-3  日本における認定アクセスポイントプロバイダーの手続は,いつ頃から開始されるのか。

3-3

現在,「認定」に必要な手続等の準備を行っているところです。また,PA Specific Requirementsの承認プロセスが終了するタイミング(2021年12月末現在,承認プロセスは終了していません)等にもよりますが,早ければ,2022年春以降,「認定」のための手続を開始します。

3-4  海外のグループ子会社A社が,A国のPAとの間でagreementに署名をし,そのA国においてアクセスポイントを既に設け,PeppolアクセスポイントプロバイダーとしてPeppolサービスを提供している。そのアクセスポイントを活用し,日本でもPeppolサービス(Peppolアクセスポイントプロバイダー)としてサービスを提供したいと考えるが,日本の管理局(Japan Peppol Authority)とのagreementに署名をする必要があるのか。

3-4

日本において,海外のグループ子会社A社がPeppolサービスを提供するのであれば,日本の管理局との間でagreementに署名をする必要はありません。ただし,海外のグループ子会社A社は,管理局が定める手続に従い「認定」を受ける必要があります。また,海外のグループ子会社A社以外の者(例えば,同グループ内の日本法人)が,日本においてPeppolサービスを提供するのであれば,同者は,日本の管理局との間でagreementに署名をする必要があります。

(※) いわゆるEstablished Peppol Service Provider(他国の管理局と既にagreementを署名・締結している事業者)の「認定」手続については,現在検討中です。

3-5  自社は,日本の標準仕様に対応したインボイスデータを生成できるシステムをユーザーA社に提供しようと思っている。ただ,自社がPeppolアクセスポイントプロバイダーとしてサービスを提供することは想定していない。また,ユーザーA社によるPeppolネットワークへの接続も強制しない。要すれば,ユーザーA社が,自らの必要性に応じ,Peppolアクセスポイントプロバイダーを選定することを想定しているが,そのようなやり方に問題はあるか。

3-5

特に問題はないと考えられます。Peppolネットワークへの接続の要否は,自らの必要性等に応じ,ユーザーA社において判断すべきこととなります。また,仮にユーザーA社がPeppolネットワークへの接続を行うと判断した場合には,認定サービスプロバイダーと契約しアクセスポイントのサービス提供を受ける,又は,自らが認定サービスプロバイダーとなりアクセスポイントを設ける,などの対応をユーザーA社自らが決定することとなります。

3-6  自社は,Peppolアクセスポイントプロバイダーとしてのサービス提供のみを考えている。海外の例を見るとPeppolアクセスポイントプロバイダーとSMPプロバイダーを兼ねている事業者が多い印象だが,どのように理解すればよいのか。

3-6

アクセスポイントプロバイダーとSMPプロバイダーを兼ねてサービス提供を行う事業者が多いのは事実です。他方で,アクセスポイントプロバイダーとしてのサービス提供のみを行う事業者も少なくなく,いかなるサービスを提供するのかは経営判断等であり,事業者自らが決定することとなります。