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[全文公開] インボイスと任意組合の届出不要なケース

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インボイス制度では、原則、民法等で規定される任意組合等はインボイスの交付が禁止されている。組合員の全てが適格請求書発行事業者で、所轄税務署長に「任意組合等の組合員の全てが適格請求書発行事業者である旨の届出書」を提出した場合に限り、インボイスを交付することができる(新消法57の6①、新消令70の14①②)。ただ、弁護士事務所などの合同事務所で“個人”として業務を行う場合には同届出書の提出は不要となる。

同届出書の提出の対象となる任意組合等の範囲は、組合契約により成立する組合(民法667①)、投資事業有限責任組合(LPS)、有限責任事業組合(LLP)、外国の法令に基づき設立された団体で各組合に類似のもの。任意組合等の事業として課税資産の譲渡等を行った場合、組合員の中に適格請求書発行事業者とそれ以外の者が混在すると、売手側の売上税額の認識を買手側に正しく伝えるためのインボイスの作成等が難しくなる。

そのため、全組合員が適格請求書発行事業者で、同届出書を提出した場合に限り、インボイスを交付することができることとされている(令和4年11月改訂 インボイスQ&A問43)。

士業による合同事務所が民法上の任意組合等に当たる場合に同届出書の提出が必要かどうかは、その業務が個人と組合員のどちらに基づくのかを考える必要があるという。組合等として業務を行うのであれば、同届出書の提出が必要になるが、士業個人がそれぞれ顧客との間で契約を交わして業務を行う形態であれば、同届出書の提出は必要ない。