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[全文公開] 地方税法等の一部を改正する法律案要綱(抄)(4年1月28日提出)

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現下の経済情勢等を踏まえ,商業地等に係る令和4年度分の固定資産税及び都市計画税の税負担の調整,法人事業税の付加価値割における給与等の支給額が増加した場合の特例措置の拡充等,個人住民税の住宅借入金等特別税額控除の延長等を行うほか,税負担軽減措置等の整理合理化等を行うこととし,次のとおり地方税法等の一部を改正するものとする。

第一 地方税法に関する事項

一 道府県民税及び市町村民税

1  給与所得者又は公的年金等受給者が退職手当等に係る所得を有する一定の配偶者等を有する場合には,給与所得者の扶養親族等申告書又は公的年金等受給者の扶養親族等申告書に当該配偶者等の氏名を記載する等所要の措置を講ずること。(第45条の3の2,第45条の3の3,第317条の3の2,第317条の3の3関係)

2  給与支払報告書等の提出方法から,磁気テープを提出する方法を除外すること。(第317条の6関係)

3  居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の繰越控除等の適用期限を令和5年12月31日まで延長すること。(附則第4条関係)

4  特定居住用財産の譲渡損失の繰越控除等の適用期限を令和5年12月31日まで延長すること。(附則第4条の2関係)

5  住宅借入金等特別税額控除について,適用期限を令和20年度分の個人の道府県民税及び市町村民税並びに居住年が令和7年であるものまで延長する等所要の措置を講ずること。(附則第5条の4の2関係)

6  都道府県又は市区町村に対する寄附金に係る寄附金税額控除についての申告特例の求めの申請書について,性別の記載を不要とする等所要の措置を講ずること。(附則第7条関係)

7  上場株式等に係る配当所得等について,課税方式を所得税と一致させる等所要の措置を講ずること。(第32条,第313条,附則第33条の2関係)

8  上場株式等の譲渡損失の損益通算及び繰越控除について,適用要件を所得税と一致させる等所要の措置を講ずること。(附則第35条の2の6関係)

9  法人の道府県民税及び市町村民税に係る外国税額控除について,国税における諸制度の取扱いを踏まえ,所要の措置を講ずること。(第53条,第321条の8関係)

10  法人の道府県民税及び市町村民税に係る納税申告書等に記載すべきものとされる事項について地方税関係手続用電子情報処理組織を使用して行う方法による提出を義務付けられた法人の添付書類記載事項の提出方法から,磁気テープを提出する方法を除外すること。(第53条,第321条の8関係)

11  令和3年に開催される東京オリンピック競技大会又は東京パラリンピック競技大会の円滑な準備又は運営に関する業務を行う外国法人に対して,当該大会関連の事業以外の事業を行わない場合には,当該外国法人の平成31年4月1日から令和3年12月31日までの間に開始する各事業年度に限り,法人の道府県民税及び市町村民税について,非課税とする等の措置を廃止すること。(附則第7条の6関係)

12  法人税割の課税標準である法人税額について,中小企業者等の給与等の支給額が増加した場合の法人税額の特別税額控除の適用を受けた額とする特例措置の適用期限を令和6年3月31日まで延長すること。(附則第8条関係)

二 事業税

1  ガス供給業のうち,ガス事業法に規定するガス製造事業者(同法に規定する特別一般ガス導管事業者に係る供給区域内において同法に規定するガス製造事業を行う者に限る。)が行うもの(同法に規定する一般ガス導管事業及び同法に規定する特定ガス導管事業(以下「導管ガス供給業」という。)を除く。以下「特定ガス供給業」という。)に係る法人の事業税について,収入割額,付加価値割額及び資本割額の合算額により課するものとすること。(第72条の2関係)

