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[全文公開] 暗号資産と発行費用の範囲

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令和5年度改正により、令和5年4月1日以後開始事業年度から、期末時価評価の対象となる暗号資産の範囲から自己が発行した暗号資産が除外された( №3749 )。自己が発行した暗号資産については、その取得価額も「発行のために要した費用の額」で評価するように変更されている( 法令118の5 二)。

これまで自己が発行した暗号資産の取得価額は、購入により取得した暗号資産以外の暗号資産に該当するとし、その取得の時における暗号資産の取得のために通常要する価額、すなわち「時価」をもって取得価額とすることとされていた( 旧法令118の5 二)。本改正ではブロックチェーン技術を活用した新たな資金調達方法により、企業自らが暗号資産を発行した場合に、期末時価評価で含み益があると納税を余儀なくされてしまうことから見直された。取得時も期末時と同様に時価評価しないことで平仄を合わせている。

こうした制度趣旨を鑑み、改正通達も発行のために要した費用の額に含まれないものを示した。具体的には「①資金調達の目的で暗号資産を発行する法人が、当該暗号資産の発行に係る計画の設計(いわゆるホワイトペーパーの作成を含む)等のために他の者へ支払うコンサルタント料、相談料又は顧問料」、「②他の者に移転することができないようにする技術的措置を取るために要する費用や信託財産とするために要する費用」を例示している( 法基通2-3-62の2 )。

なお、取得価額に該当するものとしては、暗号資産の自己発行のために要した手数料(いわゆるガス代)が考えられる。