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[全文公開] 税制改正法の施行と附則

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令和4年度税制改正法が3月31日に公布された。原則として4月1日からの施行となるが、例外もあるため忘れずに「附則」を確認しておきたい。

令和4年度税制改正法は、所得税法や法人税法などの一部改正法をまとめた一括法であり、他の法律と同様に本則と附則に分かれている。本則は、一部改正法の本体部分となる実質的な定めが置かれ、例えば、大企業向けの賃上げ促進税制では、適用要件の判定を継続雇用者に対する給与等の対前年度増加率に見直すなどの改正が規定された( №3685 等)。

附則では、施行期日や経過措置などが定められている。施行期日は、原則として令和4年4月1日となるが(令和4年改正法附則1)、例外もある。例えば、内国法人の受取配当等に係る源泉不要制度( №3691 )は、令和5年10月1日以後に支払を受けるべき一定の配当等について適用される(同法附則6)。また、改正後の住宅ローン控除や住宅取得等資金贈与の非課税措置( №36883690 等)は、基本的に令和4年1月1日以後に居住の用に供した場合等から遡及適用される(同法附則34、51)。

附則には、法律の制定・改廃による急変を緩和するための経過措置を示す役割もある。例えば、令和5年10月に開始されるインボイス制度は、平成28年度税制改正法で措置されたものだが、免税事業者に配慮し、仕入税額控除に係る経過措置(平成28年改正法附則52①、53①)や適格請求書発行事業者の登録に係る経過措置(同法附則44)が設けられている。後者の登録については、令和4年度改正により、経過措置期間の延長( №3687 等)が行われる(令和4年改正後の平成28年改正法附則44)。

その他にも、関係法令の改正・廃止等、法令の主要事項に付随して必要事項を明確化するための定めなど、附則には重要な内容が記載されているため、チェック漏れがないようにしておきたい。