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[全文公開] 貸家建付地と小宅特例の一時的な空室

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相続等で取得したアパート等の空室部分が「一時的に賃貸されていなかったと認められる部分」に該当する場合、空室部分の宅地等も含めて、貸家建付地の評価や小規模宅地特例(貸付事業用宅地等)による減額が認められる。貸家建付地と小宅特例の「一時的に賃貸されていなかったと認められる部分」の考え方は、基本的に同様になるという。

貸家建付地は、自用地価額から賃貸割合等を考慮して算定した一定の金額を減額して評価する( 評基通26 )。賃貸割合の計算では、“賃貸されている部分の床面積”を加味するが、空室部分でも、「一時的に賃貸されていなかったと認められる部分」は、“賃貸されている部分の床面積”に含めることが可能だ。

空室部分が「一時的に賃貸されていなかったと認められる部分」に該当するか否かは、例えば、空室期間が課税時期の前後の1か月程度であったかなどの事実を総合考慮して判断する(国税庁HP:質疑応答事例「貸家建付地等の評価における一時的な空室の範囲」)。

この点、小宅特例について、「一時的に賃貸されていなかったと認められる部分」が貸付事業用宅地等に含まれる旨は示されているが( 措通69の4-24の2 )、具体的な判断基準等は示されていない。貸家建付地と小宅特例の根拠が異なる法律・通達である以上、完全に一致するものではないが、実務上、小宅特例も前述の事実を総合考慮することが基本になるようだ。

国税庁の法令解釈に関する情報では、例えば、被相続人の大学生の子を住まわせるため、新規入居者の募集を停止していたアパートの1室が1か月空室の場合について、入居者募集の停止等の状況から貸付事業が継続されていない等として、空室部分の宅地等を貸家建付地の評価と小宅特例による減額の対象外としたケースが示されている(国税庁HP:共同住宅の一部が空室となっていた場合)。