2  ガス供給業のうち,導管ガス供給業及び特定ガス供給業以外のものに係る法人の事業税について,資本金の額又は出資金の額(以下「資本金」という。)1億円超の普通法人にあっては付加価値割額,資本割額及び所得割額の合算額により,資本金1億円以下の普通法人等にあっては所得割額により,それぞれ課するものとすること。(第72条の2関係)

3  付加価値割額,資本割額及び所得割額の合算額により法人の事業税を課される法人の所得割について,標準税率を次のとおりとすること。(第72条の24の7関係)

所得のうち年400万円以下の金額 100分の1
(現行 100分の0.4)
所得のうち年400万円を超え年800万円以下の金額 100分の1
(現行 100分の0.7)
所得のうち年800万円を超える金額 100分の1
(現行 100分の1)

4  特定ガス供給業に対する法人の事業税の標準税率を次のとおりとすること。(第72条の24の7関係)

(一) 収入割   100分の0.48

(二) 付加価値割 100分の0.77

(三) 資本割   100分の0.32

5  1から4までに伴う所要の措置を講ずること。(第72条の24の2,第72条の25,第72条の26,第72条の41の2,第72条の48,附則第9条関係)

6  労働者協同組合連合会を特別法人とする措置を講ずること。(第72条の24の7関係)

7  法人の事業税に係る納税申告書等に記載すべきものとされる事項について地方税関係手続用電子情報処理組織を使用して行う方法による提出を義務付けられた法人の添付書類記載事項の提出方法から,磁気テープを提出する方法を除外すること。(第72条の32関係)

8  令和3年に開催される東京オリンピック競技大会又は東京パラリンピック競技大会の円滑な準備又は運営に関する業務を行う外国法人が行う当該大会関連の事業に対して,当該外国法人の平成31年4月1日から令和3年12月31日までの間に開始する各事業年度に限り,非課税とする等の措置を廃止すること。(附則第8条の6関係)

9  ガス供給業を行う法人の収入割の課税標準である収入金額を算定する場合において控除される収入金額の範囲に,他のガス供給業を行う法人から託送供給を受けてガスの供給を行う場合の当該供給に係る収入金額のうち,当該託送供給の料金として支払うべき金額に相当する収入金額を追加する課税標準の特例措置の適用期限を令和7年3月31日まで延長すること。(附則第9条関係)

10  給与等の支給額が増加した場合の付加価値割の課税標準の特例措置について,次のとおり改めること。(附則第9条関係)

(一) 令和4年4月1日から令和6年3月31日までの間に開始する各事業年度に限り,継続雇用者給与等支給額の継続雇用者比較給与等支給額に対する増加割合が100分の3以上である等の要件を満たす場合に特例措置を講ずること。

(二) 控除額について,控除対象雇用者給与等支給増加額に雇用安定控除との調整等所要の措置を講じた金額とすること。

11  株式会社民間資金等活用事業推進機構に係る資本割の課税標準の特例措置について,控除額を見直した上,その適用期限を令和9年3月31日まで延長すること。(附則第9条関係)

12  電気供給業を行う法人の収入割の課税標準である収入金額を算定する場合において控除される収入金額の範囲に,廃炉等実施認定事業者の収入金額のうち,小売電気事業者又は一般送配電事業者から交付を受ける廃炉等積立金として積み立てる金銭に相当する収入金額を追加する課税標準の特例措置の適用期限を令和9年3月31日まで延長すること。(附則第9条関係)

三 不動産取得税

省略

四 自動車税

省略

五 固定資産税及び都市計画税

1  商業地等に係る令和4年度分の固定資産税及び都市計画税の額については,当該商業地等に係る令和4年度分の税額が,令和3年度分の課税標準額に,令和4年度の価格に100分の2.5を乗じて得た額を加算した額を課税標準額とした場合の税額(以下「商業地等調整税額」という。)を超える場合には,当該商業地等調整税額(当該商業地等調整税額が,当該商業地等の令和4年度の価格に10分の6を乗じて得た額を課税標準額とした場合の税額を超える場合には当該税額とし,当該商業地等の令和4年度の価格に10分の2を乗じて得た額を課税標準額とした場合の税額に満たない場合には当該税額とする。)とすること。(附則第18条,第25条関係)

2  令和3年度分の固定資産税に関し令和2年度分の税額に据え置く特別な措置の適用を受けた土地に限り,固定資産課税台帳に登録された価格に関する審査の申出について,令和4年4月1日から納税通知書の交付を受けた日後15月を経過する日までの間においても審査の申出をすることができることとすること。(附則第24条の2関係)

3  市町村長は,固定資産課税台帳を閲覧に供し,又は固定資産課税台帳に記載されている事項についての証明書を交付する場合において,固定資産課税台帳に記載されている住所が明らかにされることにより人の生命又は身体に危害を及ぼすおそれがあると認められる場合その他固定資産課税台帳を閲覧に供し又は当該証明書を交付することが適当でないと認められる場合には,一定の措置を講ずることができることとすること。(第382条の2,第382条の3関係)

4~11  省略

12  登記所は,次に掲げる場合は,その旨その他の事項を土地又は家屋の所在地の市町村長に通知しなければならないこととすること。(第382条関係)

(一) 登記簿の表題部に記録した所有者又は所有権,質権若しくは100年より長い存続期間の定めのある地上権の登記名義人その他の者から不動産登記法第119条第6項の申出を受けた場合

(二) 不動産登記法第76条の3第3項の規定による付記をした場合

(三) 不動産登記法第76条の4の規定による符号の表示をした場合

13  市町村長は,固定資産課税台帳若しくは土地名寄帳若しくは家屋名寄帳(以下「固定資産課税台帳等」という。)を閲覧に供し,又は固定資産課税台帳に記載されている事項についての証明書を交付する場合において,固定資産課税台帳等に記載されている住所が12(一)の場合における登記所から市町村長への通知に係る者の住所であるときは,当該住所に代わる事項を記載した固定資産課税台帳等を閲覧に供し,又は当該住所に代わる事項を記載した証明書を交付しなければならないこととすること。(第382条の4関係)

六 事業所税

省略

七 地方税関係手続用電子情報処理組織による地方税関係申告等の特例等

1  地方税関係法令に基づき地方団体の長に対して行われる全ての申告等について,地方税関係手続用電子情報処理組織を使用して行うことができるものとすること。(第747条の2,第747条の3関係)

2  4の改正に伴い,地方団体の長は,機構指定納付受託者が納付し,又は納入すべき地方団体の徴収金については,当該機構指定納付受託者に対して滞納処分をしてもなお徴収すべき残余がある場合でなければ,その残余の額について納税者等から徴収することができないこととする等の措置を講ずること。(第13条の4関係)

3  地方団体が,特定徴収金として地方税共同機構に収納の事務を行わせる税目を全ての税目に拡大すること。(第747条の6関係)

4  特定徴収金を納付し,又は納入しようとする者は,一定の場合には,機構指定納付受託者に納付又は納入を委託することができることとし,当該機構指定納付受託者が当該特定徴収金を納付し,又は納入したときは,当該委託を受けた日に当該特定徴収金の納付又は納入がされたものとみなすこととするほか,機構指定納付受託者の指定,取消し,指定に関する地方団体の意見等に係る所要の措置を講ずること。(第747条の7から第747条の12まで関係)

八 その他

更正請求書の記載事項から,その請求に係る更正前の課税標準等,納付すべき税額等の計算上控除する金額及び還付金の額の計算の基礎となる税額を除外すること。(第20条の9の3,第72条の48の2関係)

第二 地方税法等の一部を改正する法律(令和2年法律第5号)附則第5条第3項の規定によりなおその効力を有するものとされた同法附則第1条第5号に掲げる規定による改正前の地方税法に関する事項

省略

第三 地方税法等の一部を改正する法律(令和2年法律第5号)附則第7条第2項の規定によりなおその効力を有するものとされた同法附則第1条第5号に掲げる規定による改正前の地方税法に関する事項

省略

第四 地方税法等の一部を改正する法律(令和2年法律第5号)附則第13条第3項の規定によりなおその効力を有するものとされた同法附則第1条第5号に掲げる規定による改正前の地方税法に関する事項

省略

第五 地方税法等の一部を改正する法律(令和2年法律第5号)に関する事項

道府県民税の法人税割及び市町村民税の法人税割の課税標準である法人税額を中小企業者等の試験研究を行った場合の法人税額の特別税額控除の適用を受けた額とする特例措置等について,国税における諸制度の取扱いを踏まえ,所要の措置を講ずること。(令和2年改正法第2条関係)

第六 外国居住者等の所得に対する相互主義による所得税等の非課税等に関する法律に関する事項

前記第一の一の7に伴う所要の措置を講ずること。(第8条関係)

第七 租税条約等の実施に伴う所得税法,法人税法及び地方税法の特例等に関する法律に関する事項

前記第一の一の7に伴う所要の措置を講ずること。(第3条の2の2関係)

第八 航空機燃料譲与税法に関する事項

省略

第九 地方税法等の一部を改正する等の法律(平成28年法律第13号)附則第31条第2項の規定によりなおその効力を有するものとされた同法第9条の規定による廃止前の地方法人特別税等に関する暫定措置法に関する事項

法人の事業税の納付と併せて納付しなければならない地方法人特別税等の収納の事務について,地方法人特別税等を地方団体の徴収金とみなして適用する規定に,地方税法第747条の7から第747条の12までの規定を追加すること。(第21条の2関係)

第十 森林環境税及び森林環境譲与税に関する法律に関する事項

個人の市町村民税及び個人の道府県民税に係る地方団体の徴収金と併せて納付し,又は納入しなければならない森林環境税に係る徴収金の収納の事務について,森林環境税に係る徴収金を地方団体の徴収金とみなして適用する規定に,地方税法第747条の7から第747条の12までの規定を追加すること。(第20条関係)

第十一 特別法人事業税及び特別法人事業譲与税に関する法律に関する事項

1  収入割額,付加価値割額及び資本割額の合算額により法人の事業税を課される法人(特定ガス供給業を行う法人に限る。)の特別法人事業税の額は,基準法人収入割額に100分の62.5の税率を乗じて得た金額とする等所要の措置を講ずること。(第7条関係)

2  法人の事業税に係る地方団体の徴収金と併せて納付しなければならない特別法人事業税に係る徴収金の収納の事務について,特別法人事業税に係る徴収金を地方団体の徴収金とみなして適用する規定に,地方税法第747条の7から第747条の12までの規定を追加すること。(第20条関係)

第十二 その他

1  その他所要の規定の整備を行うこと。

2  前記第五の改正は公布の日から,第一の八,第二の1,第三の1及び第四の1の改正は令和4年12月31日から,第一の一の1及び5の改正は令和5年1月1日から,第一の三の7及び8並びに七の2から4まで,第九,第十並びに第十一の2の改正は令和5年4月1日から,第一の一の7及び8,第六並びに第七の改正は令和6年1月1日から,第一の二の6の改正は労働者協同組合法の施行の日から,第一の五の10の(五)の改正は所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法の一部を改正する法律の施行の日から,第一の三の4及び五の6(取得期限を令和6年3月31日まで延長する部分を除く。)の改正は農業経営基盤強化促進法等の一部を改正する法律の施行の日から,第一の五の12((一)に係る部分に限る。)及び13の改正は民法等の一部を改正する法律附則第1条第2号に掲げる規定の施行の日から,第一の五の12((二)及び(三)に係る部分に限る。)の改正は民法等の一部を改正する法律附則第1条第3号に掲げる規定の施行の日から,その他の改正は令和4年4月1日から施行すること